てんかん研究
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17 巻, 1 号
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  • 宮本 百合子, 管 るみ子, 山田 康人, 渡部 学, 高橋 留利子, 丹羽 真一
    1999 年 17 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    家族内にてんかん発作、手指振戦、ミオクローヌス、光過敏性発症者を認めた1家系について報告した。この家系では、てんかんの発症年齢は19歳発症の1例を除き20歳以降と遅く、発作頻度は年に1回から数年に1回程度と少なく、抗てんかん薬による発作の抑制は良好な症例が多く見られた。発作型は7例中2例が部分発作とみなされ、部分発作が出現したと推測される症例も2例あった。脳波上突発波の出現部位に局在性を認めた。この家系は、臨床的特徴より良性家族性ミオクローヌスてんかん (BAFME) と考えられた。BAFMEの発作型は全般性強直間代発作で、脳波所見は多棘徐波複合、あるいは棘徐波、時に鋭徐波複合が広汎性に出現するとの報告が多いが、われわれが報告した1家系においては、部分発作とみなされるてんかん発作症状と局在性の突発性棘波を認めている。良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんの、てんかん発作型についても再検討が必要と考えられた。
  • 臨床発作、抗てんかん薬との関連
    岡島 宏明, 相川 博, 太田 敏男, 豊嶋 良一, 山内 俊雄
    1999 年 17 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    52例の側頭葉てんかん患者について、5年以上の間隔で記録した2回の脳波記録から脳波背景活動の変化を検討し、これと抗てんかん薬や臨床症状との関係を調べた。その結果、1日の服用抗てんかん薬量の変化は、2回の検査における徐波帯域の振幅変化率との間に正の相関を、ピーク周波数変化率との間に負の相関を認め、服用薬剤量の増加が脳波の徐波化に影響している事が示唆された。個々の薬剤ではphenytoinの服用量の変化と徐波帯域の振幅変化率との問に正の相関が認められた。発作頻度の変化と脳波指標との問には有意な関連は認められなかった。また、数年間の発作や薬剤の蓄積が脳波に与える影響について調べる目的で、総発作回数や抗てんかん薬の総服用量と脳波指標の関連について検討したが、有意な関係は認められなかった。数年間の期間に限った今回の観察では、脳波背景活動に与える抗てんかん薬の影響は認められたが、他の因子の影響は明らかではなかった。
  • 高橋 幸利, 渡辺 みづほ, 小沢 武司, 寺沢 総介, 元吉 史昭, 中村 仁, 山田 信二, 岡本 博之, 山岸 篤至, 中島 芳博, ...
    1999 年 17 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    アニメ “ポケモン” の視聴環境が光感受性発作誘発に及ぼした影響を検討するために、誘発群と光過敏非誘発群の視聴環境を比較検討した。電波発信源からほぼ同じ距離であっても地域共同アンテナでは誘発され、個別アンテナでは誘発されていない地区があり、受信システムの違いが発作誘発に影響していた。画像鮮明度は誘発群では全例鮮明、光過敏非誘発群では不鮮明であったものが半数と多く、鮮明な画像である事が誘発にとって重要であった。CRTの画面サイズ・使用年数・空間周波数には両群で有意差は認めなかった。画面サイズ/距離が30インチ/メートル以上では全例誘発され、誘発群では熱中度が大であったことより、視野に占めるCRT画像の割合が誘発効果に影響したものと思われた。電波受信システム・CRT画像鮮明度・視野に占めるCRT画像割合などの視聴環境が複雑に光感受性発作誘発効果に影響していたことが推定された。
  • 伊藤 ますみ, 中村 文裕, 本間 裕士, 武田 洋司, 小林 理子, 宮本 環, 小山 司
    1999 年 17 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1999/02/28
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    てんかんにおける頭痛の特徴を知るために、てんかん患者275名を対象に質問紙を用いて直接問診した。発作間欠時頭痛 (IH) は49%に認められ、出現頻度は月単位が最も多く、その性状は拍動性と持続性とが同程度にあり、強度は軽いが長時間続く傾向があった。また、これらIH群では非IH群に比し女性および頭痛の家族歴が有意に多く、年齢が低い傾向があったが、他のてんかん臨床因子に差はなかった。発作後頭痛 (PH) は35%に認められ、その67%が発作後ほとんど常に出現し、性状はやや持続性が多く、強度は軽度から重度まで比較的均等にあり、長時間続く傾向があった。臨床因子との関連では全身強直間代けいれん発作に多く伴う傾向があった。以上より本研究からはIHおよびPHともに、従来指摘のある偏頭痛との共通点は明らかではなく、IHはてんかんの病態よりも個々の素因との関連が推測される一方、PHには発作型が関与している可能性が示唆された。
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