てんかんにおいて神経心理学は、 (1) 発作間欠期における認知機能の評価、 (2) てんかん発作時の症状評価、 (3) 発作誘因としての高次精神活動の評価など、さまざまな病態の評価や解明にとって重要な情報を提供する。本稿では (3) を中心に概説した。
高次精神活動の臨床発作に対する影響を検討する目的で、てんかん患者480例を対象に脳波記録のさいに種々の認知課題 (黙読、音読、会話、書字、筆算、暗算、構成行為) を負荷する神経心理学的脳波賦活を施行した。これにより38例 (7.9%) でてんかん発射が誘発され、その半数以上にミオクロニー発作などが見られた。38例中36例は若年ミオクロニーてんかんなどの特発性全般てんかんに、2例は側頭葉てんかんに分類された。神経心理学的分析から、発作誘発機序には行為プログラミング過程や思考過程が重要であると結論された。高次精神活動で誘発される “反射てんかん” の分類についても言及した。
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