てんかん研究
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19 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 合田 和生, 星田 徹, 知禿 史郎, 榊 寿右
    専門分野: その他
    2001 年 19 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/05/31
    ジャーナル 認証あり
    頭皮·頭蓋·脳実質のそれぞれの導電率を1:1/80:1とした3層頭部モデルを用いた双極子追跡法により側頭葉てんかん(TLE)患者の棘波から等価電流双極子(ECD)を推定し、硬膜下電極記録により同定したてんかん発作焦点部位と比較検討した。対象は発作抑制が困難な難治TLEの5例。年齢は17歳から67歳、平均43歳。男性3例、女性2例。3例は内側TLEで2例は外側TLEであった。ECDの集中する部位と硬膜下電極記録による発作焦点の中心部位との距離は、8∼18mm、平均14mmであった。推定された等価電流双極子の位置は、内側側頭葉てんかんでは内側部よりむしろ側頭葉底部に認められ、海馬からの興奮が波及する部位を示していた。外側側頭葉てんかんでは、より正確に外側皮質の興奮部位を示した。
症例報告
  • 中澤 友幸, 渡邉 響子, 金子 賢一郎, 高橋 寛, 高橋 系一
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 19 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/05/31
    ジャーナル 認証あり
    抗てんかん薬による過敏反応(hypersensitivity syndrome)の出現にウイルス感染が関与したと考えられる2例を報告した。患児1は脳炎/脳症を合併したHHV-6ウイルス感染症の8カ月女児で、phenobartibal投与後21日目より発熱と発疹を呈し、検査上は、血球減少と骨髄での血球貪食像を認めた。患児2は複雑部分発作に対してcarbamazepine投与中、11日目よりtoxic epidermal necrolysisの所見を呈し、のちに麻疹感染の合併が確認された4歳男児。2例ともに原因と考えられた薬剤の中止のみでは軽快せず、ガンマグロブリン製剤の投与は無効であったが、ステロイド剤の全身投与が有効であった。hypersensitivity syndromeの発症機序として高サイトカイン血症や免疫活性を有する薬物代謝産物の関与が想定されているが、ウイルス感染を伴うことによりこれらの反応が助長される可能性が示唆される。抗てんかん薬治療の副作用として、本症の存在を念頭におくことが重要である。
  • 柏原 健一, 高橋 幸治, 出口 健太郎, 阿部 康二
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2001 年 19 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/05/31
    ジャーナル 認証あり
    頭部MRIにて可逆性のT1低、T2、FLAIR高信号域を呈した56歳のてんかん患者を報告する。本例はてんかん発作初発の半年後より、右眼瞼、口角、上下肢の瞬時の痙攣、脱力、発語停止など焦点発作、意識減損発作が目立つようになった。発作頻度の増加に平行して記銘力障害が悪化、MRIにて左側海馬萎縮、同側側頭葉前部の異常信号域が認められた。脳波では左蝶型骨誘導に限局した棘波を認めた。抗てんかん薬投与後、発作はほぼ消失、異常信号域も消退した。一方、記銘力障害、海馬萎縮は持続した。複雑部分発作重積後に頭部MRIで限局性異常信号域をみることが報告されている。本症例から、重積でなく短い発作の反復によっても異常信号域を生じ得ると考えられた。
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