アデノシンは、カイニン酸やピクロトキシンなどにより誘発されるけいれん発作を抑制することが知られ、内因性の抗けいれん物質として注目されている。今回砂ネズミ海馬スライスを用いて、後シナプス細胞に対するアデノシンの抗けいれん作用について検討した。低Caイオン下で砂ネズミ海馬CA1細胞を逆行性に刺激し、CA1の細胞外電位を測定した。電気刺激によりpopulation spike(PS)に続き、afterdischarge(AD)を誘発させた。灌流液に、0(n=8)、10(n=7)、20(n=10)、40(n=10)、80(n=9)μmol/
lの濃度のアデノシンを加え、投与前後におけるADの電位比で抗けいれん作用を検討した。0~80μmol/
lのアデノシン投与前後のADの電位比は、各々143.0±11.4、111.6±7.0、80.5±23.9、56.6±19.8、52.8±18.9%で、0~40μmol/
lにおいて濃度依存的にADを抑制した(p<0.05)。アデノシンは、シナプス伝達を介さずに後シナプス細胞に対して、一定のレベルまでは濃度依存的抗けいれん作用を示した。
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