てんかん研究
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23 巻, 1 号
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総説
  • 皆川 公夫
    2005 年 23 巻 1 号 p. 2-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/01
    ジャーナル 認証あり
    小児のけいれん重積状態の治療には、けいれん抑制作用の速効性、強力性、安全性および持続性のすべてを兼ね備えた治療法が理想的である。日本で現在第一次治療に選択されているdiazepamは呼吸抑制や血圧低下など安全性に一部問題があり、さらに効果持続時間が短い。また、phenytoinも速効性に劣り、血管刺激性が強く静脈から漏れると壊死を生じやすく、不整脈がおこりうるなど安全性に劣る。このように、従来から行われているけいれん重積状態の主要治療薬には種々の問題点があり、理想的な治療方式とはなっていない。Midazolamはけいれんに対する保険適応はないが、速効性、強力性、安全性に優れ、さらに持続静注により安定した効果を長時間維持持続させることが可能であり、けいれん重積状態に対する臨床効果も優れており、小児のけいれん重積状態の主要治療薬として第一次治療、第二次治療に利用できると考える。
症例報告
  • 伊藤 康, 小国 弘量, 土屋 喬義, 土屋 恭子, 大澤 真木子
    2005 年 23 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は3歳1カ月、男児。1歳0カ月時熱性けいれん(FC)発症。その後FCを反復し、重積化が多く、複合型FCと診断された。2歳1カ月時入浴後の無熱性けいれん(左半身間代発作)が出現しcarbamazepine(CBZ)内服治療を開始した。睡眠時脳波では右中心あるいは左側頭中部域に独立して散在性に局在性棘波を認めた。2歳9カ月時両側第1趾爪根部の爪甲離開に気づかれ、2カ月後に右第1趾の爪甲が脱落した。他に皮膚病変は認めなかった。血液検査異常なく、角質の鏡検では真菌は検出されなかった。CBZを減量・中止、valproateを増量する過程で爪甲の異常が改善したことより、CBZによって誘発された爪甲脱落症と考えた。CBZによる爪甲脱落症は稀な副作用と考えられるが、脱落に至らない微少な爪甲変化は見逃されている可能性があり、注意すべき所見と考えた。
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