てんかん研究
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25 巻, 1 号
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巻頭言
症例報告
  • 中山 智博, 舟塚 真, 林 北見, 斉藤 加代子, 小国 弘量, 大澤 真木子
    2007 年 25 巻 1 号 p. 4-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル 認証あり
    脊髄小脳変性症に対するTRH療法は構語障害や歩行障害などの臨床症状の改善に有効である。今回我々は、遺伝子検索にて歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)と診断された(CAGリピート数71)24歳女性の不随意運動に対し、バルプロ酸(VPA)、クロナゼパム(CZP)等各種抗痙攣剤では効果がないためTRH療法を施行したところ、著明な効果を認めた。また同時に日常活動度が改善した。しかしながらその効果は徐々に減弱し、幻覚が出現したため1年で治療を中止した。不随意運動に対する効果が認められたことにつき文献的考察を加え、ここに報告する。
  • 鈴木 美穂, 木村 元紀, 岡崎 光俊, 原 恵子, 日野 慶子, 渡辺 雅子, 大沼 悌一
    2007 年 25 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル 認証あり
    老年期うつ病の76歳男性に対しparoxetineによる薬物療法を開始したところ、両上肢の振戦、巧緻性の障害を伴う挿間性の意識障害が出現した。脳波上、意識障害と一致して、前頭部を中心に全般性の2~3Hz棘徐波複合が認められた。paroxetineの中止と抗てんかん薬の投与によって意識障害、脳波異常は消退し、抗てんかん薬を漸減中止した後も再発を認めなかった。本症例は、paroxetine投与開始後にspike-wave stuporが初めて出現しており、drug-induced seizureが疑われる。セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と関連したspike-wave stuporとしては国内外を問わず初めての症例である。SSRIの投与中に意識障害を生じた場合、発作性の病態である可能性を検討する必要がある。また、薬剤耐性が低いと予想される症例では特に、SSRIの投与に注意を要する。
  • 伊藤 ますみ, 越前谷 則子, 梶 智人, 辻崎 正幸, 溝渕 雅広
    2007 年 25 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル 認証あり
    複雑部分発作重積(CPSE)は見逃されることも少なくない。われわれは発作時SPECTが診断および発作焦点同定に有用であった例を経験した。症例は36歳男性。14歳時に全身を強直させる発作が初発したが、以後発作は消失していた。36歳時意識消失発作が2回出現した。まもなく回復したが、脳波にて左前頭部に棘波が頻発していた。13日後にSPECT施行。同日強い不安、不眠が出現した。翌日より反応が乏しくなり、落ち着きなくうろうろするなどの異常行動が続いた。脳波にて前頭部に限局して徐波の連続出現を認め、SPECTにて左前頭部眼窩面に血流上昇が認められ、臨床症状および脳波所見ともあわせ前頭葉てんかんのCPSEと診断した。CPSE消失後2カ月後のSPECTでは血流上昇は認められなかった。以上より本例のCPSEの確定診断にはSPECTが有用であったと同時に、前頭葉眼窩面の焦点部位が明らかとなった。
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