てんかん研究
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27 巻, 1 号
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巻頭言
原著
  • 浜野 晋一郎, 折津 友隆, 南谷 幹之, 田中 学, 吉成 聡, 菊池 健二郎, 松浦 隆樹
    2009 年 27 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル 認証あり
    小児難治性てんかんにおけるトピラマート(TPM)の部分発作と全般発作に対する有用性を検討した。2剤以上の抗てんかん薬で発作が抑制できず、2カ月間平均で月2回以上の発作があった53例を対象とした。53例のTPM開始時年齢は9.2±5.1(0.4∼18.6)歳、TPM投与以前に試みられた抗てんかん薬数は6.5±2.5(2∼12)剤で、TPMの初期量は1.4±0.7mg/kg、最大量は6.4±4.2mg/kgだった。50%以上の発作減少が得られた有効例は部分発作36例中16例、全般発作17例中9例、計25例47.2%に有効で、発作型別の差は認めず増悪例はなかった。副作用は15例に認め、眠気8例、発汗低下4例、流涎、ふらつき、異常行動が各1例だった。副作用はいずれも軽度で、6例では継続投与が可能、残りの9例ではTPMを中止し軽快した。TPMは部分発作とともに全般発作に対しても有効であり、小児難治性てんかんの治療において有用性が高いと考えられた。
  • 小出 泰道, 長尾 雅悦, 福島 克之, 宇留野 勝久, 笹川 睦男, 高橋 幸利, 岡田 久, 渡邊 宏雄, 高田 裕, 井上 美智子, ...
    2009 年 27 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル 認証あり
    新規抗てんかん薬であるガバペンチン(GBP)の使用状況、有効性、安全性について、多施設共同で調査を行った。2006年9月から2008年2月までのGBP使用例303例のデータを検討したところ、50%以上の発作頻度減少が49例(16.2%)で認められ、これは国内臨床試験の結果とほぼ同等の有効性であった。眠気を筆頭に、約半数の症例で副作用が認められたが、重篤な副作用は少なく、高い忍容性が示唆された。ただし、ミオクローヌスの発現や増悪(5例)、てんかん重積(2例)を呈した症例があり、注意が必要と思われた。
  • 井上 有史, 稲吉 大, 笠井 良修, 大沼 悌一, 笹川 睦男, 八木 和一, Cramer Joyce A.
    2009 年 27 巻 1 号 p. 22-32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル 認証あり
    てんかんは患者のQuality of Life(QOL)に重大な影響を与える疾患であるにもかかわらず、本邦においてはQOLを適切に評価できる測定ツールがこれまでほとんどなかった。そこで、海外で評価が高く最も汎用されている成人向けてんかん患者用QOL質問票の一つであるQOLIE-31-P日本語版を、言語的妥当性の手法を用いて作成した。翻訳された質問票の表現の適切性を検討するため、てんかん患者10名を対象としたインタビュー調査を行った。調査結果を踏まえて表現に若干の修正を加えたが、日本語版QOLIE-31-Pは内容的、かつ表面的にも妥当なてんかん患者用QOL質問票であることが検証された。今後更に計量心理学的特性について検討が必要であるが、本質問票は本邦成人てんかん患者のQOL評価の測定ツールとして活用が期待される。
症例報告
  • 清水 裕子, 佐久間 啓, 須貝 研司, 斎藤 義朗, 小牧 宏文, 中川 栄二, 佐々木 征行, 宮田 理英
    2009 年 27 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル 認証あり
    精神運動発達遅滞とWest症候群を呈した女児で、幼児期より非けいれん性てんかん発作を生じるようになった。6歳時に意識減損、目つきがかわる、頭部前屈する非けいれん性重積発作を繰り返した。脳波で律動性高振幅θ波が両側前頭、中心部優位に群発し、脳血流SPECTで左前頭部から頭頂部、左尾状核と被殻の血流増加を認めた。複雑部分発作重積と診断したが薬物抵抗性であり、midazolamの持続静注から離脱困難となった。Benzodiazepine系薬剤の中でもclonazepamやclobazamは効果がなかったが、clorazepate投与にて発作はほぼ消失し、3カ月間のmidazolam持続静注療法から離脱することができた。3カ月後現在も発作はほぼ認められない。clorazepateの特性として、局在関連てんかんでの有効性や抗不安作用による発作改善の可能性が過去に指摘されており、本症例でclorazepateが有効であった理由と考えられる。
  • 野口 祥紀, 三島 信行, 高橋 幸利, 井上 有史
    2009 年 27 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル 認証あり
    乳児重症ミオクロニーてんかんの治療薬であるスティリペントール(STP; 本邦未承認薬)はチトクロームP450(CYP)2C19の強力な阻害剤である。STP併用および非併用時におけるデスメチルクロバザム(DCLB)の血中濃度投与量比(LDR)を活性の高いホモ型(hmEM: CYP2C19*1/*1)の2症例、活性が中間であるヘテロ型(htEM: CYP2C19*1/*2)の1症例、活性が欠損している型(PM: CYP2C19*2/*2)の1症例について調査した。STP併用時のLDRは、hmEM症例では11倍と1.7倍、htEM症例では4.8倍と上昇した。PM症例では0.6倍と減少し、阻害効果が観察できなかった。CYP2C19は抗てんかん薬を含めて様々な薬剤の代謝に関わっており、日本人におけるPMの割合も約20%と高いことから、STPによる相互作用を予測する上で、CYP2C19の遺伝子多型測定は有用と考えられる。
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