てんかん研究
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31 巻, 3 号
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巻頭言
原著
  • 菊池 健二郎, 浜野 晋一郎, 松浦 隆樹, 大場 温子, 田中 学, 南谷 幹之, 井田 博幸
    2014 年 31 巻 3 号 p. 491-497
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/24
    ジャーナル 認証あり
    小児てんかん重積状態および発作頻発に対するfosphenytoin(fos-PHT)の有用性と薬物動態について、2歳未満と2歳以上の2群にわけて検討した。有効率は、2歳未満と2歳以上でともに約70%であった。副作用は2歳以上の1例で認められ、一過性血圧低下を呈したが自然回復した。初回投与(22.5mg/kg)後のphenytoin(PHT)血中濃度の変化は、2歳未満と2歳以上で有意差はなく、10~15時間で有効血中濃度を下回った。維持投与(7.5mg/kg/day)では、投与期間が長くなるとトラフ値PHT血中濃度が減少し、有効血中濃度は維持できなかった。本剤は、2歳未満を含めた小児てんかん重積状態および発作頻発に対して有効かつ安全に使用できると考えられた。PHT有効血中濃度を維持するために、fos-PHTの初回投与量と維持投与量は、海外での推奨投与量と同程度まで使用したほうがよいと思われた。
  • 管 るみ子, 疋田 雅之, 上島 雅彦, 矢部 博興
    2014 年 31 巻 3 号 p. 498-505
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/24
    ジャーナル 認証あり
    カルバマゼピン(以下CBZと略す)単剤で2年以上発作が抑制されている122例における至適投与量を検討した。対象症例のてんかんの初発年齢は1~74歳、初発年齢の平均は23.5±18.8歳、中央値は21歳だった。CBZの投与量は100~1,000mg/日、平均投与量は412.1±203.3mg/日、中央値は400mg/日であり、800mg/日を超える投与例は4例に過ぎなかった。投与量と初発年齢に統計学的に負の相関、すなわち初発年齢が高年齢になる程CBZ投与量が少なくなる傾向を認めた。発作型は複雑部分発作(以下CPSと略す)のみが29例と最も多かった。CBZ有効例は比較的少量で効果が得られ、800mg/日まで使用して発作が抑制されない時は他剤に切り替えるか、新薬の追加もしくは外科治療の検討をする治療上の目安となるかもしれない。
  • 鶴澤 礼実, 林 仁美, 廣瀬 伸一, 小川 厚
    2014 年 31 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/24
    ジャーナル 認証あり
    軽症胃腸炎に伴うけいれんに対するcarbamazepine(CBZ)(2.5mg/kg)少量単回投与の有効性を検討した。嘔吐か下痢の症状を呈し、けいれんが起こり入院した症例を対象とした。対象は0歳6カ月から3歳2カ月、男8名、女児7名の15症例。それらの症例にCBZ 2.5mg/kg/回を1回投与した。CBZ少量(2.5mg/kg)単回投与までのけいれん発作回数は1回か6回で、15例中2例でジアゼパム静注、2例でジアゼパム坐剤を使用していた。CBZ少量(2.5mg/kg)単回投与後はすべての症例でけいれんの再発は認めなかった。当院ではCBZ 5mg/kg/回単回投与を過去に行っており、それらの11例を検討した結果でもけいれんの再発は認めなかった。CBZ投与後の経過は良好であり、CBZ投与による眠気や薬疹などの副作用は全例でみられなかった。CBZ少量単回投与(2.5mg/kg/回)は5mg/kg/回投与と同様、軽症胃腸炎に伴うけいれんに有効である可能性があると考えた。
症例報告
  • 茂木 太一, 曽根 大地, 谷口 豪, 村田 佳子, 渡邉 雅子, 渡邉 裕貴
    2014 年 31 巻 3 号 p. 511-518
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/24
    ジャーナル 認証あり
    我々は、8歳で発作性運動誘発性ジスキネジアを発症した26歳女性の長時間ビデオ脳波モニタリングを行った。その際、左右それぞれのジストニアが記録されたが、右側上肢のジストニアの場合にのみ、それに引き続く複雑部分発作を認めた。左側上肢のジストニアの場合には、それに引き続く複雑部分発作は認めなかった。頭部MRIでは左扁桃体腫大を認めており、右ジストニアを引き起こす左基底核発射がもともと腫大している左扁桃体にキンドリング現象を起こし、てんかんを発病させた可能性が考えられた。また、両発作に対しCBZが著効した。
  • 茂木 太一, 曽根 大地, 村田 佳子, 塚田 恵鯉子, 渡邉 雅子
    2014 年 31 巻 3 号 p. 519-524
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/24
    ジャーナル 認証あり
    我々は、臨床経過、症状、検査所見から症候性部分てんかんと診断される患者の中にLennox-Gastaut症候群で観察されるrapid rhythm様の波形を呈した症例を経験した。
    発病年齢が15歳と遅い点、複雑部分発作が主体である点、発作間欠時に背景脳波の徐波化はなくα活動を中心とした正常な背景活動が見られる点でLennox-Gastaut症候群とは異なっていた。本症例は両側の側脳室沿いに異所性灰白質を有しており、ILAEが提唱する症候群分類の中の構造的/代謝性の原因に帰するてんかんに分類される。このような新分類提案の中で、「全般発作」と「部分発作」という従来の二大別する分類では解決されない発作型の一例として、現在検討中のILAE分類などに、より実際的な新たな視点を与えるためには、今後の症例の蓄積と深部脳波所見・脳磁図所見などを含めた知見の集積が必要である。
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