要旨:ペランパネル(PER)は、AMPA受容体を選択的、非競合的に阻害する新規の抗てんかん発作薬である。PERを一次単剤療法として30カ月の長期間使用した際の有効性および安全性、QOLへの影響等を検討した12カ月時中間結果を報告する。焦点起始発作を伴う新規発症または再発のてんかんと診断され、PER単剤で治療開始した4歳以上の患者61例を対象とした。本結果から、治療開始後12カ月時の実臨床におけるPERは低用量であり、特に神経系副作用を低減するためには低用量での開始と維持が有効な可能性が示唆された。また治験時や他国での実臨床報告と差異のない有効性、継続率および安全性が示された。さらに患者や保護者のQOLも悪化は見られなかった。小児、高齢者を含めた新規または再発てんかん患者の治療においてPERが有効かつ安全な選択肢の一つとなることが示唆された。
要旨:症例は女児である。3歳時にコミュニケーション障害と限局した興味および常同行動が認められ、自閉スペクトラム症と診断した。6歳時に脳波異常、閉眼で誘発される眼瞼ミオクロニーがあり眼瞼ミオクロニーを伴うてんかんと診断した。バルプロ酸、ラモトリギン、ぺランパネルによる治療が行われているが、脳波異常が残存し、発達指数は低下した。
眼瞼ミオクロニーを伴うてんかんは、稀ではあるが臨床的に見逃してはならない重要な症候群である。自閉スペクトラム症児はてんかん合併率が高い。しかしその一方で、眼瞼ミオクロニーを伴うてんかんと自閉スペクトラム症の併存は少なく、その他の不随意運動との鑑別を要する。乳幼児期のてんかんや脳波異常は、脳機能の発達を妨げる可能性があり、早期介入が重要である。自閉スペクトラム症や眼瞼ミオクロニーなどの非典型所見、知的障害を伴う場合などには継続的に脳波評価を検討する必要がある。