てんかん研究
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巻頭言
原著
  • 平田 佑子, 浜野 晋一郎, 池本 智, 菊池 健二郎, 小一原 玲子, 松浦 隆樹, 代田 惇朗, 野々山 葉月
    2020 年 38 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

    スパズムと他の焦点性発作を同時期に有する症例におけるVigabatrin(VGB)の有効性を検討した。当センターでスパズムに対しVGBを投与した症例のうち結節性硬化症を除き、同時期に焦点性発作を有した11例を対象とした。後方視的に各発作型へのVGBの有効性、VGB中止による発作変化、最終診察時の発作転帰について評価した。経過観察は1年~6年9カ月でVGB継続期間は2週間~1年3カ月、全例で焦点性発作がスパズムに先行発症した。VGBの発作型別の有効性は、スパズムは消失例がなく、焦点性発作は消失の5例を含め半減以上が9例だった。10例でVGBを中止し、VGB投与中焦点性発作が半減以上だった8例全例で再発又は増加した。発作転帰は、両発作型消失と焦点性発作のみ消失が各々1例、スパズムのみ消失が2例、両発作型残存が7例だった。両発作型を同時期に有する症例において、VGBはスパズムには無効でも焦点性発作に有効性を認めた。VGBは、スパズムと共に焦点性発作への有効性も考慮し、VGB継続ならびに再開を検討すべきである。また、難治性てんかんにおけるスパズム以外の発作型に対するVGBの適応拡大が望まれる。

症例報告
  • 廣實 真弓, 渡邊 さつき, 渡辺 雅子
    2020 年 38 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は左側頭葉てんかん患者1例(30歳代、男)で再就職を希望していたが言葉が出にくいことが主訴だった。患者に失語症はないが拡散的思考を要する文構成テスト(SFT)、標準失語症検査補助テストまんがの説明、標準言語性対連合学習検査(S-PA)と、収束的思考に関連する失語症語彙検査(TLPA)低親密語の呼称検査に低下が見られた。本研究では患者本人の「もう一度仕事に就きたい」という希望に対応した自発話の改善を目指す訓練をすることで内的動機づけを促進し、拡散的思考訓練を誤りなし学習の形態で実施した。週1回言語聴覚士との訓練(60分)、週5回の自主トレを8週間実施した。訓練後改善が見られた検査はSFT、まんがの説明、S-PAだったが、TLPAの呼称検査には改善が見られなかった。患者は拡散的思考の訓練で効果が得られ、内的動機づけと誤りなし学習により自己効力感が改善しリハビリ後再就職に至った。

論考
  • 一條 貞雄
    2020 年 38 巻 2 号 p. 155-164
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

    国際抗てんかん連盟(ILAE、2017年)によって、てんかん発作型の新しい国際分類が提案された。そのさいの変更の1つには、かつての“側頭葉てんかん”、“前頭葉てんかん”、“頭頂葉てんかん”、“後頭葉てんかん”と呼ばれた部分性の発作が、まとめて「焦点発作」になったことである。分類の第2部を担当した著者ら(R.S.Fisher et al)が述べるには、てんかんとは脳におけるネットワークの障害と考えられ、脳のある部分に限局した病変による症状とはいえず、それらは大脳の新皮質、視床と皮質系、辺縁系、脳幹におけるネットワークが関与するのではないかと考えている。

    しかし、頭皮上脳波の電位分布を解釈するには、神経学的ネットワークばかりでなく、電位分布についての物理学的法則(“体積伝導”)も適用すべきと考えられる。また、辺縁系については、そのうちの海馬が診断学的見地からも重要であると考えられ、この分類案についての議論は今後も続くと考えられる。

特別企画シリーズ:てんかんと女性をめぐる問題を理解する
  • 吉永 治美
    2020 年 38 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

    女性のてんかん患者が安心して妊娠出産に臨むには、医療者が抗てんかん薬の妊娠による薬物動態の変化や、胎児への影響を周知し、より安全な治療を妊娠中も継続して提供することが重要である。内服による胎児への催奇形性、出生した小児の認知能力の低下などの影響が最も危惧されるのはバルプロ酸であり、その影響は用量依存性に増加し、また多剤併用がより危険度をます。そこで妊娠中は胎児への影響の少ない薬剤を単剤で選択することが必要であり、バルプロ酸が必須の場合は単剤で徐放剤を選択の上、少量にとどめる。妊娠中は代謝や排泄、蛋白量などの変化から、血中濃度の低下が見られる場合があるが、個人差、併用薬剤による差などあるので、一律の増量は勧められない。一方、授乳については、最近は認容されてきたが、新規抗てんかん薬の中ではラモトリギン、レベチラセタムなどは乳汁移行率が高いので注意を要する。これらの周知とともに、思春期前後からの薬剤の選択も必要である。

  • 村田 佳子, 渡辺 雅子, 男女共同参画委員会
    2020 年 38 巻 2 号 p. 170-174
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/09/30
    ジャーナル 認証あり

    てんかんは、視床下部―下垂体―性腺系に影響し、女性では月経異常、不妊、早期閉経、多囊胞性卵巣症候群などとして現れる。エストロゲンは発作閾値を低下させ、プロゲステロンは発作閾値を上昇させることから、女性ホルモンの周期的変化に関連して発作の起こりやすさも変化する。月経周期に伴い発作頻度が変化するてんかんを月経てんかんといい、月経周期に応じた抗てんかん薬の調整やホルモン療法が試みられている。てんかんだけでなく酵素誘導系抗てんかん薬は、女性ホルモン代謝に影響し生殖機能障害をおこす。またバルプロ酸で治療されている女性てんかん患者では多囊胞性卵巣症候群が多いことが知られている。女性てんかん患者の治療ではてんかん発作だけでなく女性ホルモンの変化や生殖機能障害に配慮した包括的治療が望まれる。

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