実験社会心理学研究
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12 巻, 2 号
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  • 根本 橘夫
    1973 年 12 巻 2 号 p. 68-77
    発行日: 1973/03/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は対人感情の認知におけるcongruency現象を扱った。個体変数として知覚者のself-esteemをとりあげ, 更に状況変数として知覚者及び他者の社会測定的地位を考慮することにより, congruency・incongruencyの分析を行い, その心理機制の相違を解明することを目的とした。
    質問紙法により (1) 対人感情, (2) 他者から寄せられている対人感情の認知, (3) 自己と他者との相対的地位関係の認知及び, (4) self-esteemの程度を測定し, 得られた資料を分析した。結果は次の通りである。
    1. 他者に対し好意的感情を抱いている場合に, congruency・incongruencyの生起と最も密接に関連するのは, 知覚者のself-esteemである。すなわち, こうした条件下ではself-esteemの高い者ほどcongruencyの比率が高くなる傾向がある。ただし, 社会測定的地位の低い他者に対しては, self-esteemの関与の仕方が若干異なる。一方, 他者に対し嫌悪的感情を抱いている場合には, congruencyの生起に関し, self-esteemの関与の仕方は不明確である。
    2. 他者の社会測定的地位は, 他者に対し好意的感情を抱いている場合も, 嫌悪的感情を抱いている場合も, congruency・incongruencyの生起と有意な関係はない。
    3. 他者の知覚された地位は, 他者に対し好意的感情を抱いている場合も, 嫌悪的感情を抱いている場合も, congruency・incongruencyの生起と有意な関連をもっている。しかし, 両条件下での関与の仕方は異なっている。すなわち・好意的感情を抱いている条件では, 他者を自己と同地位に知覚した場合に最もcongruencyの比率が高い。一方嫌悪的感情を抱いている条件下では, 他者の地位を自己より高いと知覚した場合に, 最もcongruencyの比率が高くなる。
    4. 知覚者自身の社会測定的地位は, 他者に対し好意的感情を抱いている場合も, 嫌悪的感情を抱いている場合も, congruency・incongruencyを規定する要因である。ただしその規定の強さは両条件下で異る。すなわち, 他者に対し好意的感情を抱いている場合には, 一般に知覚者自身の社会測定的地位が高いほどcongruencyとなりやすい。しかし, この傾向はself-esteemの程度を越えて一貫するほど強固なものではない。一方他者に対し嫌悪的感情を抱いている場合には, 知覚者の社会測定的地位が低いほどcongruencyとなりやすい。
    この傾向はself-esteemの程度を越えて一貫する強固な傾向であり, こうした条件下では, 知覚者自身の社会測定的地位が, congruencyの生起を規定する主な要因といえる。
    5. 上の1・3・4の事実は, 他者に対し好意的感情を抱いている場合のcongruencyと, 他者に対し嫌悪的感情を抱いている場合のcongruencyとが, 心理機制的に相違するものであることを示唆している。
  • 足立 明久
    1973 年 12 巻 2 号 p. 78-90
    発行日: 1973/03/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は次の通りである。
    (1) 共感性が主してリーダーや販売員の選抜テストに有効なmeasureとなりうるかどうか実証的に検討する。
    (2) 共感性の構造的要因を探索し, 適性検査や, 共感性に関する訓練等の領域に若干の示唆を提供する。
    共感性は従来から用いられているような共感性テストの方法と, 現実の対話場面から抽出されたcounselor empathyから構成されるような本研究独自の実験的方法によって測定された。そして, 7種類の被験者群と, 10個の心理テストのバッテリーが組まれた。結果と考察は次の通りである。
    (1) counselor empathyはリーダーの実務成績と有意な相関関係にあることが見出されたが, 共感性テストは有意ではなかった。
    (2) 共感性テストは共感性の測定というよりは, むしろ常識的な平均人の選別に有効であると考えられる。
    (3) 共感性の構造的要因については明確な心理的特性が見出されなかった。つまり, 共感性の成立において, 社会的成熟度等若干の心理的特性が基本的なバックグランドになっていることが認められたが, 全体的な結論としては共感性及びその心理的特性は性格的ないし素質的なものというよりは多分に状況的なもの (たとえば, 状況の影響をうけやすい態度的なものとか, 心的力動性等) と考えられよう。これは共感性が単なる特性論的なものではなくて, もっと状況の中に存在する人間の全体的な精神発達と深い関係があることを意味しており, このことは「適性検査」や「共感性に関する訓練」等の領域に対してもひとつの示唆を提供しているものといえよう。
  • 宮本 正一, 小川 暢也
    1973 年 12 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1973/03/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はラットの優位-服従関係に及ぼす諸要因, すなわち, 実験Iでは性と体重, 実験IIでは隔離飼育によってひきおこされる攻撃の効果を検討するものである。実験は競争的回避場面で行なわれ, 2匹のうち1匹だけが電気ショックを回避できる。
    次の結果が得られた。
    1) 優位性は性, 体重, 隔離飼育による攻撃性とは関連がなかった。
    2) Spearing Postureが雄-雄のペアーの70%に観察されたのに対し, 雄-雌のペアーには10%しか観察されなかった。
    3) 社会生活を遮断された隔離飼育ラット間にもはっきりした優位-服従関係がみられた。
    4) 8ケージの優位-服従関係構造は4つのタイプ, すなわち未構造型, スケィプゴゥト型, 独裁型, ハィエラーキー型に分類された。
  • 大里 栄子, 小川 暢也, 中野 重行, 宮本 正一, 日高 史子
    1973 年 12 巻 2 号 p. 97-107
    発行日: 1973/03/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    鏡映描写テスト施行にあたっての従来標準的に与えた教示と, とくに速度を強調した教示, および正確度を強調した教示により, その速度や正確度にどのような効果を与えるかを検討するものである。このさいに, 被験者の不安水準をも同時に考慮した。
    対象は年令16~17才の女子高校生に対して予め施行したMAS得点の中より高得点の者24名 (高不安群), 低得点の者24名 (低不安群) 計48名を選択した。その得点範囲は, 高不安群28~39, 低不安群8~13であった。
    実験デザインは, 教示条件, すなわち鏡映描写テストの施行法のみの教示, 速度を目的とした教示, および正確度を目的とした教示の3水準, 不安水準2水準, 鏡映描写テスト5試行で3×2×5のfactorial designであった。
    鏡映描写テストは1試行1分間で5回分散試行を行ない, 速度, 正確度, 達成作業度 (K- valueの3点について測定した。テスト終了後, 教示に対するPMリーダーシップパターン, およびテスト時の自己認知を質問紙法により測定した。
    主要な結果は次の通りである。
    1). 速度: 対照群, 速度強調群, 正確度強調群のいずれも試行回数によって増大したが, 特に速度強調群における高不安群の速度の増加は著明であり, 他群よりも有意に高い速度を示した。
    2). 正確度: 対照群においては, 高不安群が有意に低不安群よりも正確度は高いが, 速度強調群においては対照群に比べ高不安群に誤り回数が著しく増加し, 低不安群よりも正確度は低い。正確度強調群は低不安群の正確度が対照群よりも改善され, 高不安群と差を認めなかった。
    3). 速度と正確度との相関: 全体的には両者には逆相関が認められた。しかし, 教示条件別では, 速度強調群における高不安群にのみ逆相関が認められた。この関係は恒常性をもたないことが判明した。
    4). 達成作業度: 速度と正確度2変量についてMardiaの法により検討すると, 対照群は全体の速度と誤り回数の平均値で示される円の中心に最も近い位置についで正確度強調群は誤り回数の少い方向に, 速度強調群は誤り回数の多い方向に位置することが予想された。
    また各群の不安度による違いは対照群にのみ, 高不安群が速度, 正確度とも低不安群よりも高い傾向が認められた。
  • 城戸崎 雅崇
    1973 年 12 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 1973/03/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は職場集団の集団成員の達成動機とリーダーシップ条件効果並びに集団における業績規範の関係を吟味しようとしたものである。
    調査対象はA化学工業の事務・販売部門及び研究・開発部門の従業員223名 (31集団) である。
    1. 職場集団において上司の達成動機が高いとき, 集団成員 (部下) の達成動機も高いことが見出された。
    2. 上司の達成動機と集団の業績規範との間には正の相関が見出された。しかし集団成員の達成動機と集団の業績規範の間には相関はみられなかった。
    3. 一般従業員よりも役付者の達成動機得点が高いことが見出された。
    4. M型とPM型の上司の達成動機が高くP型とpm型の上司の達成動機が低いことが見出された。またM型の上司のもとで集団成員の達成動機が最も高かった。
    5. 高達成動機群においても低達成動機群においても, また全体においてもPM型のもとで業績規範が最も高く, M型がこれに次いでいることが見出された。
    6. 高達成動機群と低達成動機群とではP機能 (「計画P」と「圧力P」に分けた場合) の効果が同一ではないのではないかということが示唆された。高達成動機群ではM機能のほか「計画P」機能が高い業績規範を形成することに効果があるが, 低達成動機群においてはP機能についての効果は不明であることが見出された。
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118e
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118f
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118g
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118h
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118i
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118j
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118k
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118d
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118c
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118b
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 12 巻 2 号 p. 118a
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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