実験社会心理学研究
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16 巻, 1 号
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  • 田崎 敏昭, 三隅 二不二
    1976 年 16 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究はPM式リーダーシップが業績規範並びにそれへの斉一性に及ぼす効果について明らかにするため行なった実証的研究である。
    調査は, S銀行の本・支店の第二線リーダー16名, 第一線リーダー141名, 一般行員681名を対象に, PM式リーダーシップ調査項目, 業績規範に関する質問項目を含んだPM-質問紙を実施した。得られた結果は次のとうりである。
    1. 業績規範は一般行員, 第一線リーダー, 第二線リーダーの順で高かった。
    2. 第一次グループではリーダーの類型がPM型の場合, 部下の業績規範得点は最も高く以下P型, M型, pm型の順で低くなっていった。しかし, 第二次グループにおいては類型間に明瞭な差はみられなかった。
    3. 第一次グループではリーダーの類型がPM型の場合, 規範に対する部下の斉一性は最も高く, 以下P型, M型, pm型の順で低くなっていった。
    4. PM型のリーダーにおいて部下の業績規範からの逸脱が最も小さかった。
    5. 第一次グループにおいては, リーダーのP機能, M機能ともに業績規範得点並びに規範への斉一性と有意な相関がみられたが, 第二次グループにおいてはリーダーのP機能, M機能と業績規範得点との間に有意な相関はみられなかった。
  • 古川 久敬
    1976 年 16 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    これまで, 組織体従業員の転職予測に関して, 数多くの研究がなされてきた。それらは, 一貫して職務満足度と従業員の転職とが, ネガティブに関係することを示してきた。
    しかし, これらの研究は, あるひとつの変数が転職とどう関係するかを並列的に分析しているにすぎず, 多くの変数を同時に考慮し, かつ, それらの変数相互の関係を分析, 議論することはなかった。
    本研究では, 従業員の転職意図は, 数多くの職務態度変数によって規定されるという考え方に基づき, それら変数相互の関係を分析した。これは, 多変量解析法のひとつの手法である階層的クラスター解析とパス解析を併用することによって行なわれた。
    鉄道線路の保守作業に従事する男子従業員297名を対象として, 33の職務態度要因が, 彼らの転職意図といかなるパターンで関係しているかが分析, 吟味された。
    結果は, 転職意図ともっとも強く関係している職務態度要因は, 職場の魅力, あるいは同僚規範など人間関係的要因であることを示していた。
    また, かかる結果に基づき, 従業員の転職行動を分析する上で, 変数相互の因果モデルを構造化しうる階層的クラスター解析およびパス解析の有効性が論じられた。
    最後に, 今後, 従業員の転職に関する研究を進めるに際して考慮すべきいくつかの方法論的問題についても議論された。
  • 北島 茂樹
    1976 年 16 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    対人的影響過程における勢力特性に関する実験的分析を行なった。本テストにおける従属変数としては, PM式リーダーシップ測定項目, 敵意感情測定項目, 受容度測定項目が用いられ, 質問紙調査法で測定された。勢力の操作は, インストラクションによっておこなわれた。
    結果は次のごとくであった。勢力保持者 (監督者) の行動は一定に保たれたにもかかわらず, 監督行動の被験者による認知にはpower条件群間で相違がみられた。特に, Expert power群におけるpower行使群とpower非行使群間のPM両次元の正の共変動とCoercive power群におけるpower行使群とpower非行使群間の負の共変動は顕著であった。これらの結果は, power源泉の差が被影響者に異なった心理的構えを用意するものとして考察された。
    また敵意感情については, 監督者へのリーダーシップPM機能認知が敵意感情の発生と関連していることが見い出された。その際, M機能認知は, power条件に関わらず敵意感情低減の要因となるのに対し, P機能認知と敵意感情発生の連関の仕方は, P機能認知の背景にあるであろうpower源泉の差異によって基本的に規定されるであろうことが示唆された。
  • 新垣 和子
    1976 年 16 巻 1 号 p. 27-39
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はポジテイブ, ネガテイブ両事態における被験者の原因認知, 共感傾向, 当事者行動の評価方法を検討することであった。大学1年生361人を対象に, 両事態を自然場面に限定し, 各事態の強度を2レベルに, そして当事者の性格特性要因を3レベルに分けて2×3×2×2のデザインで実験が行なわれた。まず, 被験者の性格特性と発生事態に関する情報が提示され, その後それを基にして被験者に, (a) その事態の原因が何に帰されるか, (b) その事態をどの程度自分自身にもおこる事態として予測するか, そして (c) 当事者の行動をどう評価するかの三側面を11段階 (0~10) で評価させた。さらに, 被験者自身の日頃の行動傾向について自己評価させ, 上記の三側面との関係をも検討した。その主な結果は次の通りである。
    (1) ポジテイブ事態の原因は外部要因に帰され, ネガテイブ事態のそれは内部 (当事者) に帰されやすい。
    (2) (1) の原因認知傾向は当事者の性格特性要因によって移行する。
    (3) 事態の重大さの面から, Iは些事の方が, Eは大事の方が高い。
    (4) 事態の発生原因を男性は外部要因に, 女性は内部要因に帰しやすい。
    (5) 当事者の性格特性と観察者の共感傾向とは直接的関係をもつ。
    (6) 事態の正負と観察者の共感傾向, 及び当事者行動評価とは正比例的関係を示す。
    (7) 男性より女性の方が最悪状態では共感傾向が高く, 最良状態では低い。
    (8) 観察者による当事者の行動評価は当事者の性格特性と正の関係をなす。
    (9) 自己評価の高い者は事態の発生原因を個人内部に, 低い者は外部に求める傾向がある。
    (10) 観察者の自己行動評価の正負と当事者行動の評価傾向とは逆比例的関係をなす。
    本研究では, 自然状況に限定したことや, 情報提供方法等による被験者の状況関連性の認知度の問題, 被験者自身の行動評価のための尺度構成や性差に関する状況構成の問題等があり, 今後研究をさらに進めるにあたってはこれらの点を再検討していく必要があると考える。
  • 深尾 誠, 宮本 正一
    1976 年 16 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は集団内の感情的関係により生産性に対する同じ失敗評価でも認知面に及ぼす効果が異なり, そこに生じた効果の違いが集団のパフォーマンスにまで反映するであろうという仮説のもとに実験が行なわれた。感情的関係の違いはソシオメトリックテストにより, 気の合う人同志, 気の合わない人同志のペアを作ることにより操作された。被験者は小学校4年生男女各40名で, 同性のペア40組をつくった。これらのペアは2 (二者関係の良し・悪し) ×2 (失敗評価の有・無) の実験計画にわりあてた。課題は二人で協調し合いながら, S字型の枠内をできるだけ早くはみ出さないようにたどる共同作業であった。作業は6試行, 失敗評価は4, 5, 6各試行の前に与えられた。認知面の変化は失敗評価を与える前後に6項目からなる質問紙を施行することでとらえた。
    主な結果は次の通りである。
    1) 認知面では, 二者関係が非好意的な集団に失敗評価が与えられた時, 最もその効果が大であった。すなわち, 相手に対する評価を低めた人数が最も多かった。
    2) 集団メンバーのこのような認知面の変化はパフォーマンスに明確に反映しなかった。つまり, 感情関係が非好意的な集団に失敗評価を与えても, スピードが遅くなりエラー数が増加するという傾向は統計的有意差を示さなかった。
    3) 失敗評価は均一的にエラー数を少なくする効果を示した。
    4) 作業の上手さを自己評価する際に, 失敗評価に対して男児は自己評価を下げるが, 女児は逆に自己評価を上げるという結果が得られた。
    これらの結果から認知面だけの変化では集団の生産性を予測しえないことが考察された。
  • 三井 宏隆
    1976 年 16 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本報告では前回に引続いて実験事態で個人利益と共通利益との関係を検討した。
    実験手続としては, 囚人のデイレンマ・ゲームを拡大したN人ゲームを用いて協力反応数 (共通利益) に影響を及ぼす要因 (1) Payoff scheduleの内容, (2) ゲーム場面にみられる個人差, を検討した。
    実験結果からは前回と同様, (1) 協力反応の選択は個人利益が高く共通利益の低い条件では少なく, 個人利益が低く共通利益の高い条件では僅かながら増加した。(2) ゲーム行動にあらわれる個人差が協力反応数に影響していた。一応の行動タイプとして, 協力反応が優勢なグループと競争反応が優勢なグループに区別された。
  • 1要因が繰り返しの測定変数の場合
    篠原 弘章
    1976 年 16 巻 1 号 p. 51-67
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本論文では, 一要因が繰り返しの測定変数をもつ4要因混合計画における「重みづけのない」解法の計算手順とコンピュータによるFORTRANプログラムを示した。
  • 吉田 道雄
    1976 年 16 巻 1 号 p. 68-73
    発行日: 1976/08/30
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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