実験社会心理学研究
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17 巻, 2 号
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  • 水野 博介
    1978 年 17 巻 2 号 p. 77-87
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    人々が, なぜ日常的にマス・メディアに接触するのかという“動機”については, 未だ確固たる定説と呼びうるものはない。従来, これに関して, さまざまな社会学的あるいは社会心理学的な説明がなされてはきたが, そこで想定される動機は, 二次的派生的なものであるか, そうでないとしてもごく限られた状況でしか妥当でないようなものであった。
    しかるに, Berelson (1949) の研究や池内 (1965, 1974) の説から, マス・メディア接触行動の基礎には, もっと無意識的で, 一般的な動機づけの要因があることが示唆される。他方, 最近の社会心理学の分野では, Sales (1971) などによって, 人間の社会的行動を動機づけているものとしての一次的生理的な「刺激欲求 (need for stimulation) 」について, 研究がなされてきた。
    以上のことから, 一次的かつ無意識的な動機である「刺激欲求」が, それ自体社会的な行動であるところのマス・メディア接触行動を基礎づけているという理論仮説が立てられた。そこから, Salesと同様にして, 運動感覚残効メジャー (the kinesthetic aftereffects measure) を, 被験者の刺激欲求のレベルの測定に利用し, そのレベルの高さと被験者の示すさまざまなマス・メディアへの接触の量 (頻度) との関係を調べると, そこには正の相関があるだろうという作業仮説が導かれる。本研究の主目的は, この作業仮説を検証することである。
    本研究の被験者には, 小学校3年~5年の男女48名を用いた。結果は, マンガ本を除く, テレビ, ラジオ, および本 (童話・物語など) の3つのマス・メディアについては, 被験者の接触量 (頻度) と刺激欲求のレベルの高さとの間に, 全被験者を通じて正の相関があり, しかも, テレビと本については, 相関の大きさは, 統計的に有意であった。これは, おおむね仮説を支持する方向にある結果である。
    ところで, 刺激欲求レベルと, マス・メディア接触以外の他の日常的な諸活動との関連を調べてみると, 刺激欲求レベルが平均以上の被験者群は, 平均未満の被験者群よりも, 諸活動の頻度が高く (いくつかの活動については, 2群の頻度の差は統計的に有意だった), この欲求が, さまざまな社会的行動の基礎になっている可能性が確認された。また, テレビ視聴に関する被験者自身の意識的な態度は, 刺激欲求のレベルと全く関係がなく, この欲求が無意識的なものである可能性も支持された。
    マンガについては作業仮説が成り立たなかった理由に関して, 考えられることは, マンガが, この年令の子どもにとって, すでに刺激欲求を満たすのに十分な複雑さをもつ刺激ではなく, そのため, 刺激欲求の強い子どもは, マンガにそんなに接触しようとはしない, ということなどであった。全部で3つの可能な理由を提出したが, いずれも, さまざまな含みをもっているが, ここでは十分妥当な説明力はないように思われる。
    作業仮説は, 理想的には, マス・メディア接触行動の“総量”について述べられるべきであったが, 実際に“総量”を査定することは困難であろうと思われ, 本研究では, 素朴な仮定を前提として, 第1次近似的な上述の作業仮説を検証しようとしたわけである。将来においては, 多様な変動要因を考慮した, より高次な仮説について研究がなされるべきであろう。
  • 石井 滋
    1978 年 17 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 監督者のPM式リーダーシップ・タイプのちがいが, 部下の責任感, 満足度や離職希望に及ぼす効果を検討し, さらに, その効果の心理的メカニズムを部下が知覚した影響力, および監督者と部下との知覚した影響力の差という観点から分析しようとするものである。
    対象はクレーン作業に従事する男子73名で (平均年令23才), 質問紙調査法を行った。
    結果は, pm型に較べPM型の監督者のもとで部下の満足度は高く離職希望は低かった。また, pm型に較べPM型の監督者のもとで, 部下は影響力 (特に対人的影響力) をより多く持っていると知覚しており, この影響力の程度が高い程, 部下の責任感や満足度が高く, 離職希望が低いことが認められた。一方, 監督者と部下との影響力の差という観点から分析した結果, pm型の監督者のもとでその差が大きく, PM型の監督者のもとで差が小さかった。さらに, 監督者と部下との影響力の差が小さいほど, 部下の責任感や満足度は高く離職希望が低いことが示された。しかしながら, 決定における部下の影響力と離職希望との間には有意な差は認められなかった。
    これらの結果は, 一応仮説を支持するものであり, 集団や組織において欲求充足に及ぼす個人の持つ影響力が重大な問題であり, そのことを規定している重要な要因がリーダーシップであることを示している。
  • 境 忠宏
    1978 年 17 巻 2 号 p. 97-109
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, 公的表明による判断へのcommitment成立前後の情報接触傾向 (情報の読みたさを測度とした) と情報受容 (確信度の変化を測度とした) という情報行動の様相を, 情報源との判断の一致・不一致, 態度の類似・非類似, 手掛り情報の同・異という3要因から検討した。
    本研究の主な結果は次の通りである。
    (1) 公的表明前では, 判断の一致・不一致による情報接触傾向の相違はまったく見られず, 態度の類似性と手掛り情報の異同との交互作用が見られ, 態度が類似しているときには手掛り情報が同じときよりも異なるときの方がより情報接触傾向は高いことが示された。この傾向は, 環境を把握するためにより新たな情報を求めるという探索型の情報収集行動を示すものと解釈される。
    (2) 公的表明後では, 手掛り情報が同じで判断が不一致な場合と態度が類似していて判断が不一致な場合には他の場合よりも情報接触傾向はより低いことが示され, この傾向は判断に強い脅威を与えるような情報は回避するという確認型の情報収集行動を示すものと解釈された。
    (3) 判断の一致しているものからの情報による確信度の変化では, 公的表明前では態度の類似しているときよりも非類似なときの方が確信度はより高まり, 公的表明後では態度が類似しているときの方が確信度はより高まった。この結果は, 公的表明前では視点の異なるものからの合意により影響されやすいという探索型の情報受容を, 公的表明後ではより親近感や好感をもてるものからの合意により影響されやすいという確認型の情報受容を示すものと解釈される。
    (4) 判断の不一致なものからの情報による確信度の変化では, 公的表明前では態度が非類似なときに確信度が高まり, 公的表明後では態度が類似し手掛り情報が同じときにのみ確信度の減少が見られた。この公的表明前の傾向は, 認知的斉合の達成を目ざす確認型の情報行動を示し, 公的表明前では探索型の, 公的表明後では確認型の情報行動が見られるという本研究の仮説を否定するものと解釈され, 不一致情報の受容に関してはさらに理論的検討の必要なことが指摘された。
  • 藤田 綾子, 大前 怜子
    1978 年 17 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to analyze the mutual cognition between child and parents for parental leadership by factor analysis.
    Subjects are junior highschool students 140 (Male; 75. Female; 65) and their parents.
    Factor analyses are done separately upon the correlation super matrices 52×52 (parental cognitive items 26; child's cognitive items 26) of four groups (75 pairs of son-father and son-mother, 65 pairs of daughter-father and daughter-mother) The following results are found;
    Performance factor contains the control and autonomy items in parents and the control and care items in child.
    Maintenance factor contains the emotional support and care items in parents and emotional support and autonomy items in child.
    The results are discussed that the common and cross dimension must be considered for the mutual cagnition between child and parents.
  • メガネ着用効果の検討を中心に
    斉藤 耕二
    1978 年 17 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    視覚的媒体を利用して, 対象者についての刺激情報を示した際のパーソナリティ判断における規定要因を明らかにするために, 被験者の性, メガネ, 呈示, 対象者の性を要因として25尺度 (特性) について評定されたパーソナリティ判断について分散分析を行なった。
    その結果メガネをかけることによってかけていない場合より知能が高く判断されることが, これまでこうした事実が明らかにされている諸国と文化的背景を異にするわが国でも見出された。
    メガネをかけた場合に知能が高く判断されるのは, 対象者についての情報が不十分な条件下に限定されるというArgyleの理論を, メガネ要因と呈示要因の交互作用として検討した結果, 支持する事実を見出すことができなかった。
    またメガネをかけることの効果が, 知能のみでなく他の多くのパーソナリティ特性におよぶであろうという予想は, メガネ要因が半数を越す多くの尺度で有意であったことによって支持されている。このことよりメガネをかけている, いないによって知能をふくめて数多くの特性についての判断が異なってくることが明らかになった。
    メガネをかけることのパーソナリティ判断への効果が, かける人の性によって異なるのではないかという予想と一致する有意な効果は, 25尺度中わずか1尺度で見出されただけにすぎず, 実験的条件のもとでのパーソナリティ判断では, メガネ要因と対象者の性要因の交互作用は大きな効果をもつものではなさそうである。
  • 三隅 二不二
    1978 年 17 巻 2 号 p. 129-130
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 大橋 正夫
    1978 年 17 巻 2 号 p. 131-132
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 水原 泰介
    1978 年 17 巻 2 号 p. 133-134
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 中村 陽吉
    1978 年 17 巻 2 号 p. 135-136
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 木下 冨雄
    1978 年 17 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 橋口 捷久, 藤田 正
    1978 年 17 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 狩野 素朗
    1978 年 17 巻 2 号 p. 146-147
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 狩野 素朗
    1978 年 17 巻 2 号 p. 148
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 三宅 和夫
    1978 年 17 巻 2 号 p. 149
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 永田 良昭
    1978 年 17 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 林 知己夫
    1978 年 17 巻 2 号 p. 153
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 広
    1978 年 17 巻 2 号 p. 154-155
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 大橋 英寿
    1978 年 17 巻 2 号 p. 156-157
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 糸魚川 直祐
    1978 年 17 巻 2 号 p. 158-159
    発行日: 1978/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 17 巻 2 号 p. 164a
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 17 巻 2 号 p. 164b
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 17 巻 2 号 p. 164c
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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