実験社会心理学研究
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19 巻, 2 号
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  • 青野 篤子
    1980 年 19 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 空間行動 (対人距離・体の向き) の発達的プロセスを, 性の組合せ・対人感情との関連において検討するために行われたものである。被験者は小学校3年生・同5年生・中学校2年生・大学生の男子ペア・女子ペア・異性ペアがそれぞれ10ペアずつ, 合計240名 (120ペア) であった。
    それぞれのペアが, 好意的関係・非好意的関係の役割で, 話し合いの場面を演じているところが写真撮影され, 写真の分析によって対人距離と体の向きが測定された。
    本研究の主な結果は以下の通りである。
    1) 年齢が上るに従い, 同性ペアの対人距離が直線的増大を示す傾向があるのに対し, 異性ペアの対人距離は思春期前・思春期を頂点とする曲線的変化をたどる。
    2) すべての年齢段階において, 男子ペアは女子ペアよりも大きい対人距離をとる傾向のあることが見出された。
    3) すべての年齢段階において, 好意的ペアは非好意的ペアよりも小さい対人距離を示した。
    4) すべての年齢段階において, 好意的ペアは, 非好意的ペアよりも直面して相互作用を行うことが多い。
    5) 大学生になると, 直面よりもむしろある程度の角度をもった体の向きが多く現われるようになる。
  • 次元の一般性におよぼすStimulus Personおよび被験者の性の影響について
    松原 敏浩, 内田 敏夫
    1980 年 19 巻 2 号 p. 107-117
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, パーソナリティ認知の次元の一般性について, SPの差異および被験者の性別との関連において検討しようとした。すなわち, 認知次元として比較的一般性のある次元と, SPや被験者の性による差異に伴って個々の場合に比較的特有な次元とについての比較検討である。被験者は大学生324名 (男子212名・女子112名) であった。SPは父・母・きょうだい・友達 (同性) ・友達 (異性) ・教師・親戚・その他 (有名人) の8種であり, 各SPを判断する特性語は青木 (1972) の代表的な特性語57語を用いた。特性語相互の類似性を全被験者 (男女別) をコミにした特性語間連帯出現頻度によってSPおよび被験者の性別ごとに求め, これを距離データに変換した。特性語の構造空間を距離データに対するCarroll & Chang (1970) のINDSCALモデルの適用により, 共通次元空間として5次元まで求めた。5次元の内容を解釈した結果, 各次元はその相対的な重要度の順に, “社会的評価”, “強靱性”, “個人的親しみ易さ”, “主体性”, “粘着性”であった。但し, これら5次元のうち後者の3次元については, 次元内容 (各特性語の布置パターン) に若干特異な傾向が部分的に認められ, かかる意味において過大な一般化は尚早と思われた。なお, 5次元間には, ほとんど相関がなかった。つぎに, 共通次元に対するウェイトをSPをコミにして見た場合, 各次元に対するウェイトのバラツキが男子においてよりも女子において大きく, その意味から女子では次元の用い方が男子との比較においてあまり均等ではなかった。個々のSP別にウェイトを見ると, ウェイトの相対的な高さという意味における主要関連次元の数は, SPの内容にもかかわらず, 男女ともにほぼ2~3次元といえた。すなわちどのSPにも共通して関連する次元は“社会的評価” であり, それについでほとんどのSPに共通するのは“強靱性” であった。そしてSP内容に応じて第3の次元が関連するという場合が一般的であった。また, 主要関連次元が各SPに関連するパターンを見ると, 男子ではSPの種類によってパターンがかなり異なるのに対し, 女子では同じようなパターンで認知する傾向が強いと思われた。
  • 石田 裕久
    1980 年 19 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 集団目標もしくはそれに至る下位課題のステップを明示することが, 集団問題解決の認知・態度両側面に及ぼす効果について検討したものである。設定された条件は, 目標課題および作業ステップ数が明瞭 (GP), 目標課題のみ明瞭 (G), 作業ステップ数のみ明瞭 (P), 目標課題・作業ステップ数とも不明瞭 (N) の4条件である。課題は, 先ず漢字の組み立てを3回行なった後 (下位課題), そこでできた漢字をもとに3文字熟語を4個作るというもの (目標課題) であった。
    対象は中学校1年生で, 知能に関して集団内異質, 集団間等質の同性よりなる3人集団を構成し, 各条件に男女それぞれ2群ずつを割りあてた。
    主な結果は以下のとおりである。
    1) 下位課題の各ステップにおける解決時間には, 条件群間で差がなかった。これは, 一種のパズル課題であるという本課題の特質によるものと考えられた。
    2) 目標課題の生産性については, 漢字・熟語ともGP条件群の成績が最も高く, N条件群が低くなっており, 集団問題解決における目標および下位ステップ数提示の有効性が確かめられた。また, こうした傾向は, 集団, 個人のいずれのレベルの成績でも認められた。
    3) 目標課題で達成された成果の把持においても, 統計的に有意ではないが, 目標・下位ステップ数提示が効果を持つ傾向が示された。
    4) 各成員は, 課題・解決過程・他成員に対して一般に高い参加度を示す傾向にあり, 目標提示が集団問題解決の態度的側面に及ぼす効果については, 条件による差は見られなかった。
    以上の検討に加えて, 今後に残されたこの領域での問題についての討論を行なった。
  • 成員間相互作用における阻害要因の検討
    杉江 修治
    1980 年 19 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    集団問題解決において, 問題解決能力の高い成員同士からなる集団では, 協同事態での問題解決過程でも, 互いに成員が競合する形での相互作用が多く生じ, 集団のパフォーマンスにネガティヴな効果がみられることが杉江 (1976) の研究で示された。本研究は, 比較的長い解決時間を要する課題を用い, さらに集団構成の条件も増すことにより, 上記の結果の一般性を検討したものである。
    被験者は小学校5年生。解決に5分前後を要する組み合せパズルを課題とした。解決に先立ち, 個々の被験者に3水準の量の課題関連情報を与え, 非常に情報が多い者同士, 多い者同士, 多い者と少ない者という2人集団3条件を設定した。課題は成員間相互作用の必要性の多少により規定される, 易・難2水準のものを用いた。本実験に入る前に, それと同様の手続きで2回の問題解決を行なう。集団は協同事態である旨の明確な教示をうける。
    結果及び考察は次のように要約される。
    1) 問題解決過程での競合は, 高能力の成員同士の集団では, 他の集団構成の条件に比べて, より多く生じる。ただし, 長い解決時間を要する課題事態では, 短い時間を要する場合よりも, より高い能力の成員同士でなくては, 競合の生起は顕著ではない。
    2) 課題領域での生産性は, 課題の解決時間が長くなり, 課題特性の面でも相互作用の必要性が増大するにつれ, 高能力成員同士の集団が他の条件よりもすぐれる傾向がみられる。この結果は, 課題領域では, 競合よりは他の, たとえば集団内の役割分化の適否のような阻害要因が, 他条件で強く作用したためと考えられた。ただし, 社会・情緒的領域での生産性では, 競合生起によると考えられるネガティヴな効果が, 高能力成員同士の集団でみられた。
  • PDゲームを用いて
    濱 保久
    1980 年 19 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 社会的相互作用場面において, 具体的な目標の設定が, プレイヤーの戦略決定行為にどのような効果をもたらすかをPDゲームを用いて検討した。被験者は男子大学生で, 彼らは, この実験は2人で行ない各自が獲得した得点はデジタルで表示されるが, 20試行終了ごとに合計点が0点に戻されるという説明をうけた。実験Iにおいては, 目標得点 (50) の教示を第2セッションにのみ導入し, 目標設定を用いない対照群との間で協力反応率がどのように異なるかを検討した。また, さくらと被験者がプレイする条件と2人の被験者が任意にプレイする条件との間の協力反応の相違について検討した。実験IIにおいては, 目標得点の水準を30, 40, 50, 60, 70, のそれぞれに設定し, この水準と協力反応の関係を分析した。また実験Iおよび実験IIにおいて, 目標不達成の場合に減点法によるペナルティを与えて, それが協力反応におよぼす効果を検討した。実験Iおよび実験IIをとおして, 第1, 第2および第3セッションを行ない, 各セッションは20試行を1単位として40試行で構成された。また両実験において, 目標得点教示が与えられない第3セッションでの協力反応の変化を検討した。
    主要な結果はつぎのとおりである。
    1) 50点の目標設定は協力反応を有意に増大させ, この効果は目標設定をとりのぞいた後続遂行にまで持続した。
    2) 反応一致率を75%に操作したさくらを用いた条件と, 2人の被験者が任意にプレイした条件との間に有意な差はみられなかった。
    3) ペナルティの効果は全くみられなかった。
    以上の結果から, 完全な相互協力を必要とする水準で目標得点を設定することは, 被験者にかえって心理的圧力をかける結果となり, むしろその水準よりやや低い水準で目標得点を設定することが協力反応の増大に最も効果的であるという知見を得ることができた。
  • 大里 栄子, 小川 暢也, 三隅 二不二
    1980 年 19 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 被験者2名よりなる問題解決場面における言語教示の効果を, 問題解決時間, 心拍数, および自己認知を指標として検討することを目的とする。このさいの言語教示は, 1) 競争で問題解決を指示するもの, 2) 競争ではなく, 気楽に行うことを説示するもの, 3) テスト開始のみの三条件である。このさい, pairedsituationにおけるarousal levelは, 個別のテスト状況におけるより高くなるという以前の結果に基づき, 競争的教示は, さらにarousal levelを高め, over arousalな状態を惹起し, その結果問題解決の成績を低下させ, 一方非競争的で緊張を柔らげる教示は, optimalなaro-usal levelに接近させ, 問題解決を促進させるであろうということを仮説とした。
    対象は, 年令19才から20才の健康な女子学生30名で, これを各群10名 (=5組) の3群に分けた。手続は, まずSpielbergerによるSTAI-I型により状態不安state anxietyを測定した後, 安静時心拍を1分間測定し, ついで教示表によって施行法を理解させ, 練習課題を施行した。その後5問よりなる本課題を与え, 問題解決前にヘッドホーンより3種の教示条件のいずれかを与えた。課題解決時間はタイマーにより測定し, 心拍数はcardiotachometerによって, テスト前, 教示中, テスト後と連続的に測定し, 10秒間の最高, 最低値を記録した。テスト後心理学的時間を評価法estimation methodにより測定し, さらにState anxietyおよび質問紙による自己認知を測定した。テスト課題は, LIS推理因子測定尺度-精密測定用Dにおける問題を応用したものを用いた。
    主要な結果は次の通りである。
    1) 三種の言語教示に対する認知をPMスケールにより測定した結果, 競争的教示は遂行機能のP型に認知され, 非競争的教示に対しては維持機能M型に認知された。
    2) 問題解決時間は, テスト間に差が認められ, テスト2, 3において遅延した。群間の差は, テスト2, 3において非競争的教示群が他の二群よりも速い傾向にあり, テスト5において競争的教示群は対照群より速い傾向にあった。テスト1, 4については群間に差は認められなかった。
    3) 心拍数は, 施行法を示した教示表を与えた時点, さらに練習時に増加した, 教示条件を導入すると, 競争的教示群および対象群は再び増加するが, 非競争的教示群においては変化が認められなかった。教示条件導入後の心拍数を練習時からの変動でみると, 競争的教示群はテスト1で顕著に増加し, テスト4, 5において練習時以下に低下した。これに対し, 非競争的教示群はテスト1で減少し, 両群に差を認めた。
    以上の結果, テスト課題が困難な状況においては非競争的教示が, 容易な課題および慣れの生じた時点においては競争的教示が遂行行動にとってoptimalな効果をもつことが示唆された。
  • 態度構造変容と機能的アプローチ
    高橋 哲郎
    1980 年 19 巻 2 号 p. 155-164
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, Janis & Mann (1968) の提唱する意思決定と態度構造変容過程を分析するために, 先の研究で高橋 (1977) が報告した「Emotional Role-Playingにおける共感的把握が態度・行動の変容と持続に及ぼす効果」に基づく一連の研究である。
    先の研究では, 態度・行動変容の5連続場面を設定し, 変容プロセスを配慮したが, 本研究では, 5連続場面の各場面で採用される意思決定を効果的にするために, 受け手の態度機能と態度の構成要素を分析し, 更に両者の関係を明らかにすることにより, 態度・行動変容の外部的・内部的要因を同時に考慮しなければ変容の的確な予測は不可能であるとするKatz (1960) の機能理論を実証するために計画された。
    第I研究は, 態度機能, 構成要素を因子分析によって抽出し, 両者の相関関係を明らかにすることであった。
    第II研究では, 第Iの研究で抽出された3機能を集団決定, コンスィダレーション, 科学的情報提示の3操作で変容させ, これら諸機能が態度の構成要素にどのように影響を及ぼすかを知ることにより態度構造 (機能と構成要素) の内的変容過程を分析したものである。
    被験者は, 第I研究では, 福岡市内男女大学生喫煙者137名, 平均喫煙年数3.2年, 1日喫煙本数20本, 第II研究では, 福岡市内男女大学生喫煙者103名, 1日平均喫煙本数13本, 平均喫煙年数4年であった。
    主な結果は次の通りであった。
    (1) 態度形成の源泉である態度の3機能と態度の5構成要素が抽出された。
    3機能は, 第I因子-対人場面における緊張緩和の機能, 第II因子-自己顕示機能, 第III因子-社会的規範への同調機能であった。
    態度の6構成要素は, 第I因子-行為傾向, 第II因子-感覚的評価, 第III因子-気分的感情, 第IV因子-感覚的感情, 第V因子-対人関係評価, 第VI因子-健康評価であった。
    (2) 態度機能と構成要素との間には, 部分的にしか相関を見い出すことができなかった。
    (3) 態度機能を変容させるための操作が考慮された。対人場面における緊張緩和の機能には, 集団決定法, 自己顕示機能には, コンスィダレーション (解釈的コミュニケーション) 社会的規範への同調行動の機能には, 科学的情報提示であった。
    各操作は, 緊張緩和の機能の操作を除いて, 十分ではなかったが, 構成要素に有意に影響を及ぼした。
    以上, 態度機能の変容が構成要素を変容させる上に密接にかかわっていることが示唆されるとともに, 変容の効果的方法として態度形成のメカニズムを考慮すると同時に, 変容への抵抗を柔ららげることの必要性が再確認された。
  • 三井 宏隆
    1980 年 19 巻 2 号 p. 165-174
    発行日: 1980/02/15
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181b
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181c
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181d
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181e
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181f
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181g
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181h
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181i
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181j
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181k
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181l
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 19 巻 2 号 p. 181a
    発行日: 1980年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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