実験社会心理学研究
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20 巻, 1 号
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  • 山口 勧
    1980 年 20 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    The present study manipulated fear-arousal (fear, non-fear) and anonymity (high, low) in a 2×2 factorial design. From the theory of deindividuation (Zimbardo, 1969), the two varlables were expected to induce an internal state of deindividuation, and thereby disinhibit aggressive behavior.
    Fifty-seven male undergraduates were randomly assigned to each of the four experimental groups. The subjects were asked either to take a pill which had side-effects (fear condition), or to take coffee (non-fear condition). In addition, the subjects in the low anonymity condition were asked their name and about their personal backgrounds, and they were always called by name during the experiment. They were also given a name tag to wear. In the high anonymity condition, subjects were not asked their name nor anything about their personal backgrounds. Instead, they were given a white robe to wear to decrease individuality.
    The subjects were then given an opportunity to deliver electric shocks to another subject (confederate) through a Buss-type aggression machine. Both the intensity and duration of the shocks were recorded during the administration of aggression. Deilldividuation was measured on a postsession questlonnaire that assesed the subjects' memory of their own aggressive behavior.
    Prior to statistical treatment, two orthogonal variates, direct aggression and indirect aggression, were identified by a principal component analysis of the aggression data. The effects of fear arousal and anonymity manipulation upon the variates were as follows: (a) fear arousal increased indirect aggresson but did not affect direct aggression; (b) anonymity manipulation affected direct aggression but did not affect indirect aggression. The questionnaire data did not confirm the mediation of the deindividuated intemal state.
    It may be concluded that fear arousal and anonymity manipulation affected different aspects of aggressive behavior, though it remains uncertain whether or net the effects were mediated by the internal state of deindividuation.
  • 大坊 郁夫
    1980 年 20 巻 1 号 p. 9-21
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 対人的な親近性認知の斉合性, および認知された親近性の程度が, 2者間会話における言語活動性に及ぼす効果を考察することである.
    看護学校女子学生に, 学級内の他成員との日常の接触度評定を求め, その結果に基づき, 2名が相互に高接触者であると認知した相互高接触認知 (MRHC) 群, 低接触認知 (MRLC) 群, 一方 (選択者, C) は相手 (被選択者, C) を高接触者と認知するが, 相手の方はそう認知していない一方的選択 (OC) 群, 各群8組ずつ計24組を構成し, 非対面的な会話実験を行なった. なお, 会話の話題としては, 2人の会話者が一致して高興味 (HS), 低興味 (LS) とあらかじめ評定した話題を用いた. 群内では話題の呈示順序を相殺して, 18分間1セッションを同一日内に, 2セッション実施した. 会話実験前後には, 会話相手に対するパーソナリティ認知評定を求めた.
    言語活動性指標としては, 時系列的に0次の4状態 (同時沈黙, 自己の単独発言, 相手の単独発言, 同時発言) を基本とし, 2次状態までを用いた.
    対人的親近性の程度は, 会話者共同の言語活動性と正の直線的な対応を示し, MRHC群の言語活動水準が最も高い. また, 時間経過に応じて, OC群の発言活動は低減するが, 他2群は, 各々の水準で安定し, 変化がない. 個体の言語活動水準を比較すると, OC群のCが最大, Cが最小となり, また各群の話者間の水準を比較しても, 他2群に比べてOC群のC>Cは顕著である. 親近性認知が斉合している群では, 活動性は安定しているが, この認知の不一致な群では, 活動性は低下する方向へ変化し, 話者間の落差も大きい. なお, 話題の興味度は, 言語活動水準と高い正の対応関係を示している.
    パーソナリティ認知評定については, 全般に会話後の方が友好的な方向へと変化するが, とりわけあらかじめの接触の少なかったMRLC群の変化が大きい.
    これらの結果から, 会話の言語活動性の全般的な水準は, 対人的親近性の程度と, またその活動性の安定性は, 認知の斉合性と対応しており, 認知不一致群では, 負の同調傾向-会話の分解過程が認められた. このことから, 自他関係の認知の不一致は, 2者間に介在する事象への認知の不一致よりも, 言語活動性を抑制する効果が大きいと考えられた. また, 親近性が高いと, 話題の興味度の違いに敏感に反応することが知られたので, この親近性は, 2者間の介在事象への弁別的な感受性と対応していると考えられた.
  • 古城 和敬
    1980 年 20 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    実験I, IIから成る本研究は, 自己の成功あるいは失敗の原因帰属におよぼすpublic esteemの効果を検討した. 実験Iでは, 被験者は女子大学生44名であり, 課題として平仮名4文字のアナグラムを用いた. 課題遂行後, 偽りのフィードバックを与え, 成功・失敗を操作した. public esteemの操作は, 評価者の存否とそれに対応する帰属報告の形式の相違によって行なった. publicesteemの高喚起条件 (HPE) の操作は, 評価者の存在下での口答による帰属報告の形式によってなされ, 低喚起条件 (LPE) は評価者が存在しない事態での帰属質問紙記入の形式によって操作された. 成功・失敗のフィードバックを受けた後, 被験者は, public esteemの高低のいずれかの条件で自己の成功あるいは失敗を能力, 努力, 課題の困難度および運に帰属するよう求められた. 帰属得点は, 原因間の一対比較によって測定された.
    実験IIは実際の教育場面を用いて行なわれた. 課題は教育心理学テストであり, 全受講生169名の中から, その成績の上位者, 下位者各30名計60名を抽出し, それぞれを成功群, 失敗群とした. public esteemの操作は実験Iと類似しているが, 高喚起条件は, 評価者の重要性の要因によって二分され, 一方は教育心理学担当教官への口答による帰属報告群, 他方は心理学科1年生への口答による帰属報告群であった. 低喚起群は, 集団内での帰属質問紙記入という形式で操作された.
    主な結果は次のとおりである.
    1. LPE群は相対的に自己の成功を内的原因に, 失敗を外的原因に帰属した. 他方, HPE群はLPE群よりも, 成功をより多く外的原因に, 失敗をより多く内的原因に帰属した. したがって, Bradley (1978) の, self-serving biasの拡大公式は支持された.
    2. 評価者の重要性の相違はself-serving attributionに対して明確な効果を示さなかった.
  • 魅力次元との関連において
    藤森 立男
    1980 年 20 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 魅力次元を明らかにし, 各魅力の主要次元における態度の類似性と話題の重要性が対人魅力におよぼす効果を検討した.
    実験Iは, 5~7日の間隔で実施され3セッションからなっていた. 第1セッションでは, 予備調査に基づき, 8つの重要な話題 (質問紙α) と8つの非重要な話題 (質問紙β) を態度尺度として選び, 70人の被験者に6ポイント・スケールで評定させた. 第2セッションでは, 被験者の半分は, 同じ8つの重要な話題に反応している5人の質問紙αを提示され, その後で26の魅力評価尺度にそれぞれの人の評定を求められた. 5人の反応は, 被験者の反応と0%, 25%, 50%, 75%, 100%の類似性に操作されていた. ここで言う類似性とは, 8項目に対して占める被験者と提示人物との類似反応の比率のことであった. 非類似反応は, 被験者の反応から3ポイントずれており, 類似反応は常に同じであった. 第3セッションでは, 被験者は, 8つの非重要な話題に反応している5人の質問紙βを提示され, それから, それぞれの人の評定を求められた. 残りの被験者は, 第2セッションでは, 5人の質問紙βを, 第3セッションでは, 5人の質問紙αを提示された.
    実験IIは, 実験Iとほぼ同じであったが次の2点が異なっていた. (1) 被験者は, 3人の反応 (0%, 50%, 100%の類似性) を提示された. (2) 非類似反応は, 1ポイントずれていた.
    主要結果は, 以下のとおりであった.
    1. 魅力評価尺度の相関行列をprincipal componentanalysisに掛け, 有意味な因子と考えられる4因子をvarimax法により直交回転させたところ, 親密, 交遊, 承認, 共同などの因子が見出された.
    2. 両実験において, Byrneによって提出された態度の類似性-魅力理論は, 十分に確証された. すなわち, 態度の類似性の効果は, 各魅力次元において非常に有意であり, 態度の類似性が高くなるにつれて, 他者に対する魅力も高くなる傾向が見出された. しかし, 項目の重要性の効果は, 全般的に見られなかった.
  • トラッキングゲームにおけるコミュニケーションの効果
    松本 芳之
    1980 年 20 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究はDeutschとKraussのトラッキングゲームを用い, 利害対立を含む相互作用場面におけるコミュニケーションの効果を検討したものである.
    実験Iでは, ゲームの基本的要件を確認するという目的から, ゲートの有無とコミュニケーションの有無の条件を取りあげた. コミュニケーションは, 各試行終了後メッセージを交換するという方法を取った. ゲートの存在は関係調整の妨げとなることが確認されたと共に, 直接のコミュニケーションは調整を促進させる働きを持つこと, この傾向はゲートの存在する条件で強いという結果を得た. こうしたコミュニケーションの効果は, 相互作用を持続させることで, 被験者の事態の了解に影響する, という点に起因することが示唆された.
    そこで実験IIでは, コミュニケーションが有効となり得ないという結果は, 何らかの理由で被験者が実験開始時の場面の理解に固執したことに帰因する, という仮説を検証した. 被験者の場面の理解を規定する方法として課題提示, 具体的には実験に先立つ練習試行の内容を変えることで操作した. 調整条件では, 互いに納得できる合意形態を練習することで, 交渉場面に含まれる協力的要素を強調した. 一方, 対立条件では, 互いに対立する結果相手を妨げるためにそれぞれの勢力に訴えるという交渉場面の競争的要素を強調した. この条件それぞれに対してコミュニケーションの有無の条件 (方法は実験Iと同様) を設け, 交渉過程との関係を検討した.
    結果は, 被験者が交渉場面をどう理解するかが交渉過程に大きく影響し, 調整条件で得点が高いことが示された. 一方, コミュニケーションの有無による差は見られなかった.
    しかしながら, 他の行動側面を詳しく検討した中で, 従来コミュニケーションが有効性を持ち得ない点で注目されていた条件にあたる, 対立条件では, コミュニケーションの存在が相互作用の展開を両極化させること, すなわち, 容易に調整に至る場合と, 逆にかえって対立が強まる場合とに分かれる傾向があり, その差が増大することが明らかになった. 更に, 相手に依存しない選択手段は, 対立の進行にとって一種の宥和作用を持つことが示唆された.
  • 釘原 直樹, 三隅 二不二, 佐藤 静一
    1980 年 20 巻 1 号 p. 55-67
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は新しく考案された装置を用いることによって集団の大きさが模擬被災状況における避難行動, 即ち, 脱出成功率や混雑発生の度合, 脱出や攻撃, 譲歩反応の生起, 競合過程に及ぼす効果について実験的に検討したものである.
    被験者は制限時間内に, 電気ショックがくるという危機的場面から脱出しなければならない状況におかれた. 但し, 脱出口は1つしかなく, しかも複数の人間が同時に通り抜けることはできないように実験事態が設定されていた. そのうえ, 1人が20秒 (脱出ボタン100回の打叩時間) 近くも脱出口を占拠する必要があった. 混雑が生じた際には, 被験者は攻撃か譲歩かまたは全然反応せず他者の反応を待つという3つの解決方法を執ることができた. 実験は暗室でおこなわれ, 聴覚はwhite noiseで他の音から遮断されていた.
    本実験の条件下において次の結果が見出された.
    1. 集団の大きさの変化にかかわらず, 1人当りの脱出許容時間を一定にした条件下で, 集団の大きさが増大すれば, それにともなって混雑が大きくなる. そして, 脱出率は低下する. 特に, 4人集団と5人集団の間の脱出率の低下が顕著であった.
    2. 集団サイズが大きい場合, 即ち, 7人, 9人の場合や小さい場合, 即ち, 3人, 4人の場合より, その中間の6人の場合に, 最も競争的反応がみられた. それは不安定な報酬構造という観点から解釈された.
    3. 時間経過に伴って攻撃反応が増大し, 譲歩反応が減少するような状況は全員脱出に失敗することが明らかになった.
  • D.M. Pestonjee, A.P. Singh, U.B. Singh
    1980 年 20 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    Present investigation attempts to isolate those personality factors which are predominent in accident-prone drivers. The study was conducted at the Passenger Bus Depot of the U.P. State Road Transport Corporation, Azamgarh. Hindi version of Cattell's 16 PF Test was used to assess the personality of these drivers. The study was conducted on a total sample of 40 drivers divided into two groups of 20 drivers in the each group. The first group included drivers with accident records (AG), and the second group included those driverss who were free from accidents (NAG). The accident group was further divided into two sub-groups, namely, multi-accident group (MAG) and single-accident group (SAG). There were 14 drivers in the SAG and 6 in the MAG.
    The results were analysed in terms of mean, S. D., and F-ratios. The findings of the study indicate that drivers involved in accidents are characterized by such personality traits as happygo-lucky, impulsive, gay, enthusiastic, shy, restrained, diffident, timid, tenderminded, dependent, overprotected, sensitive, apprehensive, worrying, depressive, throubled adequacy, anxiety and introversion. Those drivers who were free from accidents were found to be sober, prudent, serious, venturesome, socially bold, uninhibited, spontaneous, tough-minded, self-reliant, realistic, placid, confident, serence, adjusted and extravert.
  • 課題遂行能力に関して
    上田 敏見, 谷口 勝英
    1980 年 20 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 社会的望ましさと誘引との関係を明らかにすること, 自己評価の高低がこの関係にどのようにかかわっているかを確かめることを目的として行われた.
    116人の被験者が, 課題遂行能力において, すぐれた人, 類似した人, 劣った人の3人の刺激人物を, 課題遂行のパートナーとして, 遊び友達として, リーダーとして, どの程度好ましいかを評定した.
    主な結果は, 次の通りであった.
    (1) 作業のパートナー, 遊び友達としては, すぐれた人より, 類似した人の方が好まれる.
    (2) リーダーとしては, すぐれた人が, 類似した人より好まれる.
    (3) 作業のパートナーでは, 自己評価の高い者の方が低い者より刺激人物をより好ましく感じる.
    このうち, (1), (2) については, 場面の特性と社会的望ましさの側面が合致して, 社会的望ましさが本人に直接的に利益を与える時のみに報酬となることを示すものとして解釈された. また, (3) については, 自己評価の高い者の劣等感のなさや, 自己の能力への肯定的是認によるものとして解釈された.
  • 理論ノート
    酒井 春樹
    1980 年 20 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 攻撃促進か攻撃抑制か
    大渕 憲一
    1980 年 20 巻 1 号 p. 85-95
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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