実験社会心理学研究
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20 巻, 2 号
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  • 岡本 真一郎
    1981 年 20 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    情報の望ましさと伝達のメディアが, 伝達される内容の歪みに及ぼす効果と, 付加的に, 両変数が伝達時の音声反応や対人印象に及ぼす影響が検討された.
    被検者は56名の男子大学生で, 実験者1 (E1) から, 実験者2 (E2) への伝言を依頼された. 伝言はE2にとって悪い内容 (E2のデータ分析が大失敗であった) か良い内容 (E2のデータ分析が大成功であった) だった. もう1つの独立変数として, 被験者が伝言をE2に伝えるメディア: 対面-電話が導入された.
    仮説は次のとおりである: 1) 悪い知らせは良い知らせより, 内容が弱めて伝えられるだろう. 2) 対面条件では電話条件より, 悪い知らせの内容が弱めて伝えられるだろう.
    実験の結果, 仮説1) は, 文節数, 述語数, 強め語句, 弱め語句および忠実度の全指標で支持された. 仮説2) はどの指標でも支持されず, 特に弱め語句と忠実度は, 仮説と逆の傾向を示していた.
    音声反応に関しては, 対面条件のほうが電話条件より伝達速度が遅く, 伝達時に笑った被験者が多かった. また, 対面条件の被験者は, E2をより暖かく, より好感がもてると評定し, 被験者自身がE2に対して与えた印象も, より暖く, より好感がもてるものであると評定していた.
  • 吉田 富二雄, 飯田 哲也
    1981 年 20 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    二者会話場面において, あまり濃くないサングラスをかけて一方がその視線を部分的に遮断した場合, 二者間の視線相互作用にどのような変容が生ずるだろうか. 本研究は, 自然面接場面を設定し, 面接者がサングラスをかけたときの効果を, 1) 面接場面全体における視線行動, 2) 面接者発言中および被験者発言中の視線行動, 3) 面接者および被験者の発言終了時点を中心とした局所的視線行動, 4) 面接終了後の質問紙 (内省), 以上4側面から検討することを目的としている.
    被験者は女子大学生28名, 面接者は男子大学生1名. 「筑波大生の生活意識調査」 という名目で招かれた被験者は, 面接者が面接前半でサングラスをかけ後半からはずす群 (S-N群) と前半は裸眼で後半からサングラスをかける群 (N-S群) の2群に14名ずつ割り当てられ, 各々約10分の面接をうける. 面接終了後, 彼女らは面接および面接者の印象を聞く質問紙・不安尺度に答えて実験は終了した. 結果の概要は次の通りであった.
    1) 面接全体における視線行動: 面接者がサングラスをかけることにより (S条件), 被験者の視線行動は, 直視総量・1分当りの平均直視回数・1回当りの平均直視時間の全ての指標において有意に減少した. 同時に, 面接者の視線行動も上記3つの指標において有意な減少を示した.
    2) 面接者発言中および被験者発言中の視線行動: 被験者, 面接者ともに, 自己の発言中に比較して相手の発言中において, 視線行動は有意に増加した. また, N条件に比べてS条件では有意な減少を示した.
    3) 面接者発言終了および被験者発言終了時を中心とした被験者の局所的視線行動: 被験者の視線行動は, 面接者発言終了時点を境として有意に減少し, 逆に, 被験者発言終了時を境として有意な増加を示した.
    さらに, 直視総量に基づき被験者を高・中・低直視群の3群に分けると, 高・中直視群では, 面接者発言終了時を境に直視の急激な減少がみられるが, 低直視群ではそうした変化は認められなかった.
    4) 面接・面接者の印象: N (Nonsunglasses) 条件に比べてS条件において, 被験者はより緊張し, また, 面接者に対してネガティヴな印象をもった.
    5) 相関分析の結果, 不安尺度は被験者の視線行動と有意な負の相関を示し, また, 面接者の視線行動と被験者の視線行動との間には有意な正の相関が見出された.
  • 磯崎 三喜年
    1981 年 20 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 自己評価をなそうとする個人が, 比較情報の有用性及び自尊の感情との関わりで, どのような情報探索を行うかを明らかにするとともに, Festinger (1954a) の述べる向上性の動因 (unidirectional drive up-ward) についても検討を加えることを目的として行われた.
    被験者は大学生84名 (男女各42名) て, 認知的柔軟性や洞察力の豊かさを調べるという偽装目的のもとに, 相互に関連のあるとされる2つのテストを行うよう求められた.
    第1テスト終了後, フィードバックの有無とその性質 (得点の高・低) による自尊の感情の操作がなされた. 第2テストは困難度が10段階のものからなっており, 被験者は, このなかから自らの取り組むべき課題の決定を迫られた. その際, 決定を行う前に他者との比較情報を提供する用意があるので, その必要性などを回答してほしいと告げられる決定前条件と, 決定した後にそうした操作がなされる決定後条件とに分けられた.
    結果は, 決定前条件においてより積極的な情報接触がみられ, 比較情報を有効に利用しうる状況にあるとき, 自己評価への欲求が大となることが示された.
    自尊の感情と比較情報を求める程度との間には明確な関係はみられず, また向上性の動因については, Fes-tingerの考えから予想されるような結果は得られなかった.
  • 倉本 満枝
    1981 年 20 巻 2 号 p. 127-136
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, natural settingであるキャンプ集団において, キャンパーのリーダーシップ行動の変容, および学校生活におけるリーダーシップ行動におよぼすキャンプ経験の効果を検討することを目的としている.
    被験者は, 昭和54年夏に実施した4泊5日のキャンプに参加した5, 6年生児童99名 (5年生58名, 6年生41名; 男子42名, 女子57名) で構成されている. キャンプは5, 6年生別々に行なわれ, 両キャンプとも3日目から4日目にかけて, 1泊の野営をともなうサバイバル・ハイクという, 困難でしかも成員相互の協力なしでは達成できない課題を与えた. その中でグループ編成を操作して, リーダーシップ上位者グループ (HIGH Group), 下位者グループ (LOW Group), 中位者グループ (MIDGroup), 混合グループ (MIX Group) という4種の異なるグループをつくり出した.
    キャンプおよび学校生活でのリーダーシップ行動を測定するために, キャンパー評定, カウンセラー評定, そして担任教師評定によるリーダーシップ行動評定尺度が用いられ, グループ編成と集団効果との関連を検討するために, ソシオメトリック・テスト, 要求水準測定項目, 満足度評定尺度が用いられた. また, リーダー的成員の個人的特性を明らかにするために, 達成動機検査, Y-G性格検査, そして前述のソシオメトリック・テストおよび要求水準測定項目を使用した.
    本研究の結果から次のようなことがらが明らかになった.
    1) キャンパーの相互協力を必要とする困難な課題を与えると, キャンパーのリーダーシップ行動は増すが, もとの状況に戻ると, リーダーシップ行動ももとに戻る.
    2) キャンプ経験によって, 学校生活におけるリーダーシップ行動の向上が認められ, 特に, 対人行動の向上および諸活動に対する建設的, 積極的参加の向上が顕著である.
    3) 集団として最も構造的に安定しているMIXGroupでは, 集団凝集度, 集団業績, 成員満足度といった集団効果が最高であり, HIGH, MID Groupがこれに次ぎ, LOW Groupは最も低い.
    4) キャンプ集団におけるリーダー的成員は, そうでない成員に比べて, 達成動機, 要求水準が高く, 人気は比較的高い傾向があり, 性格的には活動性, 外向性に富んでいる.
    本研究においては, キャンパーのリーダーシップ行動を測定するために, リーダーシップ行動評定尺度を作成し用いたが, 児童のリーダーシップ行動の測定方法について明確なものがないのが現状であり, 児童集団の特性を考慮した, 児童用リーダーシップ測定項目が今後確立される必要があろう.
  • 田崎 敏昭
    1981 年 20 巻 2 号 p. 137-145
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 教師のPM式リーダーシップ行動類型とその基礎としての勢力の源泉との関係を明らかにしようとするものである. 小学校5, 6年生児童375名を対象に, 教師のPM式リーダーシップ行動を測定するための質問紙調査および教師の勢力の源泉を調べるための質問紙調査を行なった. 数量化理論III類による分析の結果, 児童は, PM型のリーダーシップ行動に対して, その勢力の基礎として, 「正当性」 , 「熟練性」 , 「親近性」などの源泉因子を強く付与し, P型のリーダーシップ行動に対しては 「罰」 の源泉因子のみを強く付与していることがわかった. また, M型のリーダーシップ行動に対しては, どの源泉因子も強く付与することはなかった. さらに, pm型リーダーシップ行動は源泉因子とのかかわりがなかった.
  • Waldemar Kippes
    1981 年 20 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    This exploratory study investigated the extent to which the perceived level of interpersonal communication within a given Roman Catholic religious institute influences a religious brother's decision to remain in his religious institute. A six-variable path model explained 16% of the variance in the decisions of a sample of 147 religious brothers. Interpersonal communication affects perseverance positively in an indirect way, i. e., it strengthens friendship and lessens the desire to marry. Interpersonal communication reduces also loneliness. Friendship exercises the strongest positive effect upon perseverance. Desire to marry and problems coping with celibacy have the strongest negative effects upon perseverance. The relationship between friendship and desire to marry needs further investigation.
  • 「不充分な正当化の心理的効果」 に関する実験的知見の総覧に基づく検討
    林 春男, 白井 泰子, 高田 利武
    1981 年 20 巻 2 号 p. 155-170
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • Dissonance theoryとIncentive theory及びSelfperception theoryとの論争を中心にして
    三井 宏隆
    1981 年 20 巻 2 号 p. 171-178
    発行日: 1981/02/28
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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