実験社会心理学研究
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25 巻, 2 号
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  • 三隅 二不二, 岩井 紀子
    1986 年 25 巻 2 号 p. 95-106
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は産業組織体の管理・監督者のリーダーシップ行動の恒常性に対して人事異動が与える影響を検討したものである。とくに異動前と異動後の職務内容の類似性ならびに職場異動の要因がもたらす効果に着目した。
    2つの銀行を対象として, 約1年の間隔をおいて連続5回 (B銀行では6回) にわたって, 三隅 (1970) の開発したリーダーシップPMサーベイを実施した。A銀行では565名のリーダーの資料が, B銀行では1, 489名のリーダーの資料がえられた。各リーダーは平均6~7名の部下から評定されていた。主要な結果は以下のとおりである。
    1. A銀行・B銀行のいずれにおいても, 管理・監督者全体にみても, 各管理階層別にみても, 2回のサーベイのあいだに人事異動を経験しなかった非異動群では, 前年度と次年度のP得点およびM得点のあいだにかなりの相関がある (Table 1, 2)。
    2. 異動群では前年度と次年度の得点の相関は低く, 非異動群とのあいだに有意な差がある (Table 1, 2)。
    3. リーダーシップPM行動類型の変化についてみると, 異動群ではPM型からpm型への移行, pm型からPM型への移行をはじめとして, 異動前とは異なるリーダーシップ類型への移行が多くみられる (Table 3)。
    4. 人事異動前と異動後1年目のリーダーシップ得点との相関は低く, 異動前と異動後2年目との相関も低い。一方, 異動後1年目と2年目の相関は高く, 異動前と異動後2年目との相関よりも有意に高い。すなわち, 人事異動によって生じるリーダーシップ行動の変化は一時的な変化ではなく, 少なくとも2年近く経過した時点においても継続している (Table 4)。
    5. 同じ課へ異動した場合には, 別の課へ異動した場合よりも, P得点の相関は高い。すなわち, 人事異動前と異動後の職務内容の類似性が高い程, リーダーシップP行動の恒常性が高い (Table 5, 6)。
    6. 同じ支点のなかで別の課へ異動した場合には, 他の支店の別の課へ異動した場合よりもM得点の相関が高い。すなわち, 同じ職場のなかで職務を異動する場合には, 他の職場へ異動する場合よりも, リーダーシップM行動の恒常性が高い (Table 5, 6)。
    7. しかしながら, リーダーシップP得点の変化とM得点の変化は必ずしも独立なものではなく, 関連が認められる。
  • 開示内容の望ましさの要因に関する検討
    中村 雅彦
    1986 年 25 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 自己開示内容の望ましさが, 対人魅力にどのような効果を及ぼすのかという問題について検討を行うことであった。仮説によれば, 開示内容がきわめて自己誇示的あるいは自己卑下的であるときには, 開示者に対する魅力は減少し, 自己誇示的内容と自己卑下的内容の占める割合が均衡している場合に, 開示者に対する魅力は増大するであろうと予測された。
    50名の女子短大生が実験に参加した。被験者は, VTRに映し出される2人の女性の相互作用場面を見て, その中の聞き手の立場から開示者に対する魅力を評定した。
    実験の結果, 得られた知見は次の通りである。
    1. 対人魅力尺度に関する結果は, 自己開示の望ましさは, 対人魅力に“逆U字型”効果を及ぼすことを明らかにした。
    2. 印象形成尺度を因子分析した結果, “力本性因子”と“誠実性因子”が見出された。各々の因子得点を分散分析してみると, 対人魅力尺度に関する結果と同様に, 自己開示の望ましさの“逆U字型”効果が見出された。ただし, 両因子得点がピークになる望ましさの条件には相違がみられた。
    以上の知見は, 仮説を支持するものであった。自己開示の望ましさには, 開示者に対する評価や魅力を正から負に転じさせる“魅力域”とでも呼べるものが存在することが示された。
  • 諸井 克英
    1986 年 25 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では, 大学入学による生活事態変化に伴って生じる, (1) 孤独感の変化, (2) 社会的ネットワークの変化, (3) 孤独感と社会的ネットワークとの関係, について検討した。
    予備調査では, 記名方式による孤独感尺度評定に社会的承認欲求が影響をおよぼさないことを確かめた。
    本調査では, 次の主要結果が得られた。
    1) 下宿群でのみ孤独感の低減傾向がある。
    2) 下宿群は新たな生活事態での親友形成を活発に行うのに対して, 自宅群は入学前からの交友関係を維持している。
    3) 孤独感と社会的ネットワークとの関係は調査時期や居住環境条件によって異なる。
    最後に, 本研究の問題点と今後の課題について述べた。
  • 大淵 憲一
    1986 年 25 巻 2 号 p. 127-136
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本稿では社会人と大学生を被験者に, Averillの質問紙「怒りの経験」を使って攻撃反応の要因を検討した. まず, 反応11項目の因子分析から, 願望・実行の両水準で同じ4因子が得られ, それらは「直接的攻撃」, 「攻撃転化」, 「非攻撃的解決」, 「怒りの抑制」と解釈された。次に, これらを基準変数とし, 一方, 個人要因 (年令, 性別), 状況要因 (加害者の性別, 被験者との関係, 地位, 被害), 認知判断 (悪意の知覚, 原因帰属), 情緒過程 (敵意的動機, 道具的動機, 怒りの強さ) を説明変数とする数量化分析I類を行った。主な結果は次の通り。(1) 直接的攻撃反応は, 心理的被害が強く, それが不合理な原因に帰属され, 敵意的動機が喚起され, 加害者が身近な人の時に生じやすく, 対象が目上の人だったり女性だったりすると抑制されやすかった。(2) 攻撃転化は, 若年者に多く, 認知的要因が弱いのに情緒的要因が強いなど衝動的性格が認められた。(3) 非攻撃的解決が試みられるのは, 加害者と被験者の間に元々良好な関係があり, 被害が悪意に帰属されず, 敵意的動機が弱く道具的動機が喚起されている時だった。(4) 怒りの抑制は, 被害が個人的な性質のもので他者の共感を得にくく, また, 加害者が明確な攻撃意図を持っていたり目上の人であるなど, 報復の危険が高い時に行われやすかった。
  • 石井 徹
    1986 年 25 巻 2 号 p. 137-146
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究では「private self-awarenessは, 望ましくない出来事に対する責任の自己への帰属を低める」との仮説を検証するために, 仮想場面を用いて実験を行なった。従来の研究結果とは逆の結果を予測したにもかかわらず仮説は支持された。Private self-awareness High群の被験者はLow群の被験者よりも, 望ましくない出来事の責任をより少なく自己に帰属した。さらにこの結果はPrivate Self-Consciousnessについてより顕著に見出された。Public Self-Consciousnessについてはこれとは逆に, Private Self-Consciousness得点の低い群において, 高得点者は低得点者よりも, 望ましくない出来事の責任をより多く自己に帰属した。考察ではこの結果と従来の研究結果との比較を基に, self-awarenessの定義修正の必要性を検討した。
  • 宮本 正一
    1986 年 25 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    1. 親和性の研究結果においてSchachter (1959) などの実験室実験と現実生活場面で得られたものとは一貫性が見られない。その食違いを解消するために実験室実験が実施された。
    2. 実験は単独実験であり, 60名の男子大学生が“水の中に指をつける”, “電気ショックをかける”, “おしゃぶりなどを吸ってもらう”のいずれかの教示を与えられてから, 架空の他者に対する実際の親和選択行動が測定された。
    3. 親和選択行動は被験者を誰もいない部屋か, もう一人の被験者が待っていると教示された部屋のいずれかに向かわせることにより測定された。
    4. 実験教示の違いは親和選択行動に影響を与えなかった。しかし従来と異なり, 非親和者が58%と多かった。
    また非親和者は不安得点が高く, 親和選択のための時間も短かった。
    5. 親和行動の動因としては認知的明確さの要因, 非親和行動の動因としては困惑している自己を呈示することを回避する要因が指摘された。
    6. これらの結果に対してRofe (1984) の親和の有用性理論からの解釈が提出された。
  • 「コントロール可能性の認知」・「自由の認知」の規定因とも関連させた一考察
    今井 芳昭
    1986 年 25 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 武田 圭太
    1986 年 25 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 三井 宏隆
    1986 年 25 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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