本研究では,中学校数学科の三角形合同証明課題を対象とし,学習者が行った幾何証明の誤りに対して,肯定的フィードバックを提示するシステムを開発した.幾何証明の誤りについては,A1)前提条件が偽である場合,A2)前提条件は真だが未知である場合,B)推論規則が偽である場合,の3種類に分類した.肯定的フィードバックとは,学習者の推論の誤りを可視化した矛盾を含む図形であり,これを見せることで,誤りに対する学習者の内発的な気づきが促される.本システムは,学習者が記述した推論の誤りの内,A1とBの誤りに対して推論規則と図形変形規則を適用し,制約の一部を緩和することで,肯定的フィードバックを生成する.大学生を被験者とした評価実験の結果,システムが提示する肯定的フィードバックの表現の妥当性,および,内発的な気づきの促進や誤りの修正の支援における有効性が示唆された.
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