本研究では,観察・実験の結果を考察する活動に関する教師の指導実態を調査することを目的とした.また,調査結果をもとに,指導法改善への示唆を導出することも目的とした.これらの目的を達成するため,25項目からなる質問紙を作成し,小学校教師151名を対象に調査を実施した.その結果,一つ目の目的に対して,(1)仮説を立てさせる指導や結果を予想させる指導に比べて,子ども自身に考察を導出させる指導が十分に行われていない傾向がある,(2)若手教師は,何をどのように考察指導すべきかわからず困難を感じており,中堅教師は,考え方や記述の仕方を示す前に考察そのものを子どもに示している.熟練教師は,考察に必要な要素を把握し指導上留意していると同時に,困難も感じている,という2点が明らかになった.そして,(1)(2)の結果と要因構造の検討結果を踏まえ,二つ目の目的に対して,(3)子どもが自分の立てた仮説に照らして結果を解釈し,考察を導出する学習活動を行うためには,教師は仮説を子ども自身に立てさせる指導を丁寧に行う必要がある,という指導法改善への示唆を導出した.
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