本研究では,理科の観察・実験を通した問題解決活動に着目し,その指導に向けた基礎研究として3つの調査を行った.調査1では,問題解決活動は,「仮説の形成・評価」,「結果まとめ」,「結果の考察」,「観察・実験の計画と遂行」の4カテゴリーに分類できることを示した.調査2では,小中学生は,「観察・実験の計画と遂行」,「結果まとめ」,「仮説の形成・評価」,「結果の考察」の順によく行っていると考えていること,問題解決活動の遂行は,その活動に対する教師の指導の認知や有効性の認知と関連することを明らかにした.これを受けて,調査3では,小中学校教師を対象に自由記述調査を行った結果,「結果の考察」や「仮説の形成・評価」活動は「限られた時間の中での優先順位は低い」として,あまり指導されていないこと,一方で,時間内で工夫する必要性や工夫を学ぶ必要性が認識されていることが示唆された.
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