本研究では,BBYOD(Build and Bring Your Own Device)方式の情報リテラシー教育を考案し,BBYODを中核とするICT活用能力の育成環境を設計した.BBYODでは,学習者に初期設定の終わっていない状態のPCを一人一台配布し,情報リテラシー教育の一環として,そのPCのセットアップと適切な管理方法に関する演習を実施する.これにより,PCを自己管理していくためのスキルを体系的に学習した上で,セットアップが完了(Build)したPCを私物として携帯(Bring Your Own Device)し,様々な学習活動に活用する.山梨英和大学において,2013年度入学の新入生198名を対象とし,BBYODによる教育を実践した.この結果から,1)大学1年生として標準的なスキルを持つ受講生に対して,初年次に必要なオフィススイートの基礎的な学習内容を含めた上で,各自のPCをセットアップする演習を通年の授業の一環として実施可能なこと,2)PCのセットアップを含めた授業における学習活動が,PCに対する苦手意識を軽減し,ICTに対する学習意欲の向上に寄与すること.また,セキュリティ対策やファイル管理など,日常的にICTを活用していく上で重要な事柄を習得できること,が明らかになった.
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