日本教育工学会論文誌
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40 巻 , 2 号
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論文
  • 佐久間 大, 吉井 拓弥, 室田 真男
    2016 年 40 巻 2 号 p. 57-74
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,総合的な学習の時間における教師の形成的FBの分類を検討することを目的とする.上記の目的を達成するため,観点Ⅰ:「技量の異なる教師間で用いる形成的FBの種類と与え方に違いがあるか」,観点Ⅱ:「児童の学習への取り組み具合と形成的FBの関係はどのようなものか」の2つの観点に基づき,小学校5年生の総合的な学習の時間における教師と児童間のインタラクションの発話分析を行った.また,児童作成ルーブリックを用いた評価データを用いて,数量分析を行った.分析の結果,熟達教師が児童の学習の取り組みタイプに応じて,35種類の形成的FBを使い分けていることが明らかになった.熟達教師は中堅教師よりも児童の取り組みタイプに応じて,形成的FBを使い分けていることが明らかになった.その一方,中堅教師は児童の取り組みタイプに関わらず,特定の形成的FBを繰り返し選んで用いることが明らかになった.また,主体的に取り組んでいる学習者に対して,学習における課題意識を持たせる形成的FBや,児童自身の内面から『解』を具象化しようとする形成的FBなどを与えることによって,児童を充実した学習活動へと導く可能性が示唆された.

  • 梅本 貴豊, 伊藤 崇達
    2016 年 40 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,半期の大学の授業内における縦断調査から,自己効力感,内発的価値,感情的エンゲージメントの関連について検討を行った.3つの大学の学生217名に,3回の縦断調査を行った.構造方程式モデリングによって交差遅延パネルモデルを構成して分析を行った結果,半期の初期の内発的価値が,中期の感情的エンゲージメントに正の影響を与えることが示された.また,中期の自己効力感が後期の内発的価値,感情的エンゲージメントに正の影響を与えること,中期の感情的エンゲージメントが後期の自己効力感,内発的価値に正の影響を与えることが示された.これらの結果は,セメスターの時期によって,期待と価値が学習に影響するタイミングが異なることを示している.以上の結果に基づき,大学生の学習過程における自己効力感,内発的価値,感情的エンゲージメントの役割について議論が行われた.

  • 荒井 俊行
    2016 年 40 巻 2 号 p. 85-94
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

     本研究では,大学生のボランティア活動に対するイメージを明らかにし,参加志向動機・不参加志向動機に及ぼす影響を検討することによって,大学生のボランティア活動の推進や教育課程でのボランティア教育のあり方に繋がる知見を得ることを目的とした.大学生に対して質問紙調査を行った結果,イメージでは,自己実現・親和援助・否定・強制無責任・具体的活動の5因子が見出された.大学生のボランティア活動において,イメージと参加志向動機・不参加志向動機との密接な関係性が読み取れた.分析結果からは,ボランティア活動への参加志向動機を高めるには,自己実現イメージの醸成と否定イメージの低減や親和援助・具体的活動の肯定的イメージの形成を図ることが効果的であり,各段階の学校教育でのボランティア教育において,ボランティア活動に対するイメージへ訴求する工夫も必要であることが示唆された.

  • 鈴木 豪
    2016 年 40 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

     本研究では,「特定の教科の課題」として回答することが,グラフの解釈と判断を行う課題において,回答に差異をもたらすかを検証した.小学5年生(N=91)と6年生(N=94)を対象とし,同一の課題について「算数」または「社会科」の課題として回答する群と,特に教科を指示されない群の計3群を設定し,回答内容を分析した.その結果,5年生では「社会科」の課題として回答する場合,「算数」の課題として回答する場合よりも,省略されて差異が過大に見せられた棒グラフについて,グラフの見た目だけでなく具体的な数値を用いて解釈する傾向が見られた.また,6年生では,社会科の学習が得意であるほど,同様の解釈をする確率が高い傾向が見られた.特に,5年生で社会科の文脈が与えられることが,グラフの適切な解釈を促進する可能性が示唆された.

教育システム開発論文
  • 宮崎 光二, 中道 上
    2016 年 40 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

     大学や短大における講義中の出欠確認や集計処理などの出席管理に関する一連の作業は多くの労力を必要とし,講義を担当する教員の出席管理に関する負担は小さくない.講義の進行において学生の出席状況を把握することは,教育・指導を適切に実施するために不可欠であり,重要な作業である.情報通信技術を利用した出席確認システムはこれまでに多く提案・運用されているが,通信環境の準備や登録機器の設置など初期導入コストがある程度必要になることや,システム運用時の教員の負担が大きい,学生の不正な出席登録(代返)を完全に防止できない,など課題が残されている場合が多い.本論文ではこれらの問題を解消することを目的として,教員の出席管理に関する負荷の軽減と学生の不正防止を主な目的としたタブレット端末を用いた出席管理システムを開発し,システムを実際に運用して検証を行った.

教育実践研究論文
  • 小清水 貴子, 藤木 卓, 室田 真男
    2016 年 40 巻 2 号 p. 113-126
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2016/09/15
    ジャーナル フリー

     本研究は,ICT活用に関する学校環境に変更を加えることなく,受講者が所属校教員にICT活用を推進することをねらいにしたICT活用推進リーダー対象の集合研修について,4つの要件((A)推進機会の設定,(B)推進に役立つICT活用の事例紹介,(C)推進する機器やソフト,(D)推進プランの作成)に着目して,小清水ほか(2014)の集合研修を改善して実施し,評価することを目的とした.その結果,受講者は本研修に肯定的反応を示し,推進の必要性を理解し,推進の視点や手立てを獲得することができた.受講後の推進実践を調査したところ,所属校でICT活用を推進するための校内研修や個別支援を実践した受講者は35人中28人で,8割を占めていた.また,受講後に推進実践をした受講者を対象に,研修で所属校教員の調査を参考にして作成した推進プランや受講後の推進実践の内容を検討したところ,4つの要件について改善した内容が反映されていた.

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