日本教育工学会論文誌
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40 巻 , 3 号
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巻頭言
総説
論文
  • 田中 孝治, 園田 未来, 池田 満, 堀 雅洋
    2016 年 40 巻 3 号 p. 153-164
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    情報モラルに関する知識を有していたとしても,その知識を行動として具現化しようとする意図が形成されなければ,実効的な意味で知識を習得したとは言い難い.本研究では,一般的な知識として正しい行動を問う知識課題と自身が実際に選択する行動を問う意図課題を用いて,高校生を対象に知識と行動意図の不一致を定量化した.実験1・2では,意図課題の正答率の方が知識課題の正答率よりも低く,実験参加者が適切な知識を有しているにもかかわらず情報モラルに反する行動をとることが示された.また,実験2では,実験参加者はクラスメイトが情報モラルに反する行動をとる割合を高く推定していることが示された.これらの結果は,知識と行動の不一致を認識させ適切な行動意図の形成を促す情報モラル教育の重要性を示すものである.

  • 叶 少瑜, 歳森 敦, 堀田 龍也
    2016 年 40 巻 3 号 p. 165-174
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    本研究は大学生のメディア/ソーシャルメディア使用とネット・リテラシーとの因果関係,及び両者に対する社会的スキルと性別の効果を明らかにすることを目的とした.大学生を対象に2時点のパネル調査を実施し,107名を対象に検討を行った.結果,(1)TwitterとFacebookを使用することで,新しい知り合いを作ることができると認識し,見知らぬ他者とコミュニケーションをもつようにしている.(2)男性では,Facebook使用に関するネット・リテラシーを習得することが,Facebookの使用,特に投稿頻度を増加させるだけでなく,社会的スキルを高める効果もあることが示唆された.(3)女性では,Facebookの投稿頻度を増加させることにより,それに関するネット・リテラシーの向上に寄与する可能性が示唆された.

教育実践研究論文
  • 山本 朋弘, 薮田 挙美
    2016 年 40 巻 3 号 p. 175-185
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    一人1台のタブレット端末を活用して,小学校高学年を対象にしたプログラミング学習の授業を実践した.特に,兼務辞令を受けた中学校技術科教員と小学校担任教員が共同で指導するとともに,練習課題型と相手設定型の課題を段階的に設定した単元の授業を展開した.授業観察や授業者へのインタビューを分析した結果,タブレット端末の携帯性や中学校技術科教員との共同指導がプログラミング学習に有効であることを示した.また,児童向け意識調査を分析した結果,練習課題型と相手設定型による段階的な課題設定が児童の活動意欲や情報活用の実践力向上につながることを示した.

  • 一ノ瀬 秀司
    2016 年 40 巻 3 号 p. 187-196
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    21世紀に求められる資質・能力は,学校での様々な学習活動を通じて統合的に育んで行く必要があるが,その具体的な学習活動としてデジタルストーリーテリングに注目し,中学校の総合的な学習の時間における授業実践を行った.大学での先行研究と同様の,力に関係した意識の調査を行ったところ,多くの項目で向上が見られた.更に21世紀に求められる資質・能力の枠組みで各項目を分析したところ,デジタルストーリーテリングは,特に<相互作用的道具活用力>を育むという特長があることが示唆された.一方で,21世紀に求められる資質・能力を幅広く育むとは言い難い結果が得られたため,授業改善を検討し,学習活動の質を高めるためのワークシートを活用した改善案を構想した.本研究を通じて,21世紀に求められる資質・能力を育む具体的な学習活動としてのデジタルストーリーテリングの可能性と,今後へ向けての課題を明らかにすることができた.

資料
  • 太田 剛, 森本 容介, 加藤 浩
    2016 年 40 巻 3 号 p. 197-208
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    本稿では,初等中等教育において全国レベルでプログラミング教育が実施されている英国,オーストラリア,米国のカリキュラムを調査し,その内容を総括的に述べる.各国とも情報教育として,プログラミング教育を包含するコンピュテーショナルシンキングの考え方を中核にして,抽象化,問題の分析,アルゴリズム,データ活用,評価,協働作業等の能力の育成を目指した学習内容を定義している.各国のプログラミング教育は類似した内容で,小学校低学年ではロボットやパズルを使用して手順の指示を行い,小学校高学年ではビジュアル言語を使用して分岐や反復を含むプログラムを制作し,中学校高校ではテキスト言語を使用して複数のデータ型やモジュールを含むプログラムを開発する.また,従来のICTの基本的操作,情報倫理,情報の安全教育などを小学校低学年から実施するなど総合的な情報教育の面もある.

  • 小柳 和喜雄
    2016 年 40 巻 3 号 p. 209-220
    発行日: 2016/12/24
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    本報告は,コンピュータを用いた児童生徒(6年生と10年生)のICT Literacy調査を2005年から国レベルで行ってきた豪州の取り組みを取り上げている.3年に一度抽出で行われてきたこの調査は,2014年調査で4回目を迎えた.本論では,この調査項目の作成方法,コンピュータを用いた調査方法,得られたデータの評価方法と活用の指針の示し方などについて,1回目の調査からどのような進展を経てきたかを,訪問調査から得られた資料をもとにレビューしている.  結果として,豪州の調査の方法は,1)ICT活用に関する6つのプロセススキルや3つの柱に基づいて,求める能力をモデル化し,有能さに関する到達の姿をレベル分けで表現している.そしてその各姿への到達度を測る課題を作成し調査を行っている点,2)コンピュータを用いた調査が原則としてオンラインで行われている点,3)分析では,6年生と10年生の2つの時期における経年変化を調べ,学校と家庭生活などに関する質問調査結果とクロスし,目標への到達状況を調べている点,4)それらの結果を用いて,州レベルの取組等の改善点を考えようとしている点,が明らかになった.

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