日本教育工学会論文誌
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41 巻, Suppl. 号
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ショートレター
  • 自動車メーカーの設備保全職場を対象とした事例
    工門 真人, 中村 康則, 向後 千春
    2015 年 41 巻 Suppl. 号 p. 001-004
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,自動車メーカーの設備保全職場を事例として,OJT を指導するために必要なコミュニケーション能力や知識・経験がOJT の指導方法に与える影響を検討した.因子分析の結果,OJT を指導するために必要なコミュニケーション能力や知識,経験は「他者受容」「表現力」「解読力」「自己主張」「自己対応力」「他者対応力」「知識」「経験」の8因子が抽出された.OJT の指導方法は「ストレッチ」「リフレクション」の2因子が抽出された.パス解析の結果「他者受容」と「自己主張」が「ストレッチ」に正のパスを示した.このことから,相手の意見や立場を尊重しながら自分の考えを論理的に主張することで「ストレッチ」が高くなることが示唆された.

  • 佐野 美奈
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 005-008
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    幼児の音楽的表現における身体的な動きの要素は大きい.本研究では,3D モーションキャプチャーを用いて,筆者考案のMEB プログラムの実践過程における幼児の音楽的表現の動作解析を行い,動きの要素の変化に関する特徴を見い出そうとした.1年間,3歳児4歳児5歳児にMEBプログラムを実践し,その活動段階順に1回ずつ計4回分の音楽的表現における身体的な動きを,MVN システムにより測定した.その取得データについて定量的分析を行った結果,特に骨盤および右手の移動距離および両手間隔の変化に,実践の活動段階・年齢による音楽的表現における動きの要素の特徴的な変化を読み取ることができることがわかった.

  • 酒井 統康, 長谷川 元洋
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 009-012
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,小学校において,担任が短時間で指導でき,かつ,児童を通じてすべての保護者に情報モラルに関する情報を提供できる実践モデルを開発することを目的とした.情報モラルに関するテーマ5項目ごとに,表面は問題事例とその問題点等を考えさせる発問,裏面にはその解答と解説を示した紙の情報カードを開発し,それを用いて担任が児童に5分程度の指導をし,児童は家庭で保護者に説明する活動を行わせた.その結果,児童17名すべてが保護者に情報モラルに関する内容の説明を行うことができ,5項目すべてにおいて,児童が「説明できる」かどうかに関する回答の平均が有意に高まった.さらに,保護者対象のアンケート結果から家庭で情報モラルに関する話をする機会が増加するなど家庭教育の充実を図ることができた.

  • パネル調査による因果関係の検討
    桂 瑠以, 松井 洋
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 013-016
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,大学生を対象に2時点のパネル調査を行い,LINE 依存のメカニズム及びLINE 依存が精神的健康に及ぼす影響について検討を行った.その結果,1)LINE の使用量,LINE での自己演出が多いほどLINE 依存傾向が高まる一方,LINE での所属感が獲得されるほど依存傾向が低下すること,2)LINE 依存傾向が高いほど精神的健康が低下すること等が示された.

  • 米田 照美, 伊丹 君和, 関 恵子, 川端 愛野, 窪田 好恵, 安原 治, 前迫 孝憲
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 017-020
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    近年,看護教育おいては臨床経験の浅い新人看護師や看護学生を対象としたシミュレーション教育や体験学習が導入され効果を上げている.しかしながら,模擬患者(SP)を導入した医療事故が起こりやすい状況下でのシミュレーションや体験を通して危険予知を学習する実践報告は少ない.今回,大学に所属する看護学生4年生64名を対象にSP(模擬患者)が演じる片麻痺患者の車いす移乗介助体験を実践した.演習の課題となる看護場面(体験場面)は「右片麻痺のある患者の車いす移乗介助」である.演習の前後で「車いす移乗介助時の観察ポイント」・「医療事故の要因」・「事故防止対策」・「医療事故のイメージ」の理解度と看護場面における医療事故に関する危険認知力について,質問紙調査を行った.その結果,演習後に看護学生の医療事故の理解度と危険認知力の向上がみられた.

  • 河崎 雅人, 磯西 宏弥, 森田 泰介
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 021-024
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    図形の大きさの比較判断にはU字型の発達曲線が見られることが指摘されている.これまでの研究では二つの図形を提示し,大きい図形,小さい図形を選択させることを求めていた.本研究では,タブレット上に提示した図形より大きい図形や小さい図形を描くことを求めた.描いた図形の大きさや描画時間・回数について検討したところ,正しく描く割合はU字型の発達曲線を描くことや提示された正方形や横長の長方形より大きい図形を描くときは横に着目すること,提示された縦長の長方形より小さな図形を描くときは縦に着目することがわかった.これらのことから,幼児は状況に応じて着目する辺を変えて判断していることが示唆された.

  • 原田 勇希, 鈴木 誠
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 025-028
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,高校生の言語性-空間性ワーキングメモリ容量の個人差に着目して,理科4分野に対する得意不得意との関連を明らかにすることを主たる目的とした.その結果,言語性ワーキングメモリはすべての分野の統制感と関連していたが,空間性ワーキングメモリとの関連は物理と地学分野に限定されていた.さらに,物理分野に対する統制感の性差は空間性ワーキングメモリによって部分的に媒介されている可能性が示された.本研究の結果と先行研究の成果を総合し,言語性ワーキングメモリ容量は学習全般に対する得意不得意に,空間性ワーキングメモリ容量は物理・地学分野に固有な得意不得意と関連するものと考察された.

  • 田島 貴裕
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 029-032
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    大学進学行動の地域格差の規定要因について,北海道の市町村データを用い経済的観点から分析を行った.本稿での条件では,(1)地域の所得や学歴は男性の大学進学行動へ影響を及ぼし,その影響は1年前よりも3年前の方が大きい,(2)地域産業の影響も大きい,(3)経済的要因以外に,大学等進学率が上がりにくい地域特有の要因があることが示唆された.

  • 登本 洋子, 伊藤 史織, 後藤 芳文, 堀田 龍也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 033-036
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/12/06
    ジャーナル フリー

    アカデミック・ライティングの指導の重要性は,大学だけでなく中学校や高等学校においても高まっている.本研究は,中学生にアカデミック・ライティングを指導する過程において,論文を書くことができない生徒を,発表の機会を生かすことによって支援することを目的とした.具体的には,発表と論文執筆の順序を入れ替えて,発表の機会を生かすことにより,論文の質の変化を比較した.その結果,「テーマ設定,情報収集,発表,論文執筆」の順で行なったほうが,論文および発表ともにその質が向上することが確認された.

  • 運営担当者の視点から
    山本 良太
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 037-040
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,ラーニングコモンズ運営担当者の視点から,その開設初期にどのような困難に直面しているのかを現状分析し,学習支援環境作りに向けどのような取り組みが可能かを考察することである.研究対象の大学に設置されたラーニングコモンズの運営担当者2名に行ったインタビューを分析した結果,学習支援を機能させるためには部署を超えた連携が重要であるがそれが十分に構築されておらず学生にラーニングコモンズ利用の必然性を与えられていないことが分かった.こうした現状の中で学習支援環境を構築するために可能な取り組みとして,大学全体や草の根レベルで部署間連携構築に向けた努力が考えられる.

  • ワークシートと学年の違いによる授業設計への自信の変化に着目して
    佐藤 和紀, 高橋 純, 安里 基子, 齋藤 玲, 吉野 真理子, 堀田 龍也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 041-044
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    教員養成大学の学部1・2年生を対象に,情報モラル教育の基礎知識を学び,現職教員による模範授業映像を視聴した上で,情報モラル教育の授業設計を学習させるための講義を開発し実施した.講義の事前事後に情報モラル指導の自信を測定する質問紙調査を行った.その結果,全質問項目の得点の上昇が見られた(研究1).自由記述では,スモールステップで指導案を作成するワークシート(以下WS)の効果が期待された.そこで研究2は,足場かけの有無によるWSを2種類用意することにより,効果を調べたところ,1年生には足場かけ無しWS が,2年生に は足場かけありWS が効果的であった.

  • 槇 誠司, 佐藤 和紀, 板垣 翔大, 齋藤 玲, 堀田 龍也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 045-048
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    情報化社会に向かう今日において,統計的リテラシーを身につけることがより重視されている.本研究では,グラフの傾向を読み取り,考察し,それを根拠にして示された事象について批判する能力(以下,グラフ解釈能力と呼ぶ)を短時間で児童に身につけさせるための学習を授業時間内で実施した.この学習は,児童がグラフ解釈を行った結果を100字以内でまとめ,それらの内容を隣同士で互いに話し合い,最後に全体に向けて発表するまでを10分間でおこなう学習活動である.グラフ解釈に関する短時間学習を14回実施した場合,クラス全体のグラフ解釈能力は7回目頃から向上する傾向にあることが示唆された.さらに,グラフ解釈に関する短時間学習を経験した児童は,これを経験しない児童と比較して,グラフ解釈に関するテストの得点が高いことが明らかとなり,本学習の効果が示唆された.

  • 佐伯 悦彦, 中村 康則, 向後 千春
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 049-052
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/02
    ジャーナル フリー

    救急医療現場における看護師のOn The Job Training(以下,OJT)では,時間的猶予のない場面で教育的な関わりが求められる.本研究では,救急医療現場における看護OJT 指導者に必要な成長プロセスを明らかにするため,救急看護師15名に対して半構造化面接を行った.その結果,OJT指導者は教わった経験の応用や,教える経験の中で省察を繰り返して成長していた.救急看護師としての基礎力を身につけ,成熟させる経験を積み,感情コントロール力,エンゲージメント,リフレクション力,コミュニケーション力,教える力を経験と省察のスパイラルで成熟させることが,救急医療現場における看護OJT 指導者に必要な成長プロセスであることが示唆された.

  • 小柳 和喜雄
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 053-056
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,小中一貫教育を推進してきた6つの中学校区に勤務する教員に,これまでの取組について質問紙を通じて回答を求め,小中一貫教育に対する態度と意識について明らかにしようとしている.結果として,1)小中一貫教育を進める中で,授業への自信や満足感を感じていないのは,女性教員の方が多く,また小学校籍の教員にその傾向が見られること,2)教職アイデンティティにあいまいさや混乱を感じているのは,消極的な中学校籍の教員とむしろ積極的な女性教員であること,これは「職場の雰囲気」「同僚との関係」に問題を感じ,「学校改善」にも消極的である姿と関係があることが,明らかになった.

  • 三井 一希
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 057-060
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校の授業において学習の見通しを持つために開発した「学習アイコン」について報告し,児童・教師の評価を通してその効果を検証した.「学習アイコン」とは,授業の流れを視覚的・直感的に理解できるように,授業の流れをアイコンにして提示するためのツールである.アンケート調査の結果から,学習アイコンを使うことで,児童や教師は学習の見通しが持ちやすくなる可能性が示唆された.

  • 授業デザインの改善に伴う変化に焦点を当てて
    伊藤 崇達
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 061-064
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/12/06
    ジャーナル フリー

    本実践研究では,講義型の授業スタイルがとられることの多い教職科目においてアクティブ・ラーニング型の授業実践を試みた.授業は,ピア・チュータリングと講義内レポートを統合的に取り入れ,「理解深化」型の授業となるようデザインした.そして,コースの途中段階において,内的および外的な活動性を高めるための授業デザインの改善を試み,学習者の心理面,とりわけ思考面,動機づけ面,感情面にどのような変化をもたらしたかについて明らかにした.調査内容を分析した結果,概ねポジティブな変化が報告され,今後の実践の可能性について示唆を得た.

  • 鶴田 利郎, 野嶋 栄一郎
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 065-068
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,高校生のインターネット依存を改善することを目的とした単元の開発を試みた.開発した単元は,各学校の情報科教育のカリキュラムに応じて,3時間,5時間,9時間で実施できる3種類の単元を開発したところに特色がある.そして2015年度,2016年度に複数の学校において授業実践を実施した.その後,鶴田ほか(2014)の尺度を用いた生徒の依存傾向の変容についての質問紙調査などを通して,開発した単元による授業実践の成果と課題について検討した.その結果,3時間の単元ではメール不安,長時間利用,ながら利用因子の改善に,5時間の単元ではこれらに加えて精神的依存状態因子の改善に,そして9時間の単元はすべての因子の改善に有効であることが示唆された.

  • 西片 裕
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 069-072
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,学生によるルーブリックの作成と自己評価を行う授業を実践し,学生の自律的動機づけ(RYAN and DECI 2000)に与える影響について検討した.授業実践はリハビリテーション専門学校の臨床技能を学ぶ科目で行った.学生には,技能評価に使用するルーブリックの評価観点と評価基準を考えてもらい,技能の練習をした後,ビデオ録画した自分の技能に対して自己評価をしてもらった.質問紙調査の結果,自律性があまり高くない学生の「外的調整」が授業後に低下しており,学生によるルーブリックの作成や自己評価が学習動機づけの自律化の促進に有用であることが示された.

  • 解良 優基, 出口 拓彦
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 073-076
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,大学生のグループ活動を対象として,自分およびグループメンバーの感情的エンゲージメントがグループ活動中の発言や学習成果の認知に及ぼす影響について検討した.四年制大学の学生171名に質問紙調査を実施した.重回帰分析の結果,自分およびグループメンバーの感情的エンゲージメントの交互作用効果が示された.具体的には,自分の感情的エンゲージメントが低い場合,グループメンバーの感情的エンゲージメントを高く認知するほど,学習内容に関連する発言の頻度が下がり,学習を通した友人との交流についての成果も低く感じてしまうことが示唆された.本研究の結果に基づき,グループ活動を行う際の留意点について,動機づけの観点から考察した.

  • 河野 貴範, 松原 行宏, 岡本 勝
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 077-080
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    我々の研究グループでは力覚提示デバイスを用いた学習支援システムの研究を行っている.また,視覚情報から力覚を錯覚させる擬似力覚という手法があり,擬似力覚提示を学習支援システムに用いた研究も行われている.しかしそれら2つの提示方法の学習における差異についての研究は行われていない.そこで本研究では各提示方法による学習効果や各提示方法の特性の比較を目的とし,力覚提示と擬似力覚提示,比較用に音声提示を組み込んだ漢字学習支援システムを開発した.システムを用いた実験により擬似力覚提示は力覚提示よりも感じられる度合いに個人差が見られたが,感じられた人は力覚提示と同様の教示的効果を得られることが確認できた.

  • 飯塚 佳乃
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 081-084
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    児童の学習意欲を高めるためには,児童が自身の学習成果を自覚できることが有効である.そこで本研究では,小学校算数科の授業において,授業の終末に授業のめあてに即して振り返りをする場を設け,授業の振り返りを児童自身の言葉で記録するよう働きかけを行い,単元の終末に単元全体の振り返りをする場を設け,単元の授業感想を記録するよう働きかけを行った.次に,その効果を検証するために,単元の授業感想や最終テストの成績を用いて,授業のめあてに即した振り返りが児童の学習意欲や学習内容の理解に及ぼす影響を検討した.その結果,児童の元来からの学習能力の影響を統制しても,授業のめあてに即した振り返りができた児童ほど,高い学習意欲を示す可能性が示唆された.

  • 田島 祥, 村上 祐治, 内田 理, 梶田 佳孝
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 085-088
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    スマートフォンを活用した防災マップ作成支援システムを開発し,大学の授業で実践を行った.本システムでは,GPS 機能を利用し,まち歩きをしながら地図上の現在地に写真やコメント,アイコン等を手軽に登録することができる.地図画面とトーク画面で構成される点や,まち歩き後の編集が簡便に行える点などに特徴がある.実践前後の調査から,地域に対する認識が高まることや,災害への関心や防災意識が高まることが示された.また,自由記述の回答から,従来的な方法と比較したICT を活用した防災マップ作りの利点や課題が提示された.

  • 稲垣 俊介, 和田 裕一, 堀田 龍也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 089-092
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    対人依存欲求が高校生のインターネット(以下,ネット)利用の性差に及ぼす影響ついて検討した.ネット利用に関する項目として,ネットの利用時間やその利用内容,例えばLINE のトーク数やグループ数,Twitter のツイート数やアカウント数,ゲームの利用時間,さらにネット依存傾向の高低を調査対象とし,それらと対人依存欲求との関連を検討した.その結果,女子はネット利用と対人依存欲求に関連がみられたが,男子は特にその関連がみられなかった.これらの知見から,ネットでコミュニケーションを取る相手への態度や向き合い方に男女間で質的な違いがみられることが,高校生のネット利用やネット依存傾向の性差につながっている可能性が示唆された.

  • 児玉 佳一
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 093-096
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,学習者の協働学習に対する不安と協働学習において教師に望むサポートについて探索的に検討し,両者の関連を捉えることであった.専門学校生(N =112)に対して,協働学習に対する不安および協働学習において教師に望むサポートについての自由記述調査を行った.その結果,“話し合い進行”に関する不安およびサポート要望が最も多かった.さらに不安とサポートの関連には,議論面についてヒントや質問などを要望する「議論―間接的サポート」の関連と,関係性面について注意や指導などを要望する「関係性―直接的サポート」の関連,話し合い時間の不足について時間延長を要望する「時間関連サポート」が示された.

  • 歌代 崇史
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 097-100
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/02
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,日本語教員養成課程の実習生が,模擬授業等の準備において,日本語学習者の習得段階に応じてティーチャートークを考える際に,発話以外にどのような要素を考慮するか明らかにすることである.ティーチャートーク・テストによって得られた19名分のデータ(38問の回答)を対象とし,分析を行った.その結果,「教師の具体的動作」において,教授経験の乏しい実習生であっても,「ジェスチャー」,「文字や物の表示」,「物の移動」に関して,十分意識された状態にあることがわかった.一方,「教師の移動」,「教師の認知」に関しては,想定の未熟な部分が明らかとなった.

  • 内野 智仁
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 101-104
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,聴覚障害者である生徒用に作成したスライド教材を使用した情報モラル教育を行った.教材は,限られた指導時間内で判断力を高めることを目的に開発された「3種の知識」による情報モラル指導法や聴覚障害の特性を踏まえて,一斉指導用に作成した.教育実践の結果,インターネット上の危険・脅威に対応するための能力であるILAS の得点が,各グループで有意に向上したこと,また1つのグループを対象に実施した約8ヶ月後の追跡調査でILAS の得点に変化が生じなかったこと,SNS の利用や情報技術の知識に関する理解の促進に焦点を当てた追加の教育実践で更にILAS の得点が有意に向上したこと等が明らかになった.

  • 備瀬 美香, 伊藤 智子, 鈴木 雅之
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 105-108
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/10/13
    ジャーナル フリー

    本研究は,英語学習方略の中でも英文読解方略に着目し,中学校における方略指導の実態を明らかにすることを目的とした.中学英語教師85名と中学3年生303名を対象に調査を行った結果,中学校ではボトムアップ方略の指導が重視されている可能性が示唆された.また,教職歴の長い教師ほどトップダウン方略の指導を行う傾向にあることが示された.さらに,生徒の方略被指導経験と動機づけの関係について検討した結果,方略の種類に関係なく,方略を指導された経験の多い生徒ほど読解意欲や効力感が高く,長文が好きである傾向にあった.

  • 荒木 淳子, 佐藤 朝美
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 109-112
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では子育て期(第一子が就学前)の働く女性のキャリア支援を目的とし,女性自身が出産後の変化を受け入れ,将来の自己像を明確化する過程を支援するワークショップの開発と評価を行う.最近キャリア研究では,カウンセラーがクライアントの語り(ナラティブ)を引き出すことでキャリア構築を支援する手法が注目されているが,本研究ではデジタルストーリーテリングによって同様の効果が得られると考え,子育て期の働く女性20名に対し,未来の子どもに向け働く自己を物語るデジタルストーリーテリング作成ワークショップを実施した.結果,参加者の将来の自己像が明確化する様子が見られた.

  • 平野 智紀, 原田 悠輔, 加藤 紗夕理, 畑中 一良
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 113-116
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,全国学力・学習状況調査の結果を各学校が自校の教育指導・学習状況改善に活用することを促すワークショップを開発した.ジグソー法により自校の調査分析を分担して受け持つことで,自校の課題に焦点化された議論を可能にしたほか,反転学習により分析作業の一部を外に出し,多忙な学校現場においても実施可能なプログラムとした.ワークシートからは,自校の教育指導・学習状況改善のための現状認識を教員間で共有する効果があること,アンケートからは,反応レベル・学習レベル・行動変容レベルにおける一定の成果が示された.

  • 藤木 大介, 堀井 順平, 二宮 由樹, 外尾 恵美子
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 117-120
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    集中力は学習において重要な役割を果たす.これまでも課題遂行中の思考状態がそのパフォーマンスに影響することが示されてきた.一方,自己の注意能力について正確に評価できる場合,不注意,多動,衝動的等注意に問題があっても選択的注意課題に優れることも示されている.このことから,集中力の劣る者でもそれを自覚化させた場合,補償的に思考状態を変化させ,課題成績が高くなる可能性がある.そこで持続的注意に関する検査の結果をフィードバックすることが思考状態や読解成績に影響を及ぼすか検討した結果,課題そのものではないが課題に関連する思考が増え,特に持続的注意の劣る参加者は読解成績が向上することが示された.

  • 坂井 裕紀, 柄本 健太郎, 向後 千春
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 121-124
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/09/29
    ジャーナル フリー

    近年,従業員の仕事の質の向上に注目が集まっている.また,ゲーム要素を取り入れた方法への関心が世界的に高まっている.このような背景から本研究では,仕事にゲームの要素を付与する方法を教育する「ゲーミフィケーション研修」を開発し,実施した.その結果,研修を受講した従業員は,仕事中のポジティブ感情の表出を肯定的に捉え,ゲーム要素を仕事に付与し,自律的な行動が促進され,仕事の質を向上させる可能性が示唆された.

  • 菅井 道子, 堀田 龍也, 和田 裕一
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 125-128
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    高校生による教育用SNS を活用した協調的議論に対する生徒の自己評価に影響を及ぼす要因の検討を目的として,教育用SNS を活用した議論演習を2回行った.対照群として対面での議論演習を行う群を用意した.事前と事後の質問紙調査,および議論演習後の議論への自己評価に関する質問の回答を分析した.その結果,教育用SNS を活用した議論においては,グループの人数が増えるほど,生徒は根拠などの理由を伴い主張する論証のスキルが向上したと実感する傾向が示唆された.加えて,情報の判断力や表現力などの議論に関連した意識や態度の変容と,論証の出来不出来に対する生徒の自己評価が関連することが示唆された.

  • 現実の自己および理想の自己との比較
    小杉 大輔
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 129-132
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,大学生がインターネット上で現実の自己に近い自己を表出するのか,あるいは,より理想に近い自己を表出するのかについて,自己呈示の観点から明らかにすることを目的とした.大学1年生に対し,Big Five 尺度を用いて,現実の自己・理想の自己・インターネット上の自己のパーソナリティ特性についての評価を求め,Big Five の5因子の特性が,これら3つの自己においてどのように変わるのかについて分析を行った.その結果,調査対象は,インターネット上において,開放性については現実の自己に近い自己を,その他の4因子では現実の自己よりも理想に近い自己を表出する可能性が示唆された.

  • 沖林 洋平
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 133-136
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,知的好奇心と授業に対する興味および授業内容の定着度の関係について検討した.本研究では,学習者が主体的に考える活動として,動画視聴や関連する課題を行った後,グループでの意見交流を行った.受講者を対象として,知的好奇心尺度と大学生用興味尺度および授業内容定着度調査を実施した.その結果,特殊的好奇心と興味対象関連の知識が内容定着と関連が見られることが明らかとなった.また,特殊的好奇心と授業内容定着度の関係について,興味対象関連の知識の調整効果がみられた.本研究により,興味対象関連の知識は特殊的好奇心と授業内容の定着に関連することが示された.

  • 脇本 健弘, 町支 大祐
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 137-140
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,教師の企業等派遣研修の学びのプロセスに関する実証的研究を行う.企業派遣先における社員との関わりが,教師の視野や考え方の広がりに影響を与えているか,それが日常の業務に影響を与えているかを検証する.分析の結果,教師は社員と対話することにより,学校について考察し,振り返る機会をもち,それが日頃の業務(教育活動や組織マネジメントなど)の改善につながっていることが明らかになった.

  • 益子 典文, 前田 康裕
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 141-144
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    現職教師が学校に勤務しながら教育実践研究を展開するためには,自らを実践知の生産者と位置づける「知識生産型」の認識を持つことが重要である.本研究では,働きながら学ぶ大学院を修了し,持続的に教育実践研究を展開している現職教師(第二著者)を対象とし,PAC 分析による教育実践研究のイメージの分析を行った.その結果,特徴的なクラスターの存在が見いだされた.この結果に基づき,現職教師が持続的に教育実践研究を推進するための条件について,研究者・実践者相互の立場から考察を行った.

  • 森下 孟, 谷塚 光典, 東原 義訓
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 145-148
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    教育学部生の情報モラルを指導する力を育成するため,全国の保護者や教員,児童生徒にネット利用の啓発活動を行っている専任講師をゲストに招き,情報モラル教育実施のための実践的な指導法を考える授業を実践した.ゲスト講師による講演は,ネット上の様々なトラブルとその対策を議論することを通じて,学校教員を目指す受講生自らの情報モラルを振り返るきっかけとなり,受講生自身の意識の向上につながった.多くの受講生は,将来子ども達に情報モラルを指導するにあたってゲスト講師の講演が役立つだろうと評価した.そして,情報モラルに関する指導力を向上させ,情報モラルを指導することへの自信を持たせることにつながった.

  • 宮西 祐香子, 長濱 澄, 森田 裕介
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 149-152
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    本研究では,指尖容積脈波を用いて学習活動時のストレス指標を計測し,従来の生体情報計測手法と比較して安価で容易に教育現場に導入しやすい計測手法の意義を検討することを目的とした.大学生7名を対象に,学習活動時における安静状態と心的負荷をかけた状態との,心拍変動のストレス指標を計測および比較した.また,ストレス指標と主観評価質問紙との関連性を分析した.重回帰分析の結果,主観評価質問紙で測定した項目のうち,理解度項目と疲労度項目それぞれの平均値でストレス指標値が推定できる可能性が示唆された.

  • 大学コンソーシアム京都における「人文学入門」を対象に
    田口 真奈, 福田 宗太郎
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 153-156
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    京都大学文学研究科プレFD プログラムは2009年から実施されてきたが,多様な学生への教育指導やコース全体のデザイン,様々な教授法の習得が課題として挙げられていた.そこで,単位互換科目「人文学入門」を対象として,コースデザインと授業実践を含むプレFD プログラムを開発した.本プログラムに参加し,授業を担当した講師(以下,担当講師)たちは数回にわたる事前ミーティングを経てシラバスを作成し,単位互換提携校9校からの学生を対象にアクティブラーニング型の授業を行った.事後アンケートから受講生が授業に満足していたことが示された.また担当講師への事後インタビューから,担当講師のアクティブラーニングに対する認識が変化したことが示唆された.

  • スマートフォンアプリとウェアラブルセンサを使った事例検討
    山田 雅之
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 157-160
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究はアイスホッケーの試合における移動距離と最高速度についてスマートフォンアプリとウェアラブルセンサを用いて測定し,結果の知識(KR)とそれに対する目標を“共有”することで,選手の目標設定が如何に変容するかに着目した.実践は大学アイスホッケー1チームを対象とした.1か月間に実践された練習試合9試合を分析対象とした.結果,KR と目標をチームで共有することにより選手はスキルの目標とパフォーマンス目標(PG)を設定できるようになることが示唆された.

  • 清水 郁夫, 多田 剛
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 161-164
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    卒前医学教育におけるアクティブ・ラーニング方略として,Team-Based Learning(TBL)が広まりつつある.TBL の成否は事前学習への動機付けにあることから,事前学習に取り組み易くすることが有用と考えられる.その手法として至適なオンライン学習支援システムのブレンド方法を検討するために,デザイン研究の手法を用いて探索した.授業改善の結果をARCS 動機づけモデルに基づく質問紙調査で評価した結果,全体として学習意欲の改善を認めた.事前学習の支援にクイズを用いることで,目標を明確化することをとおして自信につながることが示唆された.また,LMS 上で解答提示や質疑応答する際には公平性に留意することが求められ,掲示板の活用が一助となると考えられた.

  • 町支 大祐, 脇本 健弘, 讃井 康智, 中原 淳
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 165-168
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,異動が教員にもたらす影響について分析を行う.特に,保護者との関係性に着目し,保護者との関係性に関する認識が異なる(あるいは同等な)学校間を異動することが,教員にどのような違いをもたらすかを分析する.本研究では,ある自治体における中学校教員に質問紙調査を行い,上記の点に関する分析を行った.その結果,異動のあり方によって,学級経営に関する効力感や,校務分掌に関する効力感,また,達成感の後退などのバーンアウトの指標に有意な差異が生じていることがわかった.

  • 黒田 昌克, 森山 潤
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 169-172
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の課題や教員研修に対する意識を調査した(n =522).その結果,全体の92.0%がプログラミング教育に関する自己の知識・理解の不足に課題を感じていた.教員研修で得たい情報としては,81.4%がモデル授業の実践事例が必要と回答した.しかし,現任校の情報機器整備の不十分さに課題意識を持っている小学校教員がプログラミング教育のカリキュラム案に必要性を感じる傾向が強いなど,教員研修の内容に対するニーズは,課題意識の持ち方によって異なっている傾向が示された.

  • 早坂 昌子, 向後 千春
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 173-176
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    本研究は,教えるという行為に対する態度に着目し,教えることについての態度尺度を作成することを目的とした.成人178名を対象にして因子分析した結果,「教えることへの自信」,「教えることの価値」,「教える相手次第」の3因子15項目で構成されていることが示された.また,教えることについての態度尺度とBig Five 性格特性,教える仕事に就いた経験,育児経験の関係について検討した.その結果,Big Five 性格特性は各因子に関係があり,就業経験は「教えることへの自信」得点に有意な差が認められたものの,育児経験による差異はみられなかった.したがって,教えることについての態度は,パーソナリティ特性や経験に関係があることが示唆された.

  • 福山 佑樹, 森田 裕介, 松野 夢斗, 浅見 智子
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 177-180
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    反転授業の予習に用いるデジタル教材として,デジタルゲームを用いた場合の特性を検証するための試行を行った.実践の結果,ゲームを用いた予習教材は一定数の学習者にとって「エンタメとして楽しめる」ものであったが,応用問題や科学哲学的な問題の理解を深めるためには対面授業でのディスカッションを組み合わせることが重要になること,反転授業形式にすることでゲーム教材の「授業中に必要以上に時間がかかりやすい」という欠点を乗り越え,振り返りを充実化することで学習効果を高める特性がある可能性が示唆された.

  • 本多 博, 畑中 大路, 藤井 佑介, 高橋 純, 堀田 龍也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 181-184
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    管理職が授業観察を行う際の視点と洞察の明確化を目的として,小学校の管理職73名を対象に調査を行った.その結果,管理職になったことによって授業観察の視点に変化があったと答えた管理職は有意に多かった.授業観察の視点は16,洞察は30の下位項目に整理され,それぞれを6つのカテゴリーに集約した.この視点と洞察のカテゴリーの関係を調べたところ,視点のカテゴリーの一部には,洞察されやすいカテゴリーが存在することが示唆された.さらに,校長と教頭は異なったカテゴリーの視点から授業を観察していることが明らかとなった.

  • 後藤 貴裕, 星 千枝
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 185-188
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    高等学校情報科の学校設定科目においてプログラミングを用いた開発をチームで行う協働型プロジェクトの授業を実践した.実践にあわせチームワーク能力の測定尺度や評価基準を用いた3つの調査を行い,生徒が認識するチームワーク能力の変容を調べると,チームワークにかかわる下位能力のうち〔コミュニケーション能力『主張』〕や〔情報共有〕等の生徒の認識に変容がみられた.また,オンラインチャット上のチームワークに関わる生徒の発言の分析を行ったところ,一部のチームワーク能力の変容と生徒の発言行動に関係性があることが示唆された.

  • 青山 郁子, 藤川 大祐, 五十嵐 哲也
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 189-192
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,小・中学生の「ネットいじめの芽」の経験,そうした状況における深刻度の認識,対処の自信・対処行動について調査した.調査対象者は小・中学生419名,調査時期は2015年2月である.結果は,ネットいじめの芽の状況に関して男子よりも女子の方が多く経験を報告した.対処の自信において性差と学校間に有意な差は見られなかった.深刻度の認識では,小学生の方が問題の深刻さを認識していた.また,小学生の方が概ね積極的な対処行動を回答する一方で中学生は回避的な対処行動を選択してした.これらの結果から,予防においては,いじめの問題の深刻度の共有とともに,問題解決へのより適切な対処行動が取れるよう,発達段階に応じた予防対策の必要性が示唆された.

  • 太目 弘樹, 森本 康彦, 丸山 浩平, 北澤 武, 宮寺 庸造
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 193-196
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    [早期公開] 公開日: 2017/11/02
    ジャーナル フリー

    本研究では,e ポートフォリオを活用した授業において,学習者の学習プロセスの振り返りを促進することを目的とする.具体的には,学習者が作成・収集したe ポートフォリオを活用して,自身の学習プロセスを通して何を学び,どのように変容したかをストーリー立ててまとめる「ストーリー・ポートフォリオ」を提案し,ストーリー・ポートフォリオ作成が学習プロセスの振り返りに与える影響を検証する.その結果,ストーリー・ポートフォリオの作成を付加した際には, 学習者の学びの気づきや状況を想起させ,何がどう変容し成長したかの振り返りを促進させる効果があることが示された.

  • 瀬戸崎 典夫, 内田 武志, 長濱 澄
    2018 年 41 巻 Suppl. 号 p. 197-200
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー

    本研究は異質性を有する他者との関わりから,戦争の加害と被害の面について学ぶ平和教育を実践した.その結果,本授業実践が多数の被験者らにとって価値ある実践として位置づけられたことが示唆された.さらに,異質性の中に含まれる他者との「異なる価値観」や「同じ価値観」を認識することで,多様な観点から平和構築への思考を深め得る可能性が示唆された.

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