日本教育工学会論文誌
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42 巻 , 1 号
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論文
  • 池田 めぐみ, 伏木田 稚子, 山内 祐平
    2018 年 42 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    [早期公開] 公開日: 2018/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大学生のクラブ・サークル活動への取り組みがキャリアレジリエンスに与える影響を明らかにすることである.そのために,大学生を対象に質問紙調査を行った後,まず,因子分析を,次に重回帰分析を行った.分析の結果,クラブ・サークル活動への取り組みの中でもメンバーとの深いコミュニケーション因子,積極的な関与因子,目標達成に向けた取り組み因子,内省因子の4つがキャリアレジリエンスに正の影響を与えることが示された.ここから,クラブ・サークル活動を通じた大学生のキャリアレジリエンスの獲得を促す上では,メンバーとのコミュニケーション,学生の活動への積極的な関与,目的意識を持った取り組み,内省を促すことが重要だと示唆された.

  • 時任 隼平, 寺嶋 浩介
    2018 年 42 巻 1 号 p. 15-29
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,学校改善を担うスクールミドルの成長発達に寄与する教職経験の具体を明らかにする事である.学校改善に取り組む2つの公立高校を研究事例とし,スクールミドル5名を対象にインタビュー調査を実施した.複線径路等至性アプローチを用いて分析した結果,スクールミドルは校務分掌の一環としてパイオニア径路とフェロー径路のいずれかを経た経験を持つ事が明らかとなった.具体的には,パイオニア径路の教師は分掌内で学校改善案を発案し分掌内外の教師との関係調整等を行い,フェロー径路の教師よりも強くリーダーシップを発揮している可能性が示唆された.また,フェロー径路の教師はパイオニア径路の教師とは異なる役割を自律的に担った経験等を経ていた.径路進行の際には受験指導等を重視する学校文化との衝突が生じ,スクールミドルは同僚グループによる協力体制を形成した上で先輩教師からの支援を受けた経験を経ている事が明らかとなった.

  • 杉山 昂平, 森 玲奈, 山内 祐平
    2018 年 42 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    [早期公開] 公開日: 2018/03/08
    ジャーナル フリー

    成人による趣味の追求をインフォーマルな学習環境はいかに支えるのだろうか.趣味における興味に着目してきた先行研究に対し,本研究の目的は「興味の深まり」という新たな概念を提案し,「成人の趣味活動において学習環境との関わりによっていかにして興味が深まるのか」を明らかにすることである.趣味活動の事例としてアマチュア・オーケストラを対象とし,オーケストラ団員15名に対して回顧的インタビュー調査を行った.分析の結果,興味の深まりには(1)音楽的な無自覚からの脱出,(2)上達・達成へのとらわれからアンサンブルへ,(3)参加すること自体の価値を見いだす,という3類型が存在し,それぞれの興味の深まりは(a)活動形態の異なる共同体への移動,(b)活動理念の異なる共同体への移動,(c)目標を焦点化する役割付与,という学習環境との関係性において生起することが明らかになった.

  • 佐藤 和紀, 齋藤 玲, 堀田 龍也
    2018 年 42 巻 1 号 p. 43-53
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究では,メディア・リテラシー教育実践の継続,メディア接触,教師経験が,小学校教師のメディア・リテラシーに与える影響を調べることを目的とした.教師向けのメディア・リテラシーを育成するためのトレーニングプログラム(佐藤ほか2015,2016)を受講した若手教師とベテラン教師を対象に追跡調査を実施した.その結果,研究の目的1:トレーニングプログラム後のメディア・リテラシー教育の授業実践が教師のメディア・リテラシーに影響を与えていた,研究の目的2:トレーニングプログラム後のメディア接触が教師のメディア・リテラシーに影響を与えていた,研究の目的3:教師経験がメディア・リテラシー教育の授業設計に影響を与えていた,という3点が明らかになった.

  • 市村 賢士郎, 河村 悠太, 高橋 雄介, 楠見 孝
    2018 年 42 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    [早期公開] 公開日: 2018/05/21
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,ラーニングコモンズの物理的環境が利用者の創造性に与える影響を検討することであった.具体的には,48名の大学生を対象に,創造性課題と作業課題をラーニングコモンズと自習スペースの2つの学習環境で実施し,それらの環境によって課題成績に差がみられるかどうかを検討した.あわせて,それぞれの学習環境の用途や期待される学習効果に関する情報を提示する影響とラーニングコモンズの利用経験の影響を検討した.その結果,ラーニングコモンズでは,その利用経験がある群において創造性課題の成績がより高いことが示された.また,学習環境に関する情報を提示することによって,いずれの学習環境においても作業課題の成績が低下することが示された.以上の結果を踏まえて,ラーニングコモンズの物理的環境の効果やその他の要因も含めた適切な学習環境の設計や運用について考察し,自律的・協調的な学びを効果的に行うための示唆を得た.

  • 福屋 いずみ, 森田 愛子, 草原 和博, 渡邊 巧, 大坂 遊
    2018 年 42 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,地理教育において重視されている地理的な見方・考え方を妨げる背景要因について検討することであった.特に,地形ではなく地名を基盤として事象を捉える構えと,地図同士ではなく文章に地図を関連付ける読解方略に着目した.地理に関する文章と地図を自由に構成させる課題を行い,前者については地名の地図を基盤として地図を構成しようとするか,後者については文章を中心として地図を配置しようとするかによって,参加者のもつ構えや方略を調べた.その結果,地形ではなく地名を基盤として事象を捉える者が多くおり,地図同士ではなくより文章に地図を関連付ける読解方略をとる者も多かった.また,参加者のうち地形を基盤として地図を構成した者は,地理的な見方・考え方のテスト成績が高かった.地形を基盤とした構えを背景にもっていないことが,地理的な見方・考え方を妨げる要因であることが示唆された.

  • 細矢 智寛, 狩野 悠也
    2018 年 42 巻 1 号 p. 73-87
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    本研究は,高校3年生の英語科(コミュニケーション英語Ⅲ)を対象に,日本の教科書を扱いながら,自己調整学習の方法論を取り入れた単元を開発した.単元開発にあたっては,自己調整学習の教材である“Text Detectives”の方法論を,単元“The 10,000-Hour Rule(10,000時間の法則)”に適用した.開発した単元を扱った授業を実施した結果,生徒の英語の学習に対する自己効力感や内発的価値といった動機づけの得点に有意な伸びが認められた.また,新規テキストを用いた読解課題では指導した方略の適切な使用が認められた.

教育システム開発論文
  • 吉田 塁
    2018 年 42 巻 1 号 p. 89-104
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    [早期公開] 公開日: 2018/03/09
    ジャーナル フリー

    アクティブラーニングは主に対面授業で取り入れられており,学習効果を向上させることが示されている.ここで,対面授業におけるアクティブラーニングをオンラインで実現することができれば,質の高い学習機会を幅広く提供できる.そこで,本研究では,オンラインでもグループワークを含めたアクティブラーニングを実現するWeb システムであるLearnWiz システムを開発した.また,本システムの有用性を評価するため,教員の教育力向上の取り組みであるFD に関するワークショップを実施し,参加者に対して事前事後で質問紙調査を行った.その結果,ワークショップの内容に対する理解が有意に深まっていたことが明らかになった.また,システムおよびワークショップへの評価も総じて高かった.これらの結果から,本システムは,オンラインでもグループワークを含めたアクティブラーニングを実現することが可能で,有用性が高いことが示された.

教育実践研究論文
  • 森下 孟, 谷塚 光典, 東原 義訓
    2018 年 42 巻 1 号 p. 105-114
    発行日: 2018/07/10
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    教員養成学部生のICT 活用指導力の組織的な向上を図るため,教育実習でICT 活用授業を必ず1回以上行うことによって,教育実習生のICT 活用指導力にどのような効果をもたらすかを考察した.ほぼすべての教育実習生は,児童生徒の興味・関心を高めるために拡大提示装置やコンピュータを用いて教材などを拡大提示し,教育実習でICT を活用した授業を行っていた.また,児童生徒同士による発表や話合い,音声・動画などの資料準備でICT を活用していた.これらの場面に対応したICT 活用指導力が教育実習を通じて向上しており,教育実習でICT 活用授業を必ず1回以上行うことは教員養成学部生のICT 活用指導力の向上に効果があることを明らかにした.

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