日本教育工学会論文誌
Online ISSN : 2189-6453
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42 巻 , 2 号
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論文
  • 小田切 歩, 石橋 優美
    2018 年 42 巻 2 号 p. 115-128
    発行日: 2018/10/30
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,中学校数学科教科書の問題が学習者の理解を促すという機能を果たしているのかを明らかにするために,問題が学習者の理解の認知プロセスに沿って構成されているかについて検討した.そのために中学校数学科教科書の問題を,学習の文脈設定を促す問題,既有知識の活性化を促す問題,新たな知識の獲得を促す問題,知識の一通りの関連づけを促す問題,知識の多様な関連づけを促す問題,の5つに分類し分析した.その結果,新たな知識の獲得を促す問題が最も多く,知識の関連づけを促す問題はともに少ないこと,そして知識の関連づけを促す問題の前に,既有知識の活性化を促す問題と新たな知識の獲得を促す問題が十分に設定されていないことが示された.さらに知識の関連づけを促す問題には,数学的な知識の関連づけを促すだけでなく,数学的な知識と日常的な知識の関連づけを促すことで,数学的概念に関する理解をより深める問題もあることが示された.

  • 備瀬 美香, 伊藤 智子, 鈴木 雅之
    2018 年 42 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 2018/10/30
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,英語学習方略の中でも英文読解方略に焦点を当て,英文読解方略について指導された経験(被指導経験)と方略使用の関連について,個人内相関に着目して検討した.また,被指導経験と方略使用の関連の個人差を説明する要因として,読解意欲と自己効力感に着目した.中学3年生127名を対象に質問紙調査を行い,マルチレベル分析を行った結果,指導された経験の多い方略ほど,生徒はよく使用する傾向にあることが示された.また,これらの関連には個人差があり,読解意欲の高い生徒ほど,指導された方略を使用する傾向が強いことが示された.ただし,被指導経験の効果は非常に大きいのに対し,読解意欲の効果は小さいものであった.したがって,教育実践においては方略指導を行うことが重要であり,読解意欲を向上させるための取り組みも同時に行うことで,より一層の効果がみられる可能性が示唆された.

教育システム開発論文
  • 赤倉 貴子, 東本 崇仁, 加藤 浩一郎
    2018 年 42 巻 2 号 p. 141-153
    発行日: 2018/10/30
    公開日: 2018/10/30
    [早期公開] 公開日: 2018/06/29
    ジャーナル フリー

    本研究では,法令文を命題論理式で表現することができることに着目して,特許法学習のための問題解決過程モデルを定義した.そしてそのモデルを利用した学習支援システムを開発した.開発した学習支援システムは,法律条文を組み合わせて考えるような問題に対して,問題構造を直接計算可能な命題論理による表現として保持している.学習支援システムを利用する学習者は,同様に命題論理によって解答を組み立てる.学習支援システムは,システムが生成した正答と学習者の入力した解答の差分を計算し,学習者に誤りの箇所を段階的にフィードバックすることができる.システムの評価実験を行った結果,学習者は段階的フィードバックを高評価し,本研究で定義したモデルに基づいて問題を解く意識を強化できる可能性があることが示唆された.

教育実践研究論文
  • 野口 聡, 村上 正行
    2018 年 42 巻 2 号 p. 155-165
    発行日: 2018/10/30
    公開日: 2018/10/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,「凸レンズを使うと,なぜ像をつくることができるのか」を説明する問題を生徒に与えた.その際,「必要に応じて,説明に具体的な事例やたとえ,図絵を使うこと」という記述の条件を伝えたうえで,教授対象(①1年下の人,②同年の分かっていない人,③1年上の人,④自分自身)を想定するように指示した.このとき,教授対象を想定することで,解答の書き方に平易な表現・情報を補足する説明が使われるようになるのか,また正確に知識を習得するのか,調査した. その結果,(1)教授対象として①,②,③の他者を想定することで,平易な表現を使った記述をする.(2)①を想定することで,情報を補足する説明を使った記述をする.(3)①を想定した生徒群は,他の群よりも正確に知識を習得する.以上の3点が明らかになった.ここから,記述の条件を加えることで,教授対象として年下を想定することの実効性を高められたと考えられる.

  • 西田 寛子, 久我 直人
    2018 年 42 巻 2 号 p. 167-182
    発行日: 2018/10/30
    公開日: 2018/10/30
    [早期公開] 公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,生徒の自律的な学びを生み出す主要な要素を組み込んだ英語科学習指導プログラムを開発し,その効果を検証することを通して,自律的な学習者の効果的な育成の在り方について検討することである. この目的を達成するための研究課題として,①生徒の自律的な学びを生み出す主要な要素を組み込んだ英語科学習指導プログラムを開発すること,②開発したプログラムの効果性を検証すること,とした. 研究を進めるにあたっては,自己調整学習の理論に基づいて,自律的な学習者育成のための主要な要素である「メタ認知」「動機づけ」「学習方略の獲得」を促進する英語科学習指導プログラムを開発し,中学1年生に導入するとともに,その効果の検証を行った. その結果,本プログラムは,上記3つの要素が効果的に作用し,自律した学びを生み出す一定の効果が検証された.

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