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長谷川 文子
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
1-4
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究は,母語能力の自己評価の程度が第2言語学習の自信に与える影響を明らかにすることを目的とし,国語学習スキルの自己評価と英語学習の自己効力感の関係性を検討した.高校生208名を国語学習スキル自己評価得点の高低により群分けし,英語自己効力感の差を分析した.その結果,国語で「読むこと・書くこと・考えを述べて意見交流をすること」を得意とする高校生は,英語学習に対しての好感度と英語自己効力感が高くなる傾向がみられた.自分の国語学習スキルを高く評価している学習者は,英語学習に対しても自信を持ちながら取り組んでいることから,第1言語能力自己評価と第2言語学習自己効力感との間には関係がある可能性が示唆された.
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村上 正昭
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
5-8
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,A 自治体の学校管理職候補者である指導主事のキャリア形成における諸要因の影響関係を検証し,キャリア形成モデルを導くことである.まず,先行研究を概観し,指導主事のキャリア形成に係る諸要因の影響関係における課題を見いだした.次に指導主事へのインタビュー調査のデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った.その結果,指導主事のキャリア形成において,キャリア形成要因としての動機や能力,価値観が相互に作用し合う中で,一皮むける経験の影響によりキャリアが形成されていくことが明らかとなった.そして,指導主事のキャリア形成を形式知とし,キャリア形成モデルを導くことができた.
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梅本 貴豊, 稲垣 勉
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
9-12
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/12/19
ジャーナル
フリー
本研究では,協同学習における動機づけ調整と状況的動機づけとの関連を検討した.計23名の大学生を対象に40分の協同学習を行い,その前後にそれぞれ調査を実施した.事前に動機づけ調整傾向を測定し,協同学習の直後に,協同学習中の9時点の状況的動機づけを回顧的に測定した.階層線形モデリングによる分析を行った結果,動機づけ調整傾向が低い学習者は,協同学習の後半の状況的動機づけの低下が大きく,動機づけ調整傾向が高い学習者は,協同学習の後半の状況的動機づけの低下が比較的小さかった.以上より,動機づけ調整は,特に協同学習の後半の状況的動機づけの維持に対して重要な役割を果たすと考えられた.
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石原 浩一, 泰山 裕
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
13-16
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,1人1台端末活用入門期の教員が持つ課題意識及び研修ニーズを教職経験年数別に明らかにすることである.愛知県A 市で「1人1台端末活用研修入門編」を受講した教員を対象に調査を行った.その結果,課題意識では「操作」「活用・指導イメージ」,研修ニーズでは「活用・指導イメージ」に関するものが多く選択された.また,教職経験年数別に分析した結果,経験年数が短い群では「活用・指導イメージ」,長い群では「操作」に関する項目が多く選択されていた.これらのことから,入門期の教員を対象とした研修を計画する際は,参加者の経験年数に留意して内容や方法を調整することで研修効果が高まる可能性が示唆された.
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大学生と小学生を対象とした調査
三和 秀平, 青山 拓実, 解良 優基, 山本 大貴
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
17-20
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/12/14
ジャーナル
フリー
「どうして勉強しなきゃいけないの?」という勉強する理由についての哲学的な対話が学習動機づけに与える効果を検証した.研究1では大学生を対象に対話を行った結果,参加者の勉強に対する動機づけが向上する傾向がみられた.また,児童の動機づけを高めることができると思うか予想を求めたところ,概ね高めることができると考える傾向にあるものの,否定的な意見もみられた.そこで研究2では小学生を対象に対話を行った.その結果,日常生活における価値のみ向上がみられた.一方で,他の価値の側面や興味,努力の意図などの向上はみられなかった.
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藤木 大介, 東城 立憲
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
21-24
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
「主体的・対話的で深い学び」を目指す中で,協同場面を模して複数人の会話場面を再現した文章(対話型テキスト)が教材等として用いられることが増えている.しかしながら,その理解過程に関する検討は少ない.また,その形式の特徴から,他者の心の状態について推論する能力である「心の理論」の個人差によってその読解のしやすさも異なる可能性がある.そこで自閉症スペクトラム症の特性と対話型テキストの読解成績との関係について検討した結果,細かなことへのこだわりが強いという特性を持つ場合,むしろ対話型テキストの読解成績に優れることが示された.会話の中に含まれる細かな修辞情報を利用して深い理解となった可能性がある.
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木村 明憲, 黒上 晴夫
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
25-28
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/08/12
ジャーナル
フリー
本研究では,児童が自己調整スキルを発揮しながら主体的に学びを進めることができる方策として,学習計画表であるレギュレイトフォームを開発した.レギュレイトフォームには,「本時の目標」と「振り返り」を記述する枠を設けている.これらの枠に記述された事柄を自己調整スキルの下位項目である「適用スキル」「目標設定スキル」「自己評価スキル」「帰属スキル」と対応付けて分析したところ,本フォームが児童の自己調整スキルの育成を促すことに一定の効果が確認されたとともに,本フォームを活用する際の指導・支援のあり方が明らかになった.
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伊藤 貴昭
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
29-32
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/09/09
ジャーナル
フリー
本研究では対象指示コミュニケーション課題を用いて,図形を伝達するための説明とその正答数ならびに共感性との関連を検討した.大学生29名に対象指示コミュニケーション課題を実施し,同時に共感性尺度に回答させた.その結果,大学生の正答数はそれほど高くないことが示された.また,共感性については自己指向的な認知傾向である「想像性」と正答数との間に負の相関関係が見られた.本研究の結果は,情報を伝達するための説明を促す際の留意点を示唆している.
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後藤 心平, 齋藤 玲, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
33-36
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本稿では,大学生のSDGs に対する意識(以下,SDGs 意識)を高め,望ましい行動を促すことを目標としたワークショップ(以下,WS)をデザインし,デザインしたWS の効果を明らかにすることを目的として調査を行った.WS は,新聞社社員と大学教員で企画し,「知る活動」と「創る活動」(山内ほか 2021)の観点からデザインした.WS 後,参加した大学生(N =19)を対象として,WS を構成した各活動の評価,SDGs 意識や行動の変容について質問紙調査を行った.その結果から,WS が参加者の学びに有益だったことや,SDGs 意識が向上したこと,SDGs にとって望ましい行動を取るようになったことが示唆された.
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顔写真を利用した級友の顔認識に関する聞き取り調査から
新原 俊樹
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
37-40
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
SNS の普及やコロナ禍で見えづらくなった学級内での生徒の交友関係の可視化を目的として,専修学校の一学級に入学した32人を対象に,入学から約1年後に級友の名前を質問する聞き取り調査を実施したところ,互いに名前を覚えていたのは115組(全体の23%)に止まった.この組合せを線で繋いで生徒の関係図を描画したところ,3人の生徒が14人以上の級友と繋がる一方,級友1人にしか繋がらない生徒も3人いることが判明した.級友の顔と名前を覚えている生徒が増えなかったのは,コロナ禍で遠隔授業が続き,級友の顔や名前を意識する機会が無かったためだと推察されるが,調査対象の学級や期間を変えて事例を蓄積し,あらためて検証する必要がある.
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佐藤 朝美, 城戸 楓, 野澤 祥子, 山内 祐平
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
41-44
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/08/23
ジャーナル
フリー
近年,園と家庭の「パートナーシップ」という考え方が注目されている.しかし,日本では,親を保育サービスや子育て支援の受け手として捉えており,保育・教育に参画・協働する主体としての視点は明確ではない.そこで本研究では,園と家庭のパートナーシップの関係性のあり方を学び,自園での取り組みについて再考するオンラインWS を開発した.映像教材によりパートナーシップの概念を理解し,保育者がディスカッションを行いながら,自園の課題を整理し,実際に実践するための方法を考える活動である.保育者を対象にオンラインWS を実践した結果,保護者に対する関係性態度尺度・RASP におけるパートナーシップ的態度への要因が上昇し,より深い理解が得られた.
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小学校第4学年理科「物のあたたまり方」での実践を通して
恩田 真衣, 大久保 紀一朗, 板垣 翔大, 泰山 裕, 三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
45-48
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/10/13
ジャーナル
フリー
本研究では,小学校第4学年理科「物のあたたまり方」の単元で日常生活や社会との関連を図るアニメーション教材を開発し,その効果を検証した.その結果,開発したアニメーション教材を使用すると,学習内容と日常生活や社会との関連に気づき,理科学習に対しての興味が高まること,アニメーション教材に,児童が選択したり,繰り返し試行したりできるような機能をつけることで,思考を深めようとする理科学習に対しての興味が高まること,正しい概念形成が促されることが示唆された.
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板垣 翔大, 岡本 恭介, 佐藤 和紀, 三井 一希, 泰山 裕, 安藤 明伸, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
49-52
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/07/11
ジャーナル
フリー
本研究では,授業中の教育実習生に参観者が助言や励ましを送信可能なシステムを開発し,教育実習生の授業で実践利用した.授業者と指導教員へのインタビュー調査からシステムを評価した結果,授業中の助言により,その場で授業を改善するきっかけを与えられることや,送られる励ましによって安心感や心強さが生じること,また,授業中に助言等を受け取るツールとしてスマートグラスが妥当であることなどが示唆された.
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遠山 紗矢香, 古川 亮子
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
53-56
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
看護師がこれまでに情報学に関する研修等を受講した経験があるのか,また今後看護職者としてどのような情報学的な学習の希望を有しているのか実態を把握することを目的として,アンケート調査を実施した.正/准看護師の資格を有する3,177名の回答を分析した結果,正/准看護師以外の資格保持者や管理職者は研修受講経験を有し,かつ情報学や看護情報学を今後学ぶ希望を有する傾向が強いことが示された.また,今後の研修では,女性の抵抗感を軽減しつつ,年齢が高い者や情報学に関する研修未受講者に注目し,かつ紙カルテ使用機関へ勤務する者を念頭に置いて対象者を選び,実務へすぐに活用可能な内容を提供することが期待されていることも示された.
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授業実践の工夫を反映した1時点の質問紙調査を参照して
野中 陽一朗
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
57-60
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/09/09
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,リアクションペーパー(以下,RP)に着目し,授業者による介入を改善した授業実践の報告,RP 記述に対する自己認識と学習アプローチとの関連,RP 記述に対する自己認識のタイプを検討することであった.そのため,大学生の授業での学びの内化と外化をRP により往還する授業実践の工夫を反映した1時点の質問紙調査を実施した.調査の結果,深い学習アプローチは内容記憶志向との間に負の相関が示され,記述訓練志向との間に正の相関が示された.RP 記述に対する自己認識に基づき4つの特徴的なタイプを見出した.深い学習アプローチとの関連からRP 記述に対する自己認識の捉え方,RP を活用した大学教育の今後の方向性を考察した.
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満下 健太, 安永 太地, 酒井 郷平, 塩田 真吾
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
61-64
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究では,情報モラルの知識がその領域に応じて様々なトラブルの経験頻度にどのように影響するかを明らかにする.中学1〜3年生(n = 943)を対象に,12種類のトラブルについて3段階の重大性を設定した計36ケースの経験頻度を尋ねた.また,利用状況(スマートフォンの所持・ルール有無・フィルタ有無・趣味/勉強目的での利用時間・利用意識)と情報モラルの知識(モラル・セキュリティ・法)を尋ね,それらが各ケースでのトラブルの経験頻度に影響するかを重回帰分析によって検討した.主要な結果として,「モラル」に関する知識が高い者ほど4種類のトラブル(デマの発信・不適切情報の閲覧・著作権・出会い)について経験頻度が低かった.
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北神 慎司, 阪 風花
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
65-68
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究では,ピクトグラムのデザインの具体-抽象性および彩色の違いに注目し,視覚探索課題を用いて,それらの要因がピクトグラムの学習に及ぼす影響を検討した.その結果,デザインについては,具体性が高いほうが視覚探索課題における反応時間が短く,彩色については,カラーで表現されているほうが課題における反応時間が短かった.これら以上に,興味深い結果として,デザインや色の優位性は絶対的なものではなく,学習の効果が得られたのは,むしろ抽象性の高いピクトグラムのほうであった.今後は,場所や場面などの文脈を考慮に入れながら,知見を積み重ねることによって,ピクトグラムのよりよい活用法が考えられるであろう.
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佐藤 和紀, 南條 優, 遠藤 みなみ, 三井 一希, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
69-72
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/07/08
ジャーナル
フリー
1人1台の情報端末を活用して,子供主体の学習を目指す中堅教師群と若手教師群の児童の学習時間と教師の発話への調査を通し,教師歴の影響を検討するために,2021年6月と2022年1月の算数の授業の映像を分析した.その結果,時期の比較をすると1)教師の一斉指導の時間は両群とも1月の方が少なく,児童の学習活動の時間は両群とも1月の方が多かった,2)発話量は両群とも1月の方が少なかった,3)ICT に関する発話は同様に両群とも1月の方が少なかった.また,教師歴を比較すると,4)発話数は中堅教師群の方がいずれの時期でも少なかった,5)児童による学習活動の時間は中堅教師群の方がいずれの時期でも長かった,6)中堅教師群の児童は1月には学び方を選択して学習を進めた時間が長かった,といった6点が確認された.
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高橋 陸斗
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
73-76
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,小学校の掲示実態から,学年による掲示量の違いおよび掲示内容別の変化の要因を明らかにすることである.そのために,教室内掲示物の実態調査から得たデータを内容に基づき整理・分類するとともに,学年別に掲示物を検討することで,掲示物の内容に学年差があるのかを検討した.その結果,①小学校の掲示物は生活面の掲示物が約7割,学習面の掲示が約2割,その他の掲示が約1割という内訳であること,②生活面の掲示量は,高学年の方が低学年よりも掲示量が増えていること,③生活面の掲示の中でも特に,役割分担に関わる掲示が中学年で,主な発信元が学級外である掲示が高学年で,それぞれ低学年より多いことがわかった.
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福島(浦田) 貴子, 今井 亜湖
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
77-80
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/07
[早期公開] 公開日: 2022/09/09
ジャーナル
フリー
本研究では,日本語指導が必要な児童が在籍学級の授業に参加するための支援を検討するために,小学校の通常学級の算数科の授業場面における教師の発話を対象とし,そこで用いられている語彙の特徴を検討した.その結果,教師の発話には,算数科の教科書に掲載されている語彙だけでなく,国語科の教科書に掲載されている語彙が使用されていることが明らかとなった.このことから,日本語指導が必要な児童を在籍学級の授業に参加させるためには,算数科の授業でも国語科の授業でも用いられるような,教科の枠を超えて使用される語彙を習得させる必要があることが示唆された.
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小倉 光明, 佐藤 和紀, 森下 孟, 村松 浩幸
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
81-84
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/17
ジャーナル
フリー
GIGA スクールプロジェクトに基づく情報端末の運用および活用に対する課題意識(以下,GIGAスクールP における課題意識)について,初期・中期・後期段階の質的変遷を把握した.その結果,小・中学校では初期,中期で運用と活用に関する課題意識が5割程度であり,後期から活用に関する課題意識が6〜7割程度に高まっていた.教育委員会では,中期から活用に関する課題意識が7割程度に高まっていた.運用に関する課題はネットワーク環境やセキュリティに関する内容も多く,教員での解決は難しい.このような内容を踏まえて,主体的・対話的で深い学びの実現に向けてGIGA スクールP における課題意識に合わせた支援が必要であると考えられる.
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根本 淳子, 手塚 千尋, 岩永 啓司, 吉川 暢子
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
85-88
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/12/09
ジャーナル
フリー
本研究では美術教育の本質的理解を促す学習環境デザイン原則を見いだすことを最終目的に,幼小中教員養成課程所属の学生による「幼児向けアートプログラム」を共同開発する学習環境デザインを開発した.本稿では本学習環境が学生にどのような理解を形成したのかを,美術教育の本質的理解のうち「素材」への言及を中心に確認した.最終レポートからは「素材」を生かした幼児中心の自由な活動を作り上げることの重要性の理解を確認できたが,学習者の専門性の違いが垣間見られた.振り返りの記述から,学生は子どもの活動を観察する機会を得たことからの発見や他大学との交流を利点と受け止めており,「アートプログラム」実施の価値と課題が見えた.
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手塚 和佳奈, 佐藤 和紀, 堀田 龍也, 谷塚 光典
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
89-92
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/27
ジャーナル
フリー
本研究は,写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導の効果を検証した.この学習では,①児童が写真の読み取りを行った結果を文章でまとめ,②その内容を児童同士が話し合い,③最後に教師が1名の児童の読み取りの結果を学級に共有した.写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導を全14回実施した結果,10回目から写真を読み取る力が向上した.
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倉田 伸, 仲谷 佳恵, 長濱 澄, 藤木 卓, 室田 真男
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
93-96
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/11/11
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,非同期オンライン環境で行うビデオアノテーション模擬授業において,仲間との意見のズレをとおした授業スキルの見直しによる教職志望学生の学びの特徴を示すことである.一部改変したSCAT を用いて教師教育者へのインタビュー回答を分析した結果,批判的な思考・捉え方の変容・改善策の提案といった,授業スキルの見方・考え方の変容に関する学びの特徴が示された.一方,予め自分で得ていた良い気づきに意識が向かなくなる課題も示された.
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坂本 亘, 杉浦 真由美, 重田 勝介
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
97-100
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
MOOC 受講者の学習状況の分析から,MOOC 受講後の学習継続に影響を与える要因を明らかにした.MOOC 受講後の「学習継続の有無」「理解度」「関心度」を目的変数,「受講前の学習者特徴」「受講中の行動特徴」「受講終了時の講座に対する印象」を説明変数として数量化Ⅱ類によって分析を行った.その結果受講後の「理解度」には講座自体の理解度が,受講後の「関心度」には分野への興味・関心が他の変数と比較して強い影響を及ぼしており,受講終了時の興味・関心はこれら3つすべてに強い影響を持っていた.また偏相関係数上位3項目には「受講終了時の講座に対する印象」に属する項目が多く現れた.
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武田 慧, 大堀 勝正, 市川 尚, 三田 正巳
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
101-104
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,2020年度と2021年度に高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修で取得した教員の課題に関する自由記述形式のデータを基に,共通教科情報科に対して教員が考える課題の傾向を明らかにすることである.特に,2021年度に大学入学共通テストの出題教科として情報が新設されることが発表されたことで,課題の内容が変化したことが考えられる.分析の結果,先行研究によって明らかになっている課題に加えて,大学入学共通テストに向けた不安や「情報Ⅰ」の開講年次の設定や数学などの教科との連携に懸念があることが明らかになった.
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安田 隆, 葉田 善章
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
105-108
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
合奏活動における指揮法の技術を独学するにあたって,学習者は初学者であるほど指揮の良し悪しを客観的に自己評価することが困難である.本研究では,指揮者向けの教材のひとつ『指揮法教程』(斎藤メソッド)に着目し,斎藤メソッドで最も基本的な指揮動作「1拍子の打法 (叩き)」を題材とする独習支援システムを開発した.3軸加速度センサーを用いて学習者の指揮運動を計測し,1拍あたりの指揮の型の正しさという観点と正確なテンポで指揮し続けられるかという観点で診断した結果を提示することで学習者に指揮動作の自己矯正を促す.そして指揮の経験者・未経験者を対象とする学習実験の結果からシステムを用いた独習の課題を明らかにした.
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三井 一希, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
109-112
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/09/02
ジャーナル
フリー
児童のICT 操作スキルに関して,教師が行った支援方法とその期間を,認知的徒弟制モデルのうち,熟達化を促すための方法に着目して調査し,実態を把握することを目的とした.小学校教師12名の回答を分析した結果,Web サイトの作成スキルのように,教師の手本を観察させて学ばせる期間が長くなるものがある一方で,地図アプリの操作スキルのように,支援を少なくしてすぐに自立の段階に移行できるものがあること等が示された.また,認知的徒弟制モデルに沿った順番どおりの支援が最適とは限らない可能性が示唆された.
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学力の高低ごとの検討
稲木 健太郎, 泰山 裕, 三井 一希, 大久保 紀一朗, 佐藤 和紀, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
113-116
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/07/26
ジャーナル
フリー
本研究は,児童が学習方法を自己選択する授業の経験と学習方法のメタ認知の関係を調査し,学力の高低ごとに検討することを目的とした.調査対象の授業を週15コマ程行った学級を高頻度群,週3コマ程行った学級を低頻度群とし,学習方法のメタ認知に関する振り返りの記述数と学力との関係を分析した.結果,経験頻度と学力の二要因が,学習方法のメタ認知的活動に関係する可能性が示唆された.一方,学習方法のメタ認知的活動を適切に行うには,学習方法を自己選択する経験だけでなく,学習方法に合わせたメタ認知的活動を適切に行うための支援や,学力下位群への支援が必要となる可能性が示唆された.
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加藤 圭太, 鈴木 克明, 合田 美子, 久保田 真一郎
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
117-120
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
公立通信制高校には,私立通信制高校と比較して単位修得率が低いという課題がある.本研究では,公立通信制高校の実践校の数学Ⅰにおいて,数学や対人関係に苦手意識を抱える生徒でも,レポート・面接指導・試験の単位修得要件を満たしながら学習に取り組めるよう,個別化教授システムによる授業設計を行った.2021年度後期に半期間の試行的な実践を行い,単位修得率が向上するかを評価した結果,対象生徒の単位修得者数の割合が,対象外生徒と比較して10.4ポイント高かったことから,本設計が単位修得率の向上につながることが示唆された.
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町 岳
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
121-124
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究では,小学校3年生の算数授業のグループ学習において,話し合いを構造化する授業実践型相互教授(Reciprocal Teaching in the Classroom;以下RTC)に加え,社会的に共有された学習の調整(Socially Shared Regulation of Learning;以下SSRL)の視点で,自分達の学び合いを振り返らせた授業デザインの効果を検討した.RTC に加えSSRL の視点で自分達のグループ学習を振り返らせた介入群と,RTC のみの対照群を比較した結果,介入群児童のSSRL の4つの視点(協力・配慮行動・援助要請・援助提供)の活用に対する自己効力感が有意に高かった.また,記述統計から介入群児童の学業達成度の平均が高く,「グループの中で友達への教え方が一番うまい児童」の間接的調整発話(友達の考えを意図的に引き出そうとする質問等)が多いことが示された.
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松山 由美子, 中村 恵, 塚田 義典
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
125-128
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
幼稚園等の就学前教育・保育におけるICT,特にタブレットの活用で求められるアプリについて,開発を通して検討した.結果,1)多様な保育活動や幼児の自主的な活動を妨げない,2)写真の自動振り分けやタグ付け機能の充実により保育者の保育評価の支援に寄与する,3)ネットワーク環境とアプリの機能の整理の3点がアプリに求められた.また,保育者がアプリの開発に積極的に参与することで,保育・幼児教育におけるICT 活用への意欲の高まりも見られた.保育・幼児教育を充実させるためのICT 活用を検討する際には研究者や開発者と保育者の協同的なアプローチによる研究がより一層求められる.
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平山 靖, 今野 貴之
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
129-132
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,小学校算数科において適応学習教材を自主的に取り組むようになった児童のプロセスを明らかにすることである.自主的に取り組むようになった1名の児童を対象に,学級担任,管理職へのインタビューのデータをM-GTA で分析し有機的統合理論の視点から考察した.その結果,解き直し方法の理解が進み,外発的動機づけの一つである同一化的調整段階の手前に進んだプロセスと,担任の状況把握と声かけによって,外発的動機づけの一つである同一化的調整段階に進んだ2つのプロセスの可能性があると考えられた.適応学習教材を用いても外発的動機づけが必要であり,それを組み入れた指導が必要であることが示唆された.
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溝口 侑, 酒井 淳平, 河井 亨
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
133-136
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,ロールモデルを持つことの時間的な変化と,ロールモデルの獲得とキャリア発達との相互関係について明らかにすることである.高校生を対象として1年半の縦断調査を行った.その結果,2時点間でのロールモデルの有無には弱い連関が見られた.さらに,交差遅延効果モデルを用いてパス解析を行った結果,1時点目のキャリア発達の指標から2時点目のロールモデルの有無へ有意なパスが見られた.したがって,ロールモデルとキャリア発達には,キャリアについての見通しを持つことが,ロールモデルを見出すことにつながり,それによって自分の将来の生き方や人生について考えるときに有効に働くという関係がある可能性が示唆された.
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豊沢 純子, 竹橋 洋毅
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
137-140
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究は,事件の発生状況を実写の動画で示すことによる110番通報訓練を行い,正確性と迅速性の観点から訓練効果を検討した.先行研究(豊沢・竹橋 2017)では,通報訓練を行うと1回目よりも2回目の通報の正確性と迅速性が高くなることが示されているが,事件の発生状況をイラストで示しており,現実場面との乖離が指摘されていた.そこで本研究では,より現実に近い状況である実写の動画を用いた場合にも同様の効果が生じるかを検討した.大学生65名をランダムに通報者役と警察官役に割り当て,通報者役に事件発生状況の動画を提示した後に,通報者役から警察官役に模擬的な通報を行ってもらった.さらに役割とペアを交代して,別の動画を用いて同様の通報を行ってもらった.その結果,1回目よりも2回目の通報の正確性が高くなったが,迅速性には有意な差は生じなかった.その理由として,先行研究よりも認知負荷の高い課題であったこと,犯人情報の詳細な点に注意が向いたこと,迅速性よりも正確性を優先しやすかったことなどの可能性を述べ,今後の研究のための改善点を考察した.
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大学ゼミの「班制度」の有無に着目して
正司 豪, 尾澤 重知
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
141-144
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/08/26
ジャーナル
フリー
本研究は,卒業研究が必須の大学生を対象とし,研究内容の変容の契機となったゼミナール内外の実践共同体との関わりのプロセスを明らかにすることが目的である.半構造化インタビューを実施し,質的な分析をした結果,研究内容の変容の契機は,①指導教員からの助言,②ゼミの先輩からの助言,③同じ関心を持つ学外の他者との対話,の3つに類型化できた.ゼミ内の実践共同体として「班制度」の有無に着目した結果,研究内容の変容に関して,班がある学生は『他者によるゆさぶり』,班がない学生は『他者との対話』が契機となった.また,班の有無により,異なる実践共同体に関与し,異なる研究プロセスをたどる可能性が示唆された.
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川田 拓, 川﨑 聡大, 安藤 明伸
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
145-148
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/07/22
ジャーナル
フリー
複数の課題遂行場面において,簡易型脳波計で測定される指標の変動と自律神経活動の指標の変動の関連を検討し,簡易脳波計で測定される指標の妥当性を検討した.大学生30名を対象に,複数の課題を実施し,課題実施中の脳波と脈波計により自律神経活動の応答傾向を測定した.その結果,脳波の指標と自律神経活動の応答行動との間に関連を認め,簡易脳波計で得られた総合指標が①課題からの逸脱状態②精神疲労をそれぞれ反映している可能性が示唆された.
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小柳 和喜雄
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
149-152
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/12/09
ジャーナル
フリー
本研究は,中1ギャップ解消と関わる交流活動と戸惑いや不安の軽減に関するどのような取り組みが,児童生徒に肯定的に受け入れられているかを明らかにすることを目的としている.質問紙調査を通じて児童生徒と教員の意識の経年変化を分析し,また各中学校区から毎年出される実践報告書の分析をした.結果として,小中の交流活動は,肯定的に児童生徒に受け入れられているが,小小交流の取り組みについては検討が必要であること,中学校入学前後の戸惑いや不安の軽減に関する取り組みは,6年生から中学校にかけて成果を見せるが,その取り組みについて児童生徒の受けとめ方にはばらつきがあり,さらなる検討が必要であることが明らかになった.
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草野 佑輔, 北村 史, 瀬戸崎 典夫
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
153-156
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究は,選手やボールのトラッキングデータの取得とバーチャル環境での試合の再現を連動させた,一体型の振り返りシステムの開発に向けた予備実験として,選手視点の体験におけるHMD 活用の効果の検討を目的とした.評価の結果,HMD を用いた選手視点の体験により,リアリティをもって他者の動き方などを体感でき,体感した他者の動きと自身の動きとの比較・分析を促すことが示唆された.また,HMD を用いて多数の選手視点を体験させることで,選手の位置関係や周囲の状況を把握でき,多様なプレイの選択肢について検討を促すことが示唆された.
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仲谷 佳恵, 室田 真男
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
157-160
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/12/14
ジャーナル
フリー
本研究では,統語処理に焦点化したスピーキング練習によって変化した発話のチャンクの構造を分析することで,当該練習の効果を詳細に明らかにすることを目的とした.分析の結果,文法的に成立しない不完全な構造で発話が途切れる回数が減り,基礎構造に副詞類が付与されたより長い構造を修正なしに話せる回数が増加したことが明らかとなった.チャンクとして産出が可能な文構造を明らかにすることは,統語処理の流暢さを評価することに繋がり,統語処理能力を向上させるための学習法への一定の示唆になると言える.
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小山 理子, 河井 亨
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
161-164
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,将来の見通しというキャリア意識の違いごとに,アクティブラーニング経験と外化や主体的な学習態度,ラーニング・ブリッジングや学習成果に違いが見られるかを明らかにすることである.大学卒業時に4年生432名を調査対象とし,アクティブラーニングの経験があるとした学生をキャリア意識の違いごとに分析したところ,外化,主体的な学習態度,ラーニング・ブリッジング,学習成果のそれぞれの尺度得点は,将来の見通しがない学生が低く,見通しがある学生が高い結果であった.大学教育の中でも仕事・社会への移行過程においてもキャリア形成支援の必要性が確認された.
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登本 洋子, 高橋 純
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
165-168
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/13
ジャーナル
フリー
初等中等教育の児童生徒に1人1台の学習者用端末(以下,1人1台端末)と通信ネットワークが整備され,今後はICT を活用した児童生徒の学びの質の向上が期待されている.本研究では,ICT 環境の整備と活用に対する教員養成系大学に在籍する学生の期待や懸念を明らかにするために,1人1台端末に対する学生の意識を調査した.結果,1人1台端末はICT スキルの習得や調べ学習に役立つという期待がある一方,ネット上のいじめやインターネット上のトラブルなどに対する不安が低くないことが明らかになった.また,小学校低学年の利用においては,60.6%の学生が「反対」「わからない」と回答していることが確認された.
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高橋 薫, 鈴木 道代, 佐々木 さくら
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
169-172
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/20
ジャーナル
フリー
本実践では創価大学の「学術文章作法Ⅰ」を履修する留学生を対象に,文章診断ソフト「文採」を活用して文章の言語形式へのフィードバックを試み,意見文を自己推敲させた.本研究の目的はフィードバックを手がかりに,学習者が適切に日本語の誤用を自己推敲できるか否かを確認することである.フィードバック前後の意見文を比較したところ,「副詞率」「話し言葉」「助詞の誤り」において,問題箇所の出現頻度が有意に減少した.次に,効果量の大きかった「話し言葉」「助詞の誤り」について修正の適切さを確認したところ,「話し言葉」の約8割,「助詞の誤り」の約7割は適切に修正できていた.しかし,フィードバックの適切性を見ると,「話し言葉」の約9割が適切であったのに対し,「助詞の誤り」へのフィードバックは4割程度に過ぎず,「助詞の誤り」については教師の介入が必要であることがわかった.
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田中 遼, 大橋 里沙, 小嶋 智志, 森本 康彦
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
173-176
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/13
ジャーナル
フリー
新学習指導要領の実施に伴い,学習評価の在り方や学習クラウドの活用が注目されている.各教科の学習評価においては観点別学習状況の評価を行うことが求められているが,教員が学習評価を理解し「指導と評価の計画」を作成して,計画に基づき評価を実施することは容易ではない.また,今後見込まれる学習クラウドを用いた学習評価の実施方法は明らかになっていない.そこで本研究では情報科における学習クラウドを用いた観点別学習状況の評価を支援することを目的に,計画作成にあたり必要となる各事項の関係を抽出し,その関係に基づき計画作成を支援するとともに,作成した計画に基づく学習クラウド上での評価の実施を支援するシステムを開発した.
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木原 俊行, 野中 陽一, 小柳 和喜雄
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
177-180
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/11/11
ジャーナル
フリー
教職大学院の実務家教員(以下,実務家教員)は,教師教育者に位置づくが,その役割は多様である.筆者らは,実務家教員たちが,そうした役割を意識するための機会として,異なる教職大学院の実務家教員間の交流プログラムを開発した.このプログラムでは,2大学の教職大学院の5名の実務家教員に自らの実務家教員としての来し方や現状を報告するシート(報告シート)を準備してもらい,それに基づいた報告と意見交換を繰り返してもらった.プログラム終了後に,参加者に,プログラムの印象等をWeb 上のアンケート(匿名)により回答してもらった.そのコメントから,参加者である実務家教員たちが,「教師教育者としての役割」を追究しようとする姿勢を高めたこと,他大学の実務家教員との交流の意義を実感していることが確認された.
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草本 明子, 高橋 純
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
181-184
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/09/27
ジャーナル
フリー
本研究では,学習意欲および学力に着目し,1人1台の情報端末を活用した学習が,生徒の協働に対する意識に与える影響について明らかにすることを目的とする.中学校物理の授業を対象とし,学習意欲を高意欲群・低意欲群,学力を高学力群・低学力群に分類して分析を行った結果,1人1台の情報端末を活用した学習を通して,高意欲群・低意欲群・高学力群・低学力群すべてにおいて,協働への自信が高まる傾向が見られた.また,協働への自信に対する学習意欲や学力の影響は認められなかった.以上より,学習意欲および学力が低い生徒においても,1人1台の情報端末を活用した学習により,協働への自信が高まる可能性が示唆された.
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姿勢・視線・演奏の主観評価から
山口 恭正, 川田 拓, 長濱 澄, 堀田 龍也
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
185-188
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/20
ジャーナル
フリー
本稿では,吹奏楽等の部活動で用いられる作音楽器の演奏を支援するための,スマートグラスを用いた音程フィードバックシステム(眼鏡型チューナー)の開発と評価を行った.B♭のロングトーンのスケール演奏を既存のチューナーと眼鏡型チューナーとで比較実験を行い,姿勢・視線・演奏の3つの観点から評価した.その結果,演奏姿勢の改善や視線の自由度の向上により,メトロノーム等の視覚情報を視認しながら演奏しやすくなることで,パフォーマンスが向上したことが示された.また,ブラウザ上のシステムであることを利用して,奏者によってフィードバック情報の精度や性質を変えることで,より効果的な演奏支援を提供できる可能性が示唆された.
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川崎市の小学校での教員調査に基づく探索的検討
佐藤 智文, 平野 智紀, 山本 良太, 石橋 純一郎, 山内 祐平
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
189-192
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/09/27
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,GIGA スクール構想による1人1台端末整備直後におけるICT 活用の促進要因を明らかにすることである.川崎市内の小学校教員(N=997)を対象として,教員の年代,GIGAスクール構想推進講師(GSL)担当,ICT 活用歴,GIGA 以前からICT を活用していたこと,ICT活用に対する自信,がGIGA 後のICT 活用に対する認識に及ぼす影響を検討した.分析の結果から,GIGA 後のICT 活用には,「年次の若さ」「GIGA 以前のICT 活用」「自信」が有効であること,ICT 活用歴の長さだけではGIGA 後のICT 活用には寄与しないこと,年代の高い教員においてICT活用への自信を持つことの効果が高いこと,が示唆された.
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尾之上 高哉, 井口 豊
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
193-196
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
ジャーナル
フリー
困難に直面している人に,「皆にその能力があるわけではない」「あなたには別の強みがある」といった言葉かけ(以後,comfort と表記する)を行うと,その領域での相手の動機づけを低下させてしまう可能性がある.先行研究では,「その領域で必要な能力を“固定的”に(つまり,変わりにくいものとして)捉えていると,comfort を行い易くなる」との知見が報告される.本研究の結果は,その知見が,相対的にみた時に,当該の能力が“固定的に捉えられ易い領域”と,“可変的に捉えられ易い領域”の両方で追認されることを示した.先行研究と本研究の結果は,能力の捉え方と言葉かけとの関連に注意を向ける必要性を示している.
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石川 奈保子, 城 綾実, 牧野 遼作, 宗政 由桐
原稿種別: 研究論文
2022 年 46 巻 Suppl. 号 p.
197-200
発行日: 2022/12/20
公開日: 2023/03/28
[早期公開] 公開日: 2022/10/20
ジャーナル
フリー
本研究では,コロナ禍における子ども向け科学館でどのように科学教育を継続していたかを尋ねるインタビュー調査を実施した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)子どもたちに体験を通して知見を広げ,科学に興味を持ってもらうために,触る展示は継続しつつ,同期型・非同期型でのオンライン教育コンテンツの提供を行なった.(2)科学・工作のZoom リアルタイム教室では,対面に近い空気感を作り出すために少人数制とし,参加者をよく観察して声をかけたりジェスチャーを決めたりすることで,「楽しかった」と思ってもらえる教室へと改善していった.
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