森林立地
Online ISSN : 2189-6275
Print ISSN : 0388-8673
ISSN-L : 0388-8673
39 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大類 清和
    原稿種別: 総説
    1997 年 39 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
  • 相澤 州平
    原稿種別: 記録
    1997 年 39 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
  • 山本 進一, 真鍋 徹
    原稿種別: 論文
    1997 年 39 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    水俣JIBP(国際生物学事業計画日本委員会)特別調査地域の常緑広葉樹二次林に1991年の大型で非常に強い台風19号によって形成されたギャップ,および台風前に形成されたギャップと,そこでの樹木置換パターンについて調査した。台風前に形成されたギャップがヘクタールあたり3.3個,その平均面積が31.2m^2であったのに対して,台風によって形成されたギャップはヘクタールあたり6.7個,その平均面積は230m^2と台風前に比べてより多くかつより大きなギャップがこの台風によって形成された。台風前のギャップ形成木は単一の林冠木の枯死であったが,台風は複数の林冠木の同時枯死をひきおこした。台風前の林冠木の枯死状態は立ち枯れが主であったが,台風によって枯死した林冠木の多くが幹折れであった。多くのシイの林冠木が台風による幹折れによって枯死したが,そのギャップ更新木はわずかであった。イスノキとウラジロガシは林冠木として出現しないか,してもわずかであったが,ギャップ更新木として頻繁に出現した。したがって,台風による攪乱はこの林の林冠層におけるシイからウラジロガシとイスノキへの優占への変化を加速させるようである。
  • 水永 博己, 中島 嘉彦
    原稿種別: 論文
    1997 年 39 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    岡山県西粟倉村にある若杉峠のブナ-ホオノキ林分において,その林分の成立過程を明らかにするため,1.2haの調査地を設定し林分構造とホオノキの実生稚樹の生存を調べた。調査地内でホオノキは胸高断面積比及び林冠木構成比で約30%を占めた。ホオノキは約100年前にほぼ一斉に更新したものと考えられ,その更新時期は先駆樹種のミズメの更新時期とほぼ同時期と推察された。調査地内のホオノキとミズメは林冠層で同所的に分布していると考えられ,林冠層に面積250〜2,000m^2の"ホオノキ・ミズメ林冠パッチ"を形成していた。1994年7月中旬にホオノキ実生が少数発芽したが,10月から翌年5月の冬期間に発芽個体の35%以上が枯損し,発芽2年後には全ての実生が枯死した。こうしたホオノキ実生の生存率の低さと発芽数の少なさが調査地内でホオノキの稚樹(胸高直径4cm未満,苗高20cm以上)が見られなかったことに関係していると考えた。これらの結果から,面積250〜2,000m^2規模の撹乱が調査地内に数カ所ほぼ同時に生じ,撹乱後ホオノキとミズメが一斉に出現してパッチが形成されたと考えた。
  • 竹中 千里, 恩田 裕一, 榊原 岳史, 笹間 崇, 酒井 佳美, 只木 良也, 野々田 稔郎
    原稿種別: 論文
    1997 年 39 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    下層植生およびA_0層がないヒノキ人工林において,夏季と冬季に低pHと高pHの人工降雨を林冠上から降らせる大型人工降雨実験をおこない,林内雨,樹幹流,土壌水を採取し,分析することにより,地上部から土壌にかけての酸中和過程を調べた。その結果,樹冠および樹幹表面にはほとんど中和能がなく,土壌にのみ酸中和能力が存在することが明らかとなった。従って酸性降下物による土壌の酸性化は,このようなヒノキ林においては進行が早いことが示唆された。また,高pH・低pH降雨実験いずれにおいても,樹幹流のpHは同程度の値になったこと,およびそのpH変化にともなう陰イオンの変化が認められなかったことから,樹幹表面の有機酸および有機酸の塩の関与が推測されたが,量的な裏付けが今後の課題である。さらに,今回の実験地の土壌における酸中和機構は,イオン交換と酸吸着が主であることが明らかとなった。夏季の土壌における化学成分の挙動については,さらに検討する必要が認められた。
  • 戸田 浩人, 島田 博匡, 生原 喜久雄
    原稿種別: 論文
    1997 年 39 巻 1 号 p. 36-45
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    同一斜面で斜面位置の異なる5ヶ所の森林土壌(斜面下部よりスギ林,スギ・ヒノキ混交林,斜面中部ヒノキ林,上部ヒノキ林,落葉広葉樹林)を用い,斜面位置と土壌の破壊培養が炭素無機化特性に与える影響を調べた。炭素無機化特性は反応速度論によって解析し,3つの特性値(可分解性炭素量(C_0),反応速度定数(k(25℃)),見かけの活性化エネルギー(Ea))として求めた。C_0は表層(0〜10cm)で,斜面下部のスギ林を除き,非破壊が破壊培養より15〜35%大きかった。深さ10〜20cmでC_0は,斜面下部のスギ・ヒノキ林を除き,非破壊が破壊培養より15〜65%大きかった。C_0が破壊培養により小さくなる土壌は,細根の多い土壌とほぼ一致していた。破壊培養は細根等の粗大有機物の除去により,炭素供給量の低下と根圏微生物の減少をもたらし,C_0が小さくなると考えられる。しかし,C_0の斜面位置や深さによる傾向は,非破壊と破壊培養で著しい違いを生じなかった。k(25℃)は,例外はあるものの破壊が非破壊培養より若干大きかった。これは,破壊によって土壌微生物を一時活性化させること,およびCO_2の拡散の容易な環境を作るためと考えられる。破壊培養による細根の除去(炭素源の減少)は,Eaを増大させると推察される。しかしEaは,スギ林を除き,破壊が非破壊培養よりも小さいかほぼ同程度であった。これは,細根等の粗大有機物が,分解に大きなエネルギーを必要とするリグニン等や,有機物の分解を阻害する物質(テルペン類,フェノールなど)を多く含むためと考えた。
  • 荒木 誠, 金子 真司, 清野 嘉之, 池田 武文, 古澤 仁美, 鳥居 厚志, 伊東 宏樹, 高畑 義啓, 玉井 幸治
    原稿種別: 資料
    1997 年 39 巻 1 号 p. 46-58
    発行日: 1997/06/30
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    1995年1月17日未明,阪神・淡路地域を襲った兵庫県南部地震は,神戸市ポートアイランドなど臨海埋立地において地盤液状化を引き起こし,地下水と埋立砂を多量に噴出させた。噴出して堆積した砂(以下「堆砂」という)には高濃度の塩分が含まれているので,緑地の樹木を衰退・枯死させることが懸念される。そこで,ポートアイランド南公園の緑地における堆砂とその直下の土壌を調査・分析するとともに,代表的な6樹種(アキニレ,ヤマモモ,ウバメガシ,ヤブツバキ,マルバシャリンバイ,ハマヒサカキ)の生育状況の調査を行った。その結果,次のことが明らかになった。1)地震後2ヶ月経過した3月14日において,堆砂のEC値は約0.7mS・cm^<-1>,表土の値は約0.3mS・cm^<-1>であった。しかし,平年の2倍以上もの降水(348mm)のあった5月には,堆砂,表土とも0.2mS・cm^<-1>未満となり,塩分濃度の面で植物の生育上問題のない値となった。2)堆砂が厚く堆積しているところでは,降水が堆砂中に保持され,埋没した元の表土への水分供給が阻害された。3)堆砂した樹林地では,ヤマモモ以外の5樹種の当年葉の葉面積が小さい傾向が見られた。4)3月14日〜10月17日における調査対象樹木の枝葉の全炭素濃度,全窒素濃度には,特別な変化は認められなかった5)堆砂に覆われたところでは,林床植物の種数が半減し,開花した種数も少なかった。6)8月の樹木の水ポテンシャルは,-2.0MPa〜-4.5MPa近い値であり,極めて厳しい水ストレスを受けていることが示された。特に,マルバシャリンバイ,ウバメガシ,ヤマモモでは,堆砂に覆われたところの方が,堆砂のなかったところよりも強い水ストレスを受けていた。7)地盤液状化の発生が樹木の休眠期間であったこと,例年に比べ5月に降水量が多く堆砂および埋没表土中の塩分が比較的早期に希釈され流亡したことによって,多くの樹木が激しい衰退や枯死に至らなかった。
feedback
Top