森林立地
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44 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 大貫 靖浩
    原稿種別: 論文
    2002 年 44 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    沖縄本島においては,種々の開発により生産された赤土の流入が珊瑚礁生態系に被害を与えている。丘陵地における農地・宅地造成や,林道の開設が土壌侵食の要因とされているが,森林伐採が土壌侵食に与える影響についてはよくわかっていない。そこで筆者は,皆伐後の土壌侵食量の変化を明らかにするために,沖縄本島の伐採された流域において土砂移動量を測定した。その結果,1)伐採流域における土砂移動量は下層植生が斜面をほとんど被覆したときに急激に減少する。2)土砂移動量は土壌型毎に異なり,表層グライ系赤黄色土で最も多く,次に多いのは黄色土で,赤色土が最も少なかった。
  • 小柳 信宏, 浦川 梨恵子, 生原 喜久雄, 戸田 浩人
    原稿種別: 論文
    2002 年 44 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    スギ・ヒノキ壮齢人工林小流域での降雨の移動に伴う溶存有機態窒素(DON)と溶存有機態炭素(DOC)の動態特性を明らかにするため,降雨,林内雨,樹幹流,A_0層通過水,土壌水,湧水および渓流水に含まれるDON,無機態窒素(DIN)およびDOCを調査した。DONおよびDOCとも降雨<林内雨<A_0層通過水の順に濃度が高まるが,土壌水で著しく低下した。DOCは湧水・渓流水で濃度がさらに低下した。年間のDONフラックスは林内雨で5.5kgha^<-1>,A_0層通過水で11.1kgha^<-1>,渓流水で痕跡程度(0.9kgha^<-1>以下)であった。DOCフラックスはそれぞれ139,185,6.4kgha^<-1>であった。A_0層通過後に全溶存態窒素(DON+DIN)に対するDONの割合が低下し,DINではNH_4-Nが減少し,NO_3-Nが増加した。A_0層通過後のDOCの付加量は林内雨に比べて少なかった。以上のことから,A_0層におけるDONおよびDOCの生成とともに,活発な無機化と硝化による溶存有機物の消費が示唆された。渓流への窒素の年間流出量は13.8kgha^<-1>であり,DONの割合は7%以下と推定された。年間のDOC流出量は欧米の森林流域に比べて少なかった。本調査地で代表されるような日本のスギ・ヒノキ壮齢人工林流域では,渓流への窒素と炭素の流出に対するDONとDOCの寄与は小さいと考えられた。
  • 谷口 雅彦, 安部 征雄, 斉藤 昌宏, 大和田 真弓, 山田 興一
    原稿種別: 論文
    2002 年 44 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    近年,地球温暖化対策としての大規模な乾燥地植林が注目されているが未だ実施例は存在していない。そこで現在,年降水量200mmの西オーストラリア州レオノラ地区において乾燥地植林の方法論の確立とその炭素固定効果が検討されている。大規模植林による効果を検討する上では,現在の植物現存量を把握するとともに植林後のそれとを比較することが必要である。本研究では,西オーストラリア乾操地の天然林における最適な樹木重量推定式を明らかにし,植生タイプごとの植物現存量を推定することを目的とした。複数の樹種で伐倒調査を行い,対象地において特徴的な植生タイプにおける毎木調査および草本の刈り取り調査を行なった。その結果,以下の点が明らかになった。1)伐倒供試木において,どの部位の乾燥重量も[樹冠投影面積]と樹種に関係なく強い相関を示した。これにより調査地域の植物現存量は樹冠投影面積で推定可能であり,リモートセンシングにより対象地の植物現存量を推定することが可能であることが示された。2)ユーカリ林,密なアカシア林,疎なアカシア林の植物現存量はそれぞれ14kg/m^2,6〜7kg/m^2,0.5〜5kg/m^2程度であり,典型的な砂漠の植物現存量よりも大きな値を示していた。これは特殊な立地環境が関係していると考察された。
  • 小山 泰弘, 八木橋 勉, 右田 千春, 田中 信行
    原稿種別: 報告
    2002 年 44 巻 1 号 p. 31-33
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    長野県を中心とした甲信越地域のブナ天然林またはブナを含む天然性二次林26箇所で,上層林冠に到達する6本のブナ樹冠下から各100枚の落葉をランダムに採取し葉面積を測定した。葉面積は,日本海側で大きく,日本海から遠ざかるにつれて小さくなっており,積雪深・降水量・気温などの気候値よりも,日本海からの直線距離と高い相関を有していた。甲信越地域で認められたブナの葉面積変異勾配は,気象条件に支配されて生じたのではなく,日本海側の大きな葉を表現形にもつ遺伝子集団と,太平洋側の小さな葉の遺伝子集団が内陸域で交雑して生じた可能性が示唆された。
  • 萩野 裕章
    原稿種別: 記録
    2002 年 44 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
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