森林立地
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47 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐々木 重行
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    スギ,センダン,ユリノキ,ヤマザクラ,ケヤキの5樹種の幼齢林分で林外雨,林内雨および樹幹流の量と含まれる溶存成分の濃度(Cl^-,NO_3^-,S0_4^<2->,NH_4^-,K^+,Ca^<2+>,Mg^<2+>,Na^+およびpH)を測定した。測定した溶存成分は,である。これらに含まれる成分量から養分収支法により乾性沈着量,溶脱量の推定を行い樹種特性について検討した。乾性沈着量は各樹種とも,アニオン量とカチオン量はほぼ同じであった。スギの乾性沈着量は全成分とも落葉広葉樹4樹種より2〜4倍多かった。これは,スギが常緑であることと葉の構造が立体的であることなどが原因と考えられた。溶脱量は広葉樹4樹種がスギよりも多かった。溶脱量はカチオンが明らかに多かった。特に,ユリノキのMg^<2+>,Ca^<2+>は林地への供給量の80%以上が溶脱によるものであった。また,ケヤキでは林内雨+樹幹流によるCl^-の供給量が多く,これは溶脱によるものと推定された。また,広葉樹では林外雨による供給量以上に溶脱している成分があった。
  • 長谷川 幹夫
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 9-20
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    スギ植栽による人工更新および天然下種更新での除草剤散布の有無という3種類の異なる処理区間及び処理前の林床植生を比較することで更新作業の違いが森林の種組成と樹木の更新密度に及ぼす影響を明らかにした。調査区は約65年生のスギと広葉樹が混交した林分を皆伐し,地拵えを行った場所で1984年に設け,8年生と13年生時に調査を行った。植物種多様度(d,H')が高いのは,人工更新地であり,大高木の更新密度が高いのは除草剤散布地と人工更新地であった。種多様度と更新密度を高める要因としては,皆伐後の光環境の改善,材の搬出作業や地拵え・植栽作業による地表撹乱とササなどの抑制が考えられた。一方,チシマザサの強度の優占や除草剤散布による草本類の枯死は,種多様度を低くする要因であった。8年生から13年生までの変化をみると,上層木が成長し,いくつかの先駆種が消滅して森林の階層化が進んだ。除草剤散布部分では草本の回復は,まだ認められなかった。人工更新地での作業(植栽と下刈り)は,ササを極端に優占させたり,草本植物を枯死させたりすることなしに,高い更新密度を得るという特徴があった。
  • 市川 貴大, 岡部 紀宏, 高橋 輝昌, 浅野 義人
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    樹種の違いが土壌の微生物の量および活性に及ぼす影響を,斜面位置(上部,中部,下部)ごとに明らかにした。調査地には,同一斜面上に尾根から沢すじまで,ヒノキとスギが隣接して植栽されている。ヒノキ林の土壌深O-10cmにおける糸状菌数,放線菌数,微生物バイオマス炭素量,微生物活性は,斜面位置にかかわらずスギ林に比べて1.1〜3.9倍であった。斜面下部のヒノキ林の土壌深O-10cmにおける一般細菌数は,スギ林に比べて約2.6倍であった。リターの滞留時間(A_O層量/年間リターフォール量)は土壌深O-10cmにおける細菌数と有意な負の相関関係にあり,斜面下部のヒノキ林で特に短かった。特に斜面下部のヒノキ林では糸状菌だけでなく,一般細菌によっても,リターの分解が促進されていると推察された。
  • 杉本 真由美, 川崎 圭造
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    カラマツ人工林化による土壌の化学性の変化を隣接する広葉樹林土壌と比較した。 A_0層の元素含有量の多少は,カラマツ林と広葉樹林で一定の傾向は認められなかった。カラマツ落葉の分解率(k)は0.19,広葉樹葉の分解率は0.29であり,カラマツ林では広葉樹林に比べて堆積有機物の分解に伴う鉱質土層への元素還元速度が遅いことが示された。鉱質土壌表層(O〜5cm)の全P,全Cおよび全N濃度は,A_0層の元素含有量や濃度に関係なく,カラマツ林の方が広葉樹林に比べて低く,それぞれ0.73倍,0.66倍および0.64倍であった。鉱質土層の交換性Mg,交換性Kおよび交換性Na濃度も同様に,カラマツ林の方が広葉樹林よりも低く,それぞれ0.36倍,0.34倍および0.28倍であった。カラマツ人工林化によって,堆積有機物の分解に伴う鉱質土壌への元素還元量が減少することにより,鉱質土壌表層の全P,C,N,交換性Mg,KおよびNa濃度は減少すると考えられた。しかし,交換性Ca濃度は,他の塩基類とは異なり,鉱質土壌表層では両林に差がなく,下層ではカラマツ林の方が広葉樹林に比べて高く,1.9倍であった。鉱質土壌中のN0_3-N濃度は,カラマツ林の方が広葉樹林に比べて高く,1.4〜2.4倍であった。カラマツ人工林化にともなう土壌中へのN0_3-Nの集積は交換性塩基類の流亡を促す可能性が考えられた。
  • 菅原 未知登, 林田 光祐, 田中 憲蔵, 二宮 生夫
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    松枯れ後に成立した広葉樹二次林に生育する落葉亜高木種6種,落葉低木種3種,常緑低木種2種を伐採し,1年目に発生する萌芽枝の特性として,1)萌芽枝発生の有無,2)発生時期,3)萌芽枝発生量と親株直径の関係,4)生活形や樹種間での萌芽枝特性の違いを調べた。全樹種,伐採木は萌芽枝を発生し,非伐採木からは発生しなかった。発生時期は,9割以上の株で6月中旬以前であった。発生した萌芽枝の総乾燥重量と親株の地際直径の間には多くの樹種で有意な正の相関が認められた。しかし,ウリハダカエデに有意な相関は認められなかった。これは,パイオニア的性質を持つことで,地下部の蓄積資源量が相対的に少ないためと考えられた。萌芽枝の総乾燥重量に対する萌芽枝特性(本数,伸長量,直径および枝葉比)の関係から,萌芽枝特性は生活形および樹種で多様なことが分かった。以上の結果から,広葉樹二次林に生育する低木・亜高木種は伐採後に多く萌芽し,多くの樹種は萌芽枝の総乾燥重量と親株の地際直径に有意な正の相関が認められたことから,伐採前に発生する萌芽枝の量を予測でき,整備の際にそれらの情報を利用できることが示唆された。
  • 荒木 誠, 加藤 正樹, 小林 繁男, 有光 一登
    原稿種別: 論文
    2005 年 47 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
    ヒノキ林の間伐時に林地に放置された枝条による地表状態の違いが土壌の水分状態に与える影響を明らかにするため,茨城県の筑波山の北東に位置する燕山山麓緩斜面において,表層土壌の孔隙組成および土壌水分状態の変動を観測した。間伐によって残された枝条が地表を被覆する箇所(枝条放置区)と被覆のない箇所(対照区)において調査を行い,以下の点が明らかとなった。1)調査区内の土壌は,5cm深,10cm深,30cm深いずれも固相率が20%にも満たず,孔隙率が80%を超えており,火山灰を母材とする黒色土の一般的な特徴を示していた。2)全孔隙率については,5cm深〜30cm深まで深さ別の大きな違いはなかった。また,枝条放置区と対照区の違いは認められなかった。3)枝条放置区と対照区の土壌水分状態には違いが見られ,無降雨期間で比較すると5cm深は対照区が枝条放置区より乾燥する傾向が見られた。一方,30cm深では枝条放置区が対照区より乾燥する傾向が見られた。10cm深では枝条放置区と対照区の違いはあまり明瞭でなかった。4)地表面下5cm深の土壌温度は枝条放置区では対照区に比べ,冬季に1〜2℃高く,夏季には逆に1〜2℃低く,放置された枝条が温度変化を緩和した。5)放置された枝条が土壌水分状態に与える影響は,地表面直上での降雨遮断による土壌への雨水供給量の減少と地表面蒸発量の抑制によるものと考えられる。6)枝条の降雨遮断効果は最表層より下層の乾燥,水分率の低下をもたらす。一方,枝条による蒸発抑制効果は,土壌温度の上昇の抑制などにより地表面からの蒸発を減らし,最表層の水分減少を抑制したと考察された。
  • 野口 享太郎
    原稿種別: 記録
    2005 年 47 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル フリー
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