森林立地
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59 巻, 1 号
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論文
  • 北川 陽一郎, 松山 周平, 太田 健一, 岡部 芳彦, 勝山 智憲, 岸本 泰典, 佐藤 修一, 柴田 泰征, 中川 智之, 西岡 裕平, ...
    原稿種別: 論文
    2017 年 59 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/08/24
    ジャーナル フリー

    エゾシカの時空間的な行動特性はエゾシカの管理において重要な情報であり,自然植生の多い地域で調べられているが,牧草地など人間が利用する土地の多い地域での知見は多くない。本研究は,エゾシカの日周活動および空間分布の季節変化を明らかにすることを目的として,2010年から2014年に北海道東部の牧草地と隣接する森林においてカメラトラップ,ライトセンサス,目撃調査を行った。エゾシカの日周活動は日没・日の出の時間帯にピークが認められ,日中の活動性は春季に比べて秋季が低かった。日中の空間分布は,春季と夏季では牧草地に接する林縁で密度が高く,夏季よりも春季で特に高かった。これは,夏季にはエゾシカの利用場所が分散していることを示しているのかもしれない。日没後の空間分布は,春季と秋季に牧草地に接する林縁で密度が高かった。また,エゾシカは自動車の通行などの人間活動を避けるために,交通量の少ない道路が通る牧草地に接する研究林東側の林縁を選択的に利用していると推測された。

  • 内村(田代) 慶彦, 水永 博己
    原稿種別: 論文
    2017 年 59 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/08/24
    ジャーナル フリー

    切り捨て間伐は,空中リターを発生させるが,それらは地表リターと比べて分解速度が遅いことが知られている。したがって,発生したリターの垂直位置ごとの量は間伐林分の物質循環を理解するうえで重要である。空中及び地表リターの分解過程及び空中リターの地表への落下はリターの残存量や垂直分布の動態を決定するが,それらは気象要因に影響されると考える。そこで,本研究では,気象要因が空中リターの落下とリターの分解に及ぼす影響をベイズモデルによって明らかにし,それらを関連付けてリターの残存量の変動を推定した。スギ針葉リターについて,間伐後42ヶ月にわたり空中リターの落下と空中と地表におけるリターの分解速度を測定した。測定結果に基づいて構築したベイズモデルから,分解速度に対しては気温が,空中リターの落下速度に対しては降水量が時間変動の決定要因であり,各要因はそれぞれの速度に正に作用することを指摘した。落下速度と分解速度を関連付けたリター残存量の動態モデルから,空中リターの落下が42ヶ月間のリターの残存量に与える影響はわずかであるが,垂直分布には大きく影響すること,気温や降水量等の気象要因は42ヶ月間のリターの残存量と垂直分布の動態の両方に大きく影響することを明らかにした。これらの結果は,本研究で提示したモデルが,温帯林の切り捨て間伐林分における物質循環の理解に寄与する有効なツールになることを示している。

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