森林立地
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論文
  • ―仙台平野の海岸防災林を対象として―
    梶原 拓人, 川東 正幸
    原稿種別: 論文
    2024 年 66 巻 2 号 p. 51-60
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり

    東日本大震災の津波被害を受け,仙台平野の沿岸部では海岸林の津波軽減機能強化を目指して主要植栽木となるクロマツの根系発達の促進を目的とした植栽基盤の盛土造成が行われた。だが,実際に植栽されたクロマツには生育不良が生じている。本研究では宮城県名取市の海岸林再生現場における2014年度植栽エリアに3つの方形区(№2,№4-1,№4-2)を設置し,毎木調査と多地点土壌観測を行い,その結果をもとに植栽基盤の生育環境評価を行った。毎木調査の結果,3つの方形区は同一植栽年度であるにも関わらずクロマツの生育状況に大きな差がみられた。また,多地点土壌観測の結果,異なる方形区の間には土壌物理性・化学性において顕著な相違が認められ,生育が不良であった№4-1,№4-2では貫入抵抗値2,500 kpa以上の固結層の形成,含水率45%以上におよぶ土壌水分,pH3.5未満の土壌反応,電気伝導度(EC)1 mS/cm以上など,植栽されたクロマツの生育には不適当と考えられる環境であることがわかった。さらに,各土壌特性値が数m単位で大きく変化したことから,調査地における植栽基盤の土壌環境は極めて不均一である可能性が推察された。クロマツの生育指標を目的変数として重回帰分析を行った結果,全ての方形区において有意な重回帰式を得ることができたため,採用した分析項目は植栽したクロマツの生育に影響を持つと考えられた。しかし,クロマツの生育阻害因子を定量的に表現することはできなかった。

短報
  • 丹下 健, 藤井 栄
    原稿種別: 短報
    2024 年 66 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2024/12/25
    公開日: 2024/12/27
    ジャーナル 認証あり

    1年生スギコンテナ苗を,9月上旬に植栽した場合(秋植栽)と,翌年4月上旬まで育苗を継続した後に植栽した場合(春植栽)とで成長を比較した。秋植栽の供試苗の形状比は,9月上旬の113 ± 21 cm cm-1から翌年4月上旬に67 ± 12 cm cm-1に低下した。春植栽の供試苗に比べて秋植栽の供試苗は,4月から旺盛な伸長成長を示し,秋植栽の供試苗の年伸長成長量56.1 ± 32.5 cmは,春植栽の供試苗の20.3 ± 13.2 cmより有意に大きかった。供試苗の年伸長成長量は,植栽試験地内の植栽位置によって大きく異なったが,植栽位置によらず春植栽に比べて秋植栽の供試苗の年伸長成長量が大きい傾向にあった。形状比の大きいスギコンテナ苗を成長停止前の初秋に植栽することで,翌春から旺盛な伸長成長を期待できる可能性を示すことができた。

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