森林利用学会誌
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12 巻, 2 号
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論文
  • 井上 源基, 岡 勝
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    対象面域は5ha,約80グリット(1グリット25m×25m)とし,120対象面域について検討した。地形傾斜指数Fの計算・算出法はすでに原理が述べられているが,ここでは,簡便法・迅速法によった。まず,対数正規分布の解析による方法では,対数正規確率紙上に地形傾斜分布曲線をプロットし,緩・急傾斜の区分線S_1,S_2上の累加頻度を読みとることにより,Fを求めた。また,傾斜の対数値をlogS_1とlogS_2間で直線式に近似させ,各傾斜区分線上の傾斜分布曲線の値F_1,F_2の算定式を与えることにより,Fを得た。さらに,直線式に近似させる方法から実測値と残差平方和が最小となるような(最小二乗法)Fの一般式を求めた。Fの一般式は傾斜logX_iの標準偏差σ_mによって決まり,ロジステック曲線に適合することがわかった。この方法はきわめて簡便であり,実用上十分な精度が得られた。120か所の対象面域に対して実際の傾斜分布と算定されたプロフィールを比較すると,標準誤差は2.583%であり適合度はきわめて良好であり,ここで得たモデルは地形傾斜評価の一方法として妥当であることが示された。
  • 有賀 一広, 岩岡 正博, 酒井 秀夫, 小林 洋司
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    半脚式機械の作業直後の歩行跡の穴の大きさは,幅50cm,長さ60cm,深さ30cm程度で,平坦な作業道上では約3mごとに生じていた。穴の土壌支持力は未歩行地とほぼ等しかった。したがって,歩行時に脚によって表層土が削り取られたが,締め固めはほとんどなかった。1年経過後は,穴の深さが約10cm浅くなり,穴が原因となる路体崩壊も生じていなかった。土壌支持力も変化はなかった。履帯式車両の轍深さは5cmから10cm程度であったが,スキッダによって掘削された地点では最大43cmになっており,4年経過後も顕著な減少は見られなかった。ハーベスタ走行跡地の土壌支持力は,4年経過後には未走行地と変わらないまでに回復しており,未走行地に対する走行跡地の乾燥単位体積重量も徐々に減少していることが確認できた。しかし,有機物含有量に変化はなく,未走行地よりも低い値のままであった。
  • 山田 健, 佐々木 尚三, 小林 洋司, 及川 良一郎
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林野庁の機械開発事業により,急斜不整地に対応するための育林作業用車両を開発した。本機は静油圧駆動,4輪三角クローラ,アーティキュレイト式操舵,段軸可変輪距機構,チルト機構を持つキャビン・ブーム一体型旋回台,オペレータが車両の姿勢を正確に把握するための車体姿勢表示装置などの特徴を有している。森林総研構内および国有林内伐趾地において走行試験を行った結果,優れた走行性能が明らかになると同時に,a.操舵時に車体屈折外側に転倒しやすい,b.三角クローラが急斜不整地で取付け軸を中心に回転しやすい,c.不整地でスリップしやすい,という問題点が見いだされた。それらに対し,a.操舵時に屈折外側ヘブーム操作しないよう注記する。b.クローラとスイングアームの間にチェーンによるストッパを取付ける。c.走行系油圧回路に分流弁を設けて差動機能を制限する,という対策を立てた。
  • 澤口 勇雄, 清水 俊二, 大川畑 修, 豊川 勝生, 市原 垣一
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 99-110
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    国際協力事業団は,半島マレイシアで「マレイシア国複層林施業技術現地実証調査」を行っている。本研究は,上層木のAcacia mangiumの伐出技術を確立するために,実験的に行った上層木伐出の結果を分析したものである。下層木の被害を少なくするため,バックホーを利用した伐倒と農業用トラクタ集材の伐出システムが採用された。労働生産性は伐採列数で異なり(2.24〜3.86m^3/人・日),伐採列数の違いが労働生産性に影響を及ぼしていた。下層木の有無が労働生産性に及ぼす影響は,小さいと推定された。全体的な伐出コストは,伐倒・造材12US$/m^3,集材7US$/m^3,運材28US$/m^3であった。下層木の被害は,1列交互方式の施業法を除いて小さいとされているので,本伐出システムは技術的に可能で,現実的といえる。複層林における適正林道密度は,26.5m/haと試算された。しかしながら,熱帯林地域で持続可能な林業経営を実行するために必要な林道網は,林道の維持管理費の多寡に依存しているため,その費用の吟味が必要である。
  • 李 成基, 峰松 浩彦
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 111-120
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    林道路面から流出する浮遊砂を実験的に解析し,その特性を検討した。現在,浮遊砂の流出モデル式は浮遊砂量が流量の2乗に比例する経験式として解析に用いられているが,実測値との適合性から成立しない。ここでは過去のデータを用いて整理し,かつ浮遊砂流出量と流量の関係を実験的に検討した。その結果,流出の仕方は浮遊砂流出量と流量との関係であらわすと同じ流量でも浮遊砂の増加過程,減少過程で異なり,回帰すると単純な1次に近い比例関係となることを示した。さらに流出浮遊砂量は路面に残存する細粒土量に比例して流出することを示した。そこで,浮遊砂の流出速さは路面に残存する浮遊砂量に比例すると考え,その流出特性を実験的に検討した。流出速さは降雨強度と縦断勾配に影響を受け,降雨強度に対しては単純に比例し,縦断勾配に対しては2乗の形で増加することがわかった。
  • 山田 容三, 湊 克之, 青井 俊樹
    原稿種別: 本文
    1997 年 12 巻 2 号 p. 121-130
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    勾配20度の歩道において,3種類の負荷を携行した3人の被験者による登り降りの歩行実験を行い,歩行動作の3次元動作分析を行い,矢状面における多重リンクモデルの2次元バイオメカニカル・モデルを用いて,歩行中の膝にかかる反力の鉛直成分とモーメントを検討した。その結果,登り歩行は遊脚期間中ほぼ体重相当の膝反力が支持脚にかかり,そのモーメントは降り歩行の場合よりも大きなものであった。また,降り歩行は遊脚開始時に体重より大きな膝反力が瞬間的に支持脚にかかり,その最大値は下刈り鎌携行の場合で体重の約1〜1.2倍,チェーンソー携行の場合で体重の約1.2〜1.3倍であった。
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