森林利用学会誌
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15 巻, 3 号
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論文
  • 井上 源基, 吉田 智佳史, 陣川 雅樹, 山口 浩和
    原稿種別: 本文
    2000 年 15 巻 3 号 p. 185-196
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    集材作業の成否を決定する重要な因子として,集材路網の配置や路網形態がある。本論文は森林空間における人や車あるいは木材の移動現象を計量化するために,新たな幾何学的モデルを提案し,移動経路の長さやその線形パターンと領域内の流動に関して積分幾何学などを適用して理論化を試みた。本報では,擬河道網のようなツリー構造の集材路網を対象とし,推計学立場から支路線の位相構造について検討し,ノードとリンクから構成される分岐ネットワークの生成過程や分岐特性を明らかにした。また,対象域内に導入された分岐構造の集材路網の配置指標について検討を行った。その結果,集材路網の分岐点の発生頻度は,ツリー構造の先端点数を含むベキ乗式で近似でき,下端の基点から各集積点(先端点と分岐点)までのリンク比(t_j)と累加集積点数(g(t_j))の関係は,河道網における流路長とその地点までの集水面積の関係で表現でき,そのべキ乗値αが約0.5〜0.6であることを明らかにした。また,対象域内に導入されたツリー構造の集材路網に対して対象域内の各点から集材路までの到達距離は,同一路網形態でも全対象域に対する集材路網の各先端点を境界とする凸域の面積比(k)によって変化し,一般的な樹枝型路網の配置係数(f値)はk≒0.7で極小となり,f値は約1.57であることを明らかにした。
  • 毛綱 昌弘, 山口 浩和
    原稿種別: 本文
    2000 年 15 巻 3 号 p. 197-204
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    集材作業の作業能率および安全性の向上を目的として,自律走行による無人運材車を開発した。開発した無人運材車は,方位角および走行距離の検出を行う内界センサによって自己位置認識を行いながら,あらかじめ入力されている予定走行経路と自己の位置とを比較することで,自律走行を行っている。使用している内界センサには,方位角検出用として,光ファイバジャイロを用いているが,ドリフトの影響を除くために磁気方位センサを併用している。また,走行距離はクローラの回転速度を積分することによって計測しているが,スリップの影響により,長い距離を計測するときには誤差は大きくなる。このため,内界センサのみを用いた自律走行では,走行距離を大きくすることは困難となる。そのため,外界センサによって制御誤差を補正する方法を採用した。外界センサは,永久磁石と磁気検出器で構成されている。永久磁石を作業路にあらかじめ埋設する手間は必要となるが,離散的に埋設された永久磁石を車載の磁気検出器によって検知し,その結果から必要な情報をフィードバックすることにより,自律走行を持続することが可能となった。
  • 清水 大爾, 近藤 稔, 北川 勝弘, 森岡 昇
    原稿種別: 本文
    2000 年 15 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    1994年から1998年までの5年間に,車両系高性能林業機械により実施された間・択伐作業の事例を,文献に基づいて抽出し,間・択伐作業の伐出作業と生産条件(林地傾斜,立木密度および集材距離)の関係について分析した。車両系高性能林業機械を用いた間・択伐作業は,林地傾斜が20°以内の場所で行われていた。伐木工程については,立木密度の違いによって間伐方法(列状・定性・択伐)(以下,便宜上,択伐を間伐に含めることにする。)に相違がみられた。また,集材および造材工程については,立木密度と集材距離の違いに対応して,適用される集材方法(牽引,積載,荷役の各方式)と造材場所(立木位置と土場)に明白な相違が表れた。これらの分析結果から,立木密度,集材距離別に,適切な作業システムを検討した。適切であると分類された事例の生産性は,傾斜による影響を受けて,10°以下では10〜17m^3人^<-1>日^<-1>,10°以上では6〜10m^3人^<-1>日^<-1>であった。一方,これに含まれない事例の生産性は2〜6m^3人^1日^1にとどまった。以上の結果から,生産条件に応じて適切な作業システムを選択することの重要性が示された。
  • 田坂 聡明, 熊倉 由典, 峰松 浩彦, スィパラム ダムロン
    原稿種別: 本文
    2000 年 15 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 2000/12/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,ニューラルネットワークを用いたタワーヤーダの適正架線位置決定法を開発し,大型タワーヤーダで実施された皆伐作業への適用を試みた。また,実作業の調査結果をもとに,架線長,架線数の変化による作業功程,作業経費の変動を推定した。その結果,ニューラルネットワークによる配置法では木寄距離,集材距離の減少による生産性の改善が認められた。さらに,タワーヤーダ架線の架設数を変化させて適正な架線配置を求めた結果,林道付近の大面積皆伐に大型機種を用いた場合も,架線長100〜150mの小区画に分割した作業方法が最も効率的であることが明らかにされた。また,生産量の増大や適応範囲の拡大をねらったタワーヤーダの大型化は,コスト,作業功程の面で逆効果であり,従来型架線集材を大型タワーヤーダで置き換えた集材システムは,路網密度の低い作業地などで過渡的な作業システムとして利用されるべきであると判断された。
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