1994年から1998年までの5年間に,車両系高性能林業機械により実施された間・択伐作業の事例を,文献に基づいて抽出し,間・択伐作業の伐出作業と生産条件(林地傾斜,立木密度および集材距離)の関係について分析した。車両系高性能林業機械を用いた間・択伐作業は,林地傾斜が20°以内の場所で行われていた。伐木工程については,立木密度の違いによって間伐方法(列状・定性・択伐)(以下,便宜上,択伐を間伐に含めることにする。)に相違がみられた。また,集材および造材工程については,立木密度と集材距離の違いに対応して,適用される集材方法(牽引,積載,荷役の各方式)と造材場所(立木位置と土場)に明白な相違が表れた。これらの分析結果から,立木密度,集材距離別に,適切な作業システムを検討した。適切であると分類された事例の生産性は,傾斜による影響を受けて,10°以下では10〜17m^3人^<-1>日^<-1>,10°以上では6〜10m^3人^<-1>日^<-1>であった。一方,これに含まれない事例の生産性は2〜6m^3人^1日^1にとどまった。以上の結果から,生産条件に応じて適切な作業システムを選択することの重要性が示された。
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