森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
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24 巻, 1 号
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論文
  • 近藤 道治, 今井 信, 宮崎 隆幸, 岡 勝, 佐々木 達也
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2009/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    複層林の上木間伐にともなう下木損傷を軽減する作業方法を検討するため,カラマツ-ヒノキ点状複層林で調査を実施した。伐倒作業にともなう下木損傷率を伐倒方向で比較したところ,谷側伐倒区域の下木損傷は23.2%であったの対し,山側伐倒区域は10.4%と下木損傷率は半減した。しかし,伐倒前に樹冠長の40%程度の枝打ちを行ったことによる下木損傷軽減効果を,同じ伐倒方向で枝打ちを実施しなかった場合と比較したところ,効果は明確ではなかった。また,伐倒した上木の樹冠内に入った下木を対象に損傷率(樹冠内損傷率)を調査したところ,山側伐倒と谷側伐倒の間に有意差が認められたが,同じ伐倒方向で枝打ちを実施した場合と実施しなかった場合では有意差は認められなかった。樹冠内損傷率は上木が地面に到達するまでの回転角度と関係があり,傾斜30度の斜面で伐倒作業を行った場合,谷側伐倒では樹冠内下木の49.0%に損傷が発生するが,山側伐倒では8.8%に軽減できると予想できた。今回の調査結果から山側伐倒は谷側伐倒と比較して下木損傷を軽減できる作業方法と認められたが,樹冠長の40%程度の枝打ち作業は下木損傷を軽減する作業方法とはいえなかった。
  • 上村 巧, 岡安 崇史, 鹿島 潤, 佐々木 達也, 岡 勝, 加利屋 義広, 井上 英二
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2009/04/15
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    経験則に基づく立木の伐倒方法を科学的に評価するため,ツル周辺の内部応力について追口高さが与える影響を調べた。まず,伐倒過程の観察により倒伏初期の段階で追口端に裂けが生じることを確認した。また,追口高さと裂けが生じる方向の関係を調べた。次に,裂けが生じるまでの内部応力について有限要素解析を行った。立木モデルは等方性材料とみなし,荷重条件は高さ1mの部分の水平変位量が3cmとなるまでとした。解析の結果,追口端の2つの角のいずれかに大きな応力が発生し,変位が大きくなるとその角が裂けの起点になると予想された。裂けの生じる方向は追口の高さに影響を受けていた。すなわち追口高さが受口会合線より低い場合には上方向に,高い場合には下方向に最初の裂けが発生する可能性が高い。上方向の裂けは丸太の商品価値を損なうだけでなく,伐倒手に危険を及ぼす可能性もあるため避けるべきである。さらに,受口の会合線形状を実際の状態に近づけた解析では,追口が受口会合線と同じ高さでも上方向に裂けが生じる可能性が示された。以上のことから,上方向に裂けを生じさせないためには追口高さは受口会合線よりやや高くするべきであり,内部応力の解析結果と裂け方向の観察結果とを合わせ,国内の指導方法の合理性を確認することができた。
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