森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
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25 巻, 1 号
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特集巻頭言
論文
  • 杉本 和也, 新永 智士, 長谷川 尚史
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 1 号 p. 5-14
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    システムダイナミクスを用いて連携作業のモデル化を行い,作業時間,作業コスト,生産性について,連携作業を行わない場合(以下,分離作業と呼ぶ)との比較を行った。兵庫県内の素材生産事業体の間伐作業を対象に,チェンソー伐倒,ロングリーチグラップルによる木寄せ,グラップルによる集材,プロセッサ造材の4工程に対して時間観測調査を行い,得られたサイクルタイムを元にモデル化を行った。シミュレーションの結果,連携作業は分離作業と比較して,作業時間が約6割減少したが,作業コストは約4割上昇した。連携作業では伐倒以下の工程の稼働率が低下したことが作業コストの上昇につながっていた。また連携作業における伐倒工程のサイクルタイムに約2倍の標準偏差を与えてシミュレーションを行ったところ,サイクルタイムを一定とした場合と比較して,作業時間が9%増加した。この結果から,作業手順が定まっていない場合や,定性間伐などかかり木が発生しやすい場合など,サイクルタイムに大きなばらつきがある場合には,分離作業が有効であることが示唆された。
  • 中澤 昌彦, 今冨 裕樹, 岡 勝, 田中 良明, 吉田 智佳史, 上村 巧, 山口 浩和, 近藤 耕次, 高橋 雅弘, 藤井 義人
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    伐倒木を路端まで引き寄せる木寄工程にロングリーチグラップルを用いた間伐作業システムを開発することを目的に,本報では間伐方法,木寄方向,地形条件,路網条件の違いが木寄生産性に与える影響を明らかにした。労働生産性は,列状間伐,下荷,傾斜23度,立木時位置に対する最大木寄距離33m,幅員3.5m,単木材積0.32m^3/本の作業条件において最も高く9.0m^3/人時であり,同様の条件下の点状間伐における5.9m^3/人時に比べ約1.5倍となった。また,アームの先に搭載したウィンチを併用すると,最大木寄距離が約2倍の70m近くまで拡大し,生産性は7.7m^3/人時と約1割の低下に抑えられた。木寄方向の違いでは,上荷より下荷の方が約1.6倍と生産性が高く,最大木寄距離も6m以上長くなった。路網条件の違いでは,幅員3.0mよりも3.5mの路上の方が約1.6倍と生産性が高くなった。一方,地形条件の違いが生産性に与える影響は小さかった。この機械には,作業基盤としてこの車体重量を支える路体構造が求められるものの,点状間伐と列状間伐ともに,非常に高い生産性が得られる機械であることが明らかとなった。
速報
研究・技術資料
論文
  • ポーイェ アントン, ポトチニク イゴル, 酒井 秀夫
    原稿種別: 本文
    2010 年 25 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2010/01/31
    公開日: 2017/04/03
    ジャーナル オープンアクセス
    ブナの伐採が,その複雑で非対称性な樹冠特性,枝の配置,長さ,厚み,幹の曲がりからしてトウヒやモミに比べて危険度が高いという仮説を検証した。スロベニア国有林で1999〜2005年に発生した払い下げ作業員の事故を分析した。999件の事故のうち,528件が伐採中であり,そのうち475件がブナ,トウヒ,モミの伐採中である。伐採材積または本数に対する事故発生割合から,ブナ伐採がトウヒやモミに比べてどの程度事故の危険性が高いかを示した.I_kは伐採材積を,I_dは伐採本数を指標としたとき,ブナ伐採時はトウヒ,モミに比べて,I_dは1.1倍,I_kは1.5倍高い。くさび打ちのI_d,I_kはそれぞれ1.3,1.9倍,追い口切りは1.6,2.3倍,造材・玉切りは2.0,2.9倍と高い。かかり木除去,枝払いのI_kはそれぞれ1.4倍,1.2倍でありI_dは1.0倍,0.8倍である。概してI_kはI_dよりも高い。以上の結果は,今後広葉樹伐採の研修,作業準備などの事前の安全性確保,作業管理,作業組織,安全作業評価にとって活かすことができる。
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