森林利用学会誌
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34 巻 , 4 号
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論文
  • 中澤 昌彦, 𠮷田 智佳史, 佐々木 達也, 上村 巧, 瀧 誠志郎, 伊藤 崇之, 大矢 信次郎, 赤松 玄人
    2019 年 34 巻 4 号 34.187
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル 認証あり

    広葉樹バイオマスの低コスト供給システムを開発することを目的に,広葉樹林分において帯状と点状の間伐作業の現地調査を実施した。適用した作業システムは,チェーンソーによる伐木,タワーヤーダによるジグザグ滑車を用いたハイリード式集材,グラップルとチェーンソーによる造材(はい積みを含む)である。作業内容の時間分析を行った結果,伐木工程の生産性は,1 人作業で帯状4.7 m3 /時,点状2.6 m3 /時であった。集材工程の生産性は,3 人作業で帯状では2.2 m3 /時,点状では1.5 m3 /時,索の張替作業に要した時間は,帯状では1 線で7.6 人時,点状では2 線で8.2 人時であった。造材工程の生産性は,1 人作業で帯状では3.2 m3 /時,点状では1.7 m3 /時であった。以上から,索の張替作業を含む作業システム全体の労働生産性は,帯状では2.9 m3 /人日,点状では1.5 m3 /人日となった。伐出コストは,帯状では11,355円/m3 ,点状では22,920 円/m3 となり,工場等への運搬費を含めると,帯状では13,955 円/m3 ,点状では25,520 円/m3 となった。また,集材作業を2 人で実施できた場合,帯状間伐の労働生産性および伐出コストが約3 割改善すると試算された。

  • 吉村 哲彦, 鈴木 保志
    2019 年 34 巻 4 号 34.197
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル 認証あり

    GNSS(全地球衛星航法システム)は衛星を用いたナビゲーションシステムであり,地球上のどこででも地理的な位置を決定するために広く利用されている。林業分野においても,GNSS は資源管理, 木材生産, 木材流通の効率を高めるための重要な技術である。しかし,GNSS 信号を遮断したり劣化したりする樹冠下におけるGNSS 測位による大きな位置誤差は,GPS が1990 年代に林業界に導入されて以降今日まで大きな課題の一つとなっている。加えて,後処理ディファレンシャル補正機能のあるGNSS レシーバは日本の小規模森林所有者にとってかなり高価である。日本における半分以上の森林所有者界は未決定のままであり,日本林業の大規模経営化や共同作業の実現が今なお困難となっている一因は、これらの事実によるものである。そこで本研究では,低コストGNSS レシーバを用いて後処理ディファレンシャル補正を行わずに地理的な位置を決定する新たな方法を提案し,それをフィールド試験によって検証した。この方法では,樹冠下で5台のGNSS レシーバを十時型配置にして5時間の測位を行い,それらの位置データを5 秒に1 回記録して平均化した。そして、5時間のGNSS 測位データから300 個の1分間測位データを抽出した。その結果,1分間の十字型配置のGNSS 測位では,従来型の単点における平均化よりも精密度と正確度において誤差が小さいことがわかった。さらに,マルチ衛星測位も精密度と正確度の両方において位置誤差の低減に貢献していた。本研究は樹冠下において従来よりも小さい誤差,低コスト,短時間でGNSS 測位を行う可能性を示したが,十字型配置でGNSS測位を行う設備の可搬性および設置性を向上することがなお必要である。

  • 竹嶋 一紗, 鈴木 保志, 山﨑 敏彦
    2019 年 34 巻 4 号 34.205
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル 認証あり

    間伐作業時において残存木に発生する損傷について,どの程度の外傷がある年数を経過した後にどの程度回復あるいは進行しているかを把握することを目的として,高知県香美市のスギ・ヒノキ人工林調査地におけるタワーヤーダによる間伐伐出作業直後に損傷の発生状況を記録し,6年後にその経過を追跡調査した。調査プロット内の残存木322本のうち45本に,合計130個の損傷が発生していた。6年後の2017年11月に再び,これらの損傷について外部から確認できる現在の状況,すなわち回復も含めて5段階とした損傷程度の状態を確認し,巻き込み部分を除いた損傷の外寸(幅,長さ,面積)を計測した。また残存木の胸高直径を計測し成長量を調査した。6年後の損傷の状況を発生時と比較した結果,すべての損傷は外寸において減少していたが,発生時の外寸が大きいものは程度の回復が進んでいない傾向が認められた。発生時の幅4 cm程度以下の損傷はおおむね回復していた。回復した損傷を持つ残存木とそうでないものの胸高直径成長量の間には有意差は認められなかった。高さ位置50 cm未満の損傷は2.00~2.99 mのものよりも有意に回復率が低かった。

速報
  • 瀧 誠志郎, 中澤 昌彦, 上村 巧, 赤松 玄人
    2019 年 34 巻 4 号 34.217
    発行日: 2019/10/31
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル 認証あり

    安全で正確な伐倒作業において,重心高さの見極めが求められる。また立木を吊上げた状態で鋸断を行う特殊伐採においても,安全性を確保するためには重心高さよりも高い位置に玉掛け位置を設定する必要があることから,立木の段階で重心高さを把握することが重要である。しかしながら,枝条が付いた状態の立木の重心高さを推定するための具体的なモデル式に関する知見はほとんどみられない。そこで本研究では,樹木の個体形状を示すパラメータを使って立木の重心高さを推定することを目的にモデル式の構築を試みた。ラフテレーンクレーンを使用して,立木が平衡(水平)となる位置(重心高さ)を計測したところ,樹高に対する重心位置の平均高さ割合は37.8%であった。この結果を基に樹高や枝下高等を説明変数とした重回帰分析を行い,樹高と枝下高のパラメータから立木段階での重心高さを推定するモデル式を得た。これによれば,樹高の約34%の位置からさらに枝下高の約6%を加算した位置が立木の重心高さとなる結果となった。今後は,地域性や樹種の違いなどより多くのサンプル数で検証する必要がある。

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