森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
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38 巻, 2 号
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論文
  • 中田 知沙, 山口 浩和, 猪俣 雄太
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 38 巻 2 号 論文ID: 38.91
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

    本研究は走行集材機械であるフォワーダ走行の心拍計測における光学式心拍センサの適用可能性を明らかにすることを目的とした。森林総合研究所内に直線と曲線(曲線半径6 mおよび8 m)の周回路を設置し,3名を対象にフォワーダ走行試験を行った。心拍計測には腕時計型の光学式心拍センサであるAppleWatch(Apple社)と胸部装着型の心電図モニタリングデバイスであるmyBeat(WHS-1,ユニオンツール社)を使用した。Bland-Altman解析の結果,センサ間の測定値の誤差平均は-0.51 bpmで,相対誤差が±20%以内であった測定回数が99%以上であったことから,光学式心拍センサによって従来の心電計と同程度の精度で結果が得られることがわかった。また,本試験における労働負荷は空荷での2 tダンプトラックによる林道走行と同等で,荷役作業を含むフォワーダ作業中よりも低い値であった。時系列解析の結果,AppleWatchによる心拍数の構造変化点を検出することができ,労働負担の検出に有効である可能性が考えられた。

  • 伊藤 崇之, 中澤 昌彦, 佐々木 達也, 上村 巧, 田中 良明, 瀧 誠志郎, 白澤 紘明, 吉田 智佳史, 毛綱 昌弘, 山﨑 敏彦, ...
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 38 巻 2 号 論文ID: 38.99
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

    中距離対応型タワーヤーダを用いた上げ荷集材中の主索および控索張力,フック下荷重,タイヤおよびアウトリガに掛かる荷重を計測し,安全性を評価するとともに当該機械の作業可能な範囲を試算した。フック下荷重を計測できた16サイクルについて分析した結果,メインラインの安全係数から試算した最大の材積は1.51m3で,主索の安全係数から試算した場合は1.74m3となったことから,1.51m3が今回使用した機械による作業可能な材積の限界と試算された。試験中の最大荷かけ材積は1.55m3であり,試験中はおおむね安全に作業が行われたと考えられた。ただし,横取り作業時には材積に関係なくウインチの最大直引力相当の張力がメインラインに掛かる場合があることが確認された。また,控索張力や機体の荷重についても安全範囲内で作業されていたと考えられたが,今回は控索がほぼ水平に張られていたため主索の張力に対抗する控索の張力があまり増加していなかった。計算上は控索の仰角が45度程度になると安全係数が4以下になる可能性があり,その時の路面に掛かる荷重は控索が水平の場合の1.7倍程度になると試算され,控索の仰角が大きくなると控索や路体に大きな負担がかかることが明らかになった。

  • 大塚 大, 松井 美希子, 守口 海, 植木 達人, 中澤 昌彦, 瀧 誠志郎, 齋藤 仁志
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 38 巻 2 号 論文ID: 38.107
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

    ヒノキ漸伐林の終伐にかかる伐出費用を明らかにするため,長野県内の終伐4事例を観測した。すべてチェーンソーが主体となった作業システムであり,伐倒から造材後の椪積みまで一貫して追跡可能な伐採木に発生したのべ所要時間を分析した。設定した単価から積算した直接作業費の平均は,伐採木1本あたり4,118円/本となり,多重比較において,調査区画間の有意差は認められなかった。また,終伐を観測していない伐採木の直接作業費について推定し,調査区画に発生する伐出費用を求めた。伐出費用が伐採本数と比例関係にあった一方で,下層木による再造林費の軽減額と伐採本数は相関が認められなかった。下層木に対して発生が許容される費用の上限は林況によって変化すると示唆された。伐出作業についても空間的な分析を加えることによって効率的な終伐を明らかにし,漸伐の経済性の向上を図ることが望まれる。

速報
  • 鈴木 保志, 吉村 哲彦, 長谷川 尚史, 有賀 一広, 斎藤 仁志, 守口 海, 白澤 紘明
    原稿種別: 速報
    2023 年 38 巻 2 号 論文ID: 38.115
    発行日: 2023/04/30
    公開日: 2023/05/25
    ジャーナル フリー

    森林施業地に接続する公道の大型車両(10 tトラック)の通行性を判断するため,舗装林道を含む高知県内の6路線において余裕幅の調査を行った。車道幅員は実走によりドライブレコーダ画像から確認し,曲線半径は地理情報の線形データから補間計算により推算した。実際の車道幅員から,林道第2種2級の幅員(3.0 m)と曲線半径に応じた拡幅量を引いた値を余裕幅と定義した。通行性が悪いことが確認されている県道は余裕幅が有意に小さく,小型道路(小型車両;4 tトラック相当)として開設されていることが示唆された。林道あるいは林道から昇格した県道は余裕幅がほぼ十分確保されていたものの,集落内では余裕幅が有意に小さい箇所も認められた。

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