北海道でハーベスタの運転作業環境を人間工学の観点から調査した。オペレータの作業中の心拍数は心拍水準で54%で,生理的負担は軽い。作業中,最大心拍数となるのは,ハーベスタ後進中であった。オペレータの視野は,魚眼レンズ法による写真より分析した。この結果,主な視野障害物は,ジブ,ヘッド,タイヤ,測尺用計器と作業中の運転情報となるものであり,良好な結果を示したが,右前タイヤが計器の陰となり,オペレータからは見えない。アイカメラによる注視点の調査から,オペレータは,ヘッド,林地,対象木,枝を払った送り材を見る傾向にあった。チェーンソーの操作方向や測尺用計器の配置から,オペレータは対象木,伐採木を左10°の方向で,送り材,玉切りした材を右10°の方向で注視しており,視線方向として効率的な作業を行っていた。注視対象物の連続時間分布から,測尺用計器に注視の集中度合が高い。等価騒音レベルを用いたオペレータ耳元騒音は,ハーベスタ停止中が65dB(A),走行中が76dB(A),作業中が77〜81dB(A)で,労働安全衛生規則による職業性騒音暴露限界85dB(A)より低い結果を示した。
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