民有林の隣接区画統合がもたらす架線系伐出作業の効率化の程度と,収穫林分の空間的配置への影響をシミュレートした。対象地は新潟県山北町の民有スギ人工林2,229ha,想定した収穫作業はエンドレスタイラー式集材とタワーヤーダ集材における皆伐及び長期育成循環施業(高齢級間伐)である。十分な収穫規模の確保を意図して隣接区画の統合を行い伐出費を30年間分シミュレートした結果,一定以上の区画規模が補助の要件として要求される長期育成循環施業と固定費が高いことから十分な収穫規模が求められるエンドレスタイラー式集材において伐出費の大きな減少が見られた。これらの統合の効果は今後30年間継続あるいは増加すること,伐出費低減効果は町全体で年間数百万円規模であること,統合により車道に近い林分に収穫が集中する可能性があることが推定された。
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