本研究は,中国新疆ウイグル自治区における将来の都市緑化のあり方を探る基礎的な研究として,同自治区出身者と日本の岩手大学生に,実際の森林公園景観を評価してもらうことで,新疆ウイグル自治区出身者と岩手大学生の緑地景観に対する評価の相違を明らかにすることを目的に実施した。調査は,滝沢森林公園(岩手県滝沢市)内に設定した5つの調査コースで,写真撮影調査とアンケート調査を実施した。被験者数は,新疆出身者15名,岩手大学生15名,計30名である。調査の結果,1)全体として新疆出身者と岩手学生との間に大差は認められず,日本の都市緑化技術は新疆ウイグル自治区でもある程度適応可能と考えられること。2)詳しくみると,新疆出身者は岩手学生と比較して都市緑地の「遊び・スポーツ」の機能を高く評価していること。3)新疆出身者も樹木や森林が緑地の要素として重要と感じているが,岩手学生ほどその重要性は高くないこと,等の特徴がうかがわれた。
鹿児島大学高隈演習林において植栽後5年間無下刈り状態であったスギと侵入した広葉樹の競合状態を明らかにするため,無下刈り区のスギと広葉樹の生育状況を調査した。その際,無下刈り区を斜面上部から5m 幅に区分し,斜面位置の違いによるスギの成長および広葉樹の種組成とサイズを調査した。また,隣接する下刈り区のスギと無下刈り区のスギの樹高成長を比較し,広葉樹による樹高成長抑制を明らかにした。その結果,斜面上部では無下刈り区のスギの樹高は下刈り区の約80%であり,広葉樹よりスギの樹高が高かった。一方,斜面下部では広葉樹がスギを被圧しており,無下刈り区のスギの樹高は下刈り区のスギの樹高の約35%であった。斜面上部では下刈りを省略できる可能性が高いが,斜面下部では下刈りが必要なことから,下刈り作業の要否を斜面位置別に判断することが重要であることが示唆された。
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