美濃羽靖・中西白:葉の形状特徴を用いた樹種判別におけるサンプルサイズと判別精度,森林計画誌55:61~75,2022 本研究では,葉の形状特徴を用いた樹種判別における必要なサンプルサイズと判別精度との関係について検証した。葉は20種を各樹種250から350枚程度,計6,516枚を採取した。形状特徴量には円形度,最適楕円の短径・長径比,周囲長・最適楕円軌道比,凸度を用いた。機械学習には決定木(J48およびRandomForest)およびニューラルネットワーク(MultilayerPerceptron)を用い,判別精度はMCC(マシューズ相関係数)を用いた。各形状特徴量を計測する際に必要なサンプルサイズの推定方法は,検出力分析で用いられるサンプルサイズの設計方法を用いた。解析結果より,訓練事例のMCCが0.755から1.000,未知事例のMCCが0.737から0.744と比較的高い判別精度を示した。樹種数が少ないと判別精度は高いが,樹種数の増加に伴い判別精度が低下した。サンプルサイズが少ないと判別精度は低いが,サンプルサイズが増加しても必ずしも判別精度が向上するわけではなく,また,その傾向は機械学習モデルの違いに関わらず同じであった。サンプルサイズの推定結果より,各形状特徴量ともにサンプルサイズを大きくする必要があると考えられた。
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