日本森林学会誌
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論文
  • ―北海道東部のエゾシカ高密度地域における稚樹高の推移―
    渡辺 展之, 渡辺 修, 中村 太士
    原稿種別: 論文
    2026 年108 巻5 号 p. 113-121
    発行日: 2026/05/20
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル オープンアクセス

    釧路湿原国立公園において実施されたエゾシカ捕獲が,広葉樹稚樹の被食および樹高成長に与える影響を明らかにするため,5年間の捕獲期を含む10年間にわたり稚樹群の追跡調査を行った。稚樹の被食および樹高成長に影響する要因として,樹高,樹種,積雪条件,場所,捕獲状況を用い,樹高成長の解析ではシカの被食の有無も考慮して,一般化線形混合モデルにより解析した。その結果,樹高が低く積雪が多い条件で被食されやすく,捕獲期では被食が抑制されたが,捕獲休止後は経過年数とともに被食が増加した。樹高成長は,シカに被食された場合に特に樹高の高い稚樹で減少し,捕獲休止後に成長量の低下が顕著だった。また,初期樹高が高い稚樹ほど樹高200 cmへの到達率が高く,100 cmを超えると到達確率が大きく増加した。このことから,樹高100 cm以上の稚樹が存在する条件下で一定期間捕獲を継続することにより,稚樹更新を促進できる可能性が示唆された。

  • 花岡 創, 田邊 純, 加治屋 杏奈, 福田 陽子
    原稿種別: 論文
    2026 年108 巻5 号 p. 122-130
    発行日: 2026/05/20
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録

    多雪地域では,雪圧によって若齢期に根元曲がりが発生し,材価を低下させる要因となる。本研究では,根元曲がりが発生した2つのアカエゾマツ検定林での調査を通して,根元曲がりの程度が大きい個体群と小さい個体群における材質形質及び成長形質特性の差を明らかにした。また,根元曲がりの程度が小さくなると期待される個体の選抜可能性を育種の視点から検証した。20年次に評価した根元曲がりの評価値が高い,すなわち,根元曲がりが少ない個体群ほど,約30年次に計測したピロディンのピン貫入量の値が有意に低く,20年次の胸高直径(DBH)が有意に大きかった。また,検定林の変量効果を加えた順序ロジットモデルを用いて評価した結果では,ピロディンのピン貫入量の負の効果とDBHの正の効果が検出され,両形質に優れる場合にのみ,高評価値が得られる予測確率が高くなった。ピロディンのピン貫入量とDBHの育種価を算出した場合には,両形質の育種価間の回帰係数が有意な正の値であったため,両形質に優れた個体の選抜効率は低いものの,選抜は可能と考えられた。

短報
  • 谷脇 徹, 大石 圭太, 田村 淳
    原稿種別: 短報
    2026 年108 巻5 号 p. 131-136
    発行日: 2026/05/20
    公開日: 2026/05/20
    ジャーナル オープンアクセス
    電子付録

    ニホンジカの採食と人工林での間伐が林床植生に及ぼす複合的な影響を評価するため,間伐の林床植生への効果とシカ撮影頻度に関する同一地点で取得された既存データを用いて,積算被度(土壌保全機能),植物種数(種多様性保全機能)および木本の被度割合(樹木が発揮する多様な機能)に着目して再解析した。積算被度は,累積的なシカ採食影響により不嗜好性・採食耐性植物の被度割合が増加しても見かけ上減少せず,間伐により草本・つるで増加した。植物種数は,採食影響によって木本で減少するが草本・つるでは見かけ上減少せず,間伐により木本と草本・つる双方で増加した。木本の被度割合は,採食影響で減少する一方,間伐で増加しなかった。採食影響下において間伐は,積算被度や植物種数の増加には寄与するが,木本の被度割合の増加には寄与しないことが示唆された。木本の被度割合を増加させるには,間伐にシカ対策を組み合わせる必要がある。

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