(一)内眞部ヒバ擇伐試驗地の最近十年間の連年生長量は、三二・七石を正しとする。此の生長量は、此の林分の有する生長能の發揮の結果であつて、林學博士和田國次郎氏の指摘せられたるが如き、前後兩囘の調査資料の計算に使用せる單木材積の相違から齎らされた誤りたる生長量ではない。
(二)和田博士に依て指摘せられた單木材積の相違といふ事は,單に擇伐林の生長を檢討するには.あまりに簡單なる表から算出せられた結果であつて、實際は調査の前後兩囘に亘つて、同一の單木材積を使用して居る事は.此の論文に於て私が示した材積計算の基礎によつて明かである。
(三)ヒバ林に就て、更新の目的を以て施業せられたる林分の生長量を知る資料は、あまり多く存せないが、單に茲に例示した四、五の林地の結果から見れば、一町歩當の生長量は三二・七石から一六・八石の間にある。斯くの如き生長量の差を生ずる所以は,一に其の林分の有する生長能に因るものであつて、私共は施業によつて尚一層多量の生長量をヒバ林に見出すであらうといふ事を期待して居る。
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