一、或ル林分ノ單ニ直徑其物ノ平均ヲ求メントスルニ際シテハ乙ノ主張スルガ如クM_D=〓ニ依ルコトハ統計的ノ觀念ヨリ決シテ誤マレルモノニアラザルノミナラズ當然斯クシテ求ムベキモノナリ。
二、平均直徑ナルモノヲ直ニ其林分ノ材積ト關係セシメントセバhƒ=Kナル假定ノモトニMd=2〓ニ依ルベキハ此式ノ誘導ニ依リテ明ナリ然レドモ尠ナクモ我國ニ於ケル針葉樹ノ一齊林ニ於テハ常ニhƒ=Kナル關係ヲ豫期スルコトヲ得ズ。
三、甲乙二者ノ主張スル林分ノ平均直徑ハ各別ノ意味ヲ有シ混同シテ論ズベキモノニアラズ。
四、今假ニ二者ノ主張スル平均直徑ヲ同一ノ意味ヲ有スト假定スル場合ニ於テ直徑乙ヲ直接直徑甲ニ代用シテ大ナル不都合無キノミナラズ此不都合サヘモ果シテ意味アルモノナリヤ否ヤヲ判定スルヲ得ズ。
五、サレバ收穫表調製ノ如キ結果ノ精密ヲ要スル場合ニ於テハ別ニ精密ナル方法ニ依リテ材積ヲ求メ平均直徑トハ直徑級別本數分配表ト相俟チテ直ニ其林分ノ現在状態ヲ精確ニ指示スル直徑其物ノ平均ヲ意味スルモノトシ特ニ材積ト關係セシメザルヲ至當トシ又簡ニシテ迅速ナルヲ尊ブ事業上ノ測定ヲナス場合ニハ強ヒテ計算ノ複雜ナル直徑甲ニ依リテ其林分ノ平均直徑ヲ示ス必要ヲ認メズ。
六、又最小直徑ト最大直徑トノ差餘リ大ナラザル場合ニ成立ッ平均直徑即チ直徑甲ハ細大ノ混淆甚シキ天然生林等ニ對シテハ應用ノ途ナシ。
七、要スルニ直徑甲ヲ以テ最モreliableナル林分平均直徑ト見做スハhƒ=ƒ(h)ナル關係ノ發見セラレザリシ時代ノ遺風ニ過ギズシテ現在ニ於テハ斯ル無意味ノモノニ拘泥スル要ヲ認メズ(大正十一年十月稿)

抄録全体を表示