日本林学会誌
Online ISSN : 2185-8195
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54 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 古田 公人
    1972 年 54 巻 10 号 p. 329-332
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    1970年4月と5月の2回,東京都八王子市林業試験場浅川実験林構内に樹種および設置法をかえて餌木を設置し,そこで捕獲したシラホシゾウ属3種 (Shirahoshizo rufescens ROELOFS; ニセマツノシラホシゾウムシ, S. pini MORIMOTO; コマツノシラホシゾウムシ, S. insidiosus ROELOFS; マツノシラホシゾウムシ)雌成虫の構成を調べた。また,すでに報告されている知見とあわせて,これら3種の生態について若干の考察をこころみた。今回の調査から得られた結果は次のようなものである。 (1) 一つの林分にアカマツとクロマツの餌木を並べて設置すると,クロマツ餌木で捕獲した3種おのおのの個体数はアカマツ餌木で捕獲した個体数にほぼ等しいか,あるいはそれよりも少し多い傾向があった。 (2) コマツノシラホシゾウムシは,餌木を半分ほど土に埋めて設置すると,埋めない餌木よりも多く捕獲された。しかし,他の2種にはそのような傾向はみられなかった。 (3) 餌木で捕獲した3種のうちニセマツノシラホシゾウムシは他の2種よりも交尾の姿勢をとっているものの割合が高く,その割合は餌木設置後時間の経過とともに低下した。 (4) 伐倒直後の餌木を設置後時間の経過した餌木のそばに設置すれば,すでにあった餌木にいた3種のうちニセマツノシラホシゾウムシだけが新しく設置した餌木へ移動したようである。
  • 酒井 昭
    1972 年 54 巻 10 号 p. 333-339
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    わが国の異なる気候帯に属する木について,それらの耐凍性の立場からみた特性をつかむために,約80種類の常緑および落葉広葉樹の冬の耐凍度を調べた。
    1. カンバ,ヤナギ,およびポプラ以外の樹種では,常緑広葉樹でも落葉広葉樹でも,それらの自然分布の北眼が南にあるものほど耐凍度が低い傾向が認められる。ことに常緑広葉樹では紀伊半島,四国および九州南端にそれらの自然分布の北限をもつものでは, -3~5°Cの凍結にしか耐えない。
    2. 常緑広葉樹では冬芽,枝の靱皮組織および材の耐凍度の差は少なく,葉の組織では葉脈と葉柄の耐凍度がとくに低いものが多い。
    3. 落葉広葉樹でも暖地性のものは約-15°Cまでの凍結にしか耐えない。本州や北海道南部に自然分布の北限をもつものは約-30°Cまでの凍結にしか耐えないものが多い。またこれらの樹種では枝の組織間の謝凍度の差は少ない。しかしカラフト,満洲,沿海州にまで分布している樹種では, 2~3の例外を除いて,それらの冬芽や靱皮組織は-70°Cまでの凍結に耐えるが,これらのものでも材は-40~50°Cまでの凍結にしか耐えない。材も-70°Cまでの凍結に耐えるのは用いた材料ではシナノキ,サワグルミ,カンパ,ヤナギ,およびポプラ類のみである。ヤナギ,カンパおよびポプラでは暖地にあるものも-70°Cまでの凍結に耐えることから考えて,これらの樹種では冬の寒さが自然分布の制限要因となっていないように思われる。しかし耐凍度の低い常緑広葉樹や落葉広葉樹も,厳寒地では冬の寒さがこれらの自然分布を制限する一つの重要な要因になっているものと考えられる。
  • 梶原 幹弘
    1972 年 54 巻 10 号 p. 340-345
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,立木での利用可能な丸太量の推定法の開発を最終目標として行なったものである。幹曲線の集約を容易にするために,相対幹曲線という形でこれをとらえた。相対幹曲線というのは,樹高と梢端から樹高の9/10の位置の直径をそれぞれ1として,これらに対する相対値を用いて表現したものである。
    資料としては,いくつかの地方から選んだ合計31の林分での総計1,211本の伐倒区分求積木における測定結果を用いた。
    確かめられた事実はつぎのとおりである。
    (1) 同一林分内では,各樹木の相対幹曲線の形は樹幹の大きさとは無関係に近似している。
    (2) 林分相対幹曲線は地方間で差異を示すとともに,同一地方にあっても林分間でかなり違っている。
    (3) 林分相対幹曲線は林分正形状商万〓0.5によってほぼ完全に定まる。
  • 佐保 春芳, 陳野 好之
    1972 年 54 巻 10 号 p. 346-349
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    東京大学千葉演習林内に植栽されているコウヨウザンの針葉上で採集された子嚢菌の一種を,多数のヒポデルマ菌科に属する標本と比較検討した結果,薪種Soleella cunninghamiae SAHO et ZINNOであることを明らかにした。本菌はコウヨウザンの針葉に寄生して,これらを褐変枯死させる。発病は夏に員だち,被害の激しい個体では頂部から基部までおびただしい枯死葉が観察される。筆者らはこのような病徴から本菌による被害をコウヨウザンの葉枯病と呼ぶことを提案した。
  • 浅川 澄彦, 佐々木 恵彦
    1972 年 54 巻 10 号 p. 350-355
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
    クロマツのタネの発芽に及ぼす単色光の影響を調べた。同じ発芽温度では,照射時間をながくするにつれて,発芽促進の有効波長域が赤色光から短波長側へひろがる。 2,000 erg/cm2/secで30分間照射すると,緑色光もかなりの促進効果を示す。赤色光の促進効果が遠赤光によって可逆的に打消されることはすでに知られていたが,緑色光も含めて,赤色光より短い波長による促進効果も遠赤光によって可逆的に打消される。照射エネルギーが同じ場合には,変温(30~20°C), 20°C, 25°C, 30°Cの順に,促進波長域が狭くなり,促進効果も少なくなる。置床から5時間, 24時間, 48時間後における光照射の効果にはほとんどちがいが認められない。気乾種子に対しても光照射の効果が認められる。しかし置床後と比べると,同じ照射エネルギーでは有効波長域が狭く,効果もはるかに低い。気乾種子がうけた光の効果は, 2°Cで少なくとも3カ月間はたもたれる。遠赤光の発芽抑制効果は,照射エネルギーが十分であれば,ここで用いたどの発芽温度でも認められる。青色光の効果についてはまだ検討の余地があるが, 30°Cでいくらか抑制効果を示すらしい。単位時間当りの照射エネルギーを変えても,照射総エネルギーを同じにすれば,ほぼ同じ効果が得られる。遠赤光で発芽が制されたタネでは,置床後21日たっても胚に分裂像がほとんどみられないから,光は核分裂より前の生理過程に作用しているものと考えられる。
  • 野口 常介, 渡辺 操
    1972 年 54 巻 10 号 p. 356-359
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
  • 井原 直幸
    1972 年 54 巻 10 号 p. 360-363
    発行日: 1972/10/25
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
  • 1972 年 54 巻 10 号 p. 365
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/12/18
    ジャーナル フリー
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