日本林学会誌
Online ISSN : 2185-8195
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77 巻, 1 号
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  • 吉村 哲彦, 神崎 康一
    1995 年 77 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    紀伊山地,四国山地などの山岳地は,中央構造線が東西に走り破砕帯で傾斜が急なため林道開設がとくに困難である。そのような地域14,775haを対象とし,1/5,000地形図上で計測した地形要因と崩壊地の面積率の関係を分散分析によって解析した。解析には,傾斜,斜面方位,斜面の横断形状,傾斜変換点,集水面積の要因を用いた。解析の結果,有意水準1%で有意であった要因と交互作用は,寄与率が大きい順に,斜面の横断形状×傾斜変換点,斜面の横断形状,傾斜変換点,集水面積,傾斜,斜面の横断形状×集水面積であった。これらの有意な要因および要因間の交互作用に対して,崩壊地の面積率を示す崩壊危険度を定量的に推定した。要因効果は,凸型傾斜変換点下側の凹斜面で著しく高く,以下,集水面積1,000m2以上の凹斜面.凹型傾斜変換点下側の凹斜面の順であった。
  • 龍原 哲, 鈴木 誠
    1995 年 77 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    本論文では,二段林の上木および下木の材積成長を統一したモデルで表現した。同齢単純林における呼吸損失量と同化量に関する四つの仮定に,さらに,下木の林冠が閉鎖している二段林の単位面積当りの純光合成速度は一定で,一斉林のそれよりも大きい,という仮定を追加した。それらの仮定から,二段林の各林木の材積υの成長式dυ/dt=(γAυn)υn-bυ2/3(林冠閉鎖時),dυ/dt=(γαAVβN1-βυn)υn-bυ2/3(林冠疎開時)を導いた。ただし,Vは林分材積,Nは立木本数,Aは樹種と地位によって決まる定数,b,βは樹種によって決まる定数,αは初回の林冠閉鎖以前は樹種によって決まる定数で,それ以降は間伐によって変化する。また,γは上木では1,下木では上木の林分材積,立木本数から決定される値となる。このモデルでは上木の林冠の閉鎖状態によってのみ下木の成長の低下が起こるとし,パラメータγによって庇陰の度合いが表現されている。さらに,樹高成長について仮定し,この材積成長モデルを二段林の成長予測に応用する方法を提案した。スギ二段林に対してこの方法を適用し,モデルの妥当性を検討した。最後に,モデルに含まれている仮定について考察した。
  • 小平 哲夫
    1995 年 77 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    浚渫埋立地においてその立地に適した環境保全林の目標植生を探る研究を行った。このため東京湾浚渫埋立地の周辺にある自然林や二次林のタイプを参考に7タイプの試験林を造成し,18年後にその成否を植栽木の優占程度と組成から検討した。その結果,試験地のような潜在自然植生がタブ-イノデ群集の立地では,目標植生タブ林は成立後も持続傾向を示し,同じくトベラ-マサキ林は成立後に衰退傾向,ヌルデ林は成立後に崩壊していた。また,スダジイ林とコナラ林は不成立であった。このことからここでは持続傾向を示すタブ林が適しているが,持続期間を考慮すれば衰退傾向や崩壊したものも環境保全林の目標植生として用いられると考えた。
  • 鄭 躍軍, 南雲 秀次郎, 龍原 哲
    1995 年 77 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    地理情報システム(GIS)を利用して短期計画を策定するシステムの開発を試みた。本研究では,まず,中期計画で決定された標準必要労働量を小班ごとに補正するためにGISを利用して小班の平均傾斜角,林道からの距離を求めた。さらに決定された補正係数によって各種作業の必要な労働量を補正した。また,各種作業に対して作業価値係数を決めた。最後に,線形計画法とファジイ線形計画法を用いて最適な労働量配分計画を作った。またその結果をGISによって図面上に表示したり評価したりすることができる。このシステムは,東京大学千葉演習林に適用された。その結果,各種作業がすべて適切な時期に実行されることがわかった。このシステムは,実際の年度作業計画に対して有効な手段になりうると筆者らは考える。
  • 三橋 渡, 川北 弘, 渡部 賢司, 佐藤 守
    1995 年 77 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    森林害虫の一種であるヤマダカレハCyclophragma yamadaiに寄生する核多角体病ウイルス(CyNPV)は,本種の生物的防除に使用される可能性を有するが,今回,このウイルスのいくつかの特性を調べた。本ウイルスは,MNPVに属し,エンベロープ内のヌクレオカプシド数は,1~7個であった。多角体タンパク質のサイズは約33kDaであった。ゲノムサイズは約130kbであった。ヤマダカレハと属が異なるマツカレハDendrolimus spectabilisは,このウイルスの代替ホストであることが判明し,それを用いた本ウイルスの大量増殖の可能性が示された。
  • 黒田 吉雄, 勝屋 敬三
    1995 年 77 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    カラマツ根株心腐病菌の一種である未同定担子菌Basidiomycete-1の株床での分布について,筑波大学農林技術センター川上演習林のカラマツ人工林内に試験地(面積0.98ha)を設け,1987年から1993年の7年間捕捉杭を用いて試験した。また,これと併行してBasidiomycete-1の分布と土壌含水比および土壌pH値との関連について検討した。調査結果より本試験地におけるBasidiomycete-1の分布状況は標高1,505mから1,515m間の尾根付近で集団状に,また,標高1,505m以下の尾根から沢沿いにかけて散発的および単発的に認められた。本菌の捕捉率(捕捉杭数×100/全設置杭数)は,年によって増加または減少することが判明したが,これら年により捕捉率が増減する原因は不明である。Basidiomycete-1と土壌含水比との関係は,本菌が捕捉された近接地点の平均含水比は91%(範囲24~130%),一方,本菌が捕捉されなかった近接地点の平均含水比は79%(範囲21~169%)で,'検定の結果,両者間に有意差が認められた。また,Basidiomycete-1と土壌pH値との関係は,本菌が捕捉された地点の平均pH値は5.0(範囲は4.3~6.5),一方,捕捉されなかった地点の平均pHは5.2(範囲は4.4~6.8)で,t検定の結果,両者間に有意差が認められた。従来から根株心腐病の発生要因は土壌の通気性,透水性等の物理的要因との関係が指摘されているが,本調査結果は本病発生要因を解明する第一歩といえよう。
  • 山本 博一, 仁多見 俊夫, 木佐貫 博光
    1995 年 77 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    針広混交天然林を取り扱う上での指針とするため,現存量や天然更新の特性が傾斜•方位などの地形要因とどのような関係があるかを林分ごとの樹種構成に着目しながら定量的に明らかにした。傾斜•方位などによる総現存量の違いは認められなかった。緩斜面で占有率が高くなるのはエゾマツ,ミズナラ,急斜面で占有率が高くなるのはシナノキ,カツラである。トドマツ,エゾイタヤは傾斜による差はなかった。南向斜面で占有率が高くなるのはトドマツ,アカエゾマツ,ミズナラ,北向斜面ではエゾマツ,エゾイタヤ,カツラ,シナノキの占有率が高くなる傾向が認められた。傾斜が急な林分ほど後継樹が多くなる傾向が認められた。南向き斜面では北向き斜面の約2倍の後継樹数が認められた。
  • 坂本 知己, 土屋 俊幸, 佐野 誠, 中村 太士, 梶 光一, 伊藤 晶子
    1995 年 77 巻 1 号 p. 55-65
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    自然環境を保全しながら多様な森林利用を図る総合的な森林管理計画の策定に資するために,土地保全,野生動物の生息環境の保全,レクリエーション利用,木材生産といった,空間スケールの異なる複数の土地管理視点を,ランドスケープ概念に基づいて統合的に扱うことを試みた。ランドスケープ概念では,対象地域をいくつかの「区域」の集合として扱う。まず,各土地管理視点が森林流域をどのような「区域」の集合として捉えているかを示した。次に,模擬地域を対象に同一地点に視点の異なる複数の「区域」が重なることを例示した。相容れない「区域」が空間的に重なっても,各土地管理視点の「区域」の空間スケールに差がある場合には,必ずしも競合しないと考えられた。そこで,「区域」の空間スケールに基づいて,競合がどのレベルで生じる可能性があるかを整理した。空間スケール的に競合の可能性がある場合には,その競合関係をレベルに分けて整理した。以上を軸に,森林管理計画策定手順の考え方を提示した。
  • 山田 利博, 伊藤 進一郎
    1995 年 77 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    ヒノキの加齢に伴う樹脂胴枯病に対する抵抗性増大の要因を解明するため,9年生ヒノキの幹部高3,2,1mの部位(それぞれの齢は2~3,3~5,5~6年)にSeiridium unicorneを接種して感染の有無および発病の程度と齢との関係を調べた。付傷のみの対照では皮層あるいは師部の表層における壊死部形成にとどまった。無傷接種では高さ3mの部位に感染および樹脂の流出が生じたが,高さ1,2mの部位ではいずれも生じなかった。有傷接種では高さ3mの部位でやにつぼ形成が最も多く,樹脂流出が生じた。しかし,高さ1,2mの部位では感染,発病した場合も樹脂流出は見られなかった。これらの結果は,感染前に形成されている外樹皮が加齢による感染の低下にとって大きな要因であること,齢の高い部位では病斑に樹脂流出が伴わないことを示唆する。解剖学的観察により,齢の高い部位では感染後新たに形成された外樹皮が病斑の拡大を阻止することが明らかとなった。齢の高い部位では師部内での病斑の拡大程度が小さいこと,病斑が拡大した場合のやにつぼ形成率が少ないことも示された。
  • インドネシアのJabotabek Metropolitan Areaを事例として
    リリック ブディ プラセティヨ, 熊崎 實, 糸賀 黎
    1995 年 77 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • G. M. MUJIBAR RAHMAN, 石田 京子, 鈴木 和夫, 寳月 岱造
    1995 年 77 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 島野 光司, 増澤 直
    1995 年 77 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 木佐 貫博光, 倉橋 昭夫, 加藤 英寿, 寺内 良平, 河野 昭一, 井出 雄二, 渡邊 定元
    1995 年 77 巻 1 号 p. 83-85
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 江崎 功二郎, 山崎 三郎
    1995 年 77 巻 1 号 p. 86-88
    発行日: 1995/01/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
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