1) 赤×白のF
1は紫で, F
2に於て紫9:赤3:白4比の分離が得られた(第2表)。從つて赤の遺傳子型は
RRbb で, 白の夫は
rrBB であらう。即ち
B遺傳子は
R遺傳子との共存に於て紫色をあらはす作用あるものと思はれる。
2) 紫×白のF
1は紫で, F
2は紫3:白1比を示した (第3表)。即ち紫の遺傳子型は
RRBB であらう。
3) 黄×白のF
1は黄で, F
2に於て黄3:白1比の分離を示した(第4表)。
4) 白×黒のF
1は黒で, F
2に於て黒3:白1比の分離を示した(第5表)。又 F
1×白の戻交雜に於ては黒1:白1比が得られた (第6表)。從つて黒は白に對して1遺傳子優性であると思はれる。
5) 赤×黄の組合せに於てはF
1は紫で, F
2に於て紫9:赤3:黄3:白1比の分離が得られた(第8表)。
6) 赤の一品種 Cincinnati Market を自殖すると, 少數黄色子葉を有し成育せずして枯死する個體が分離した。Cincinnati Market×Golden Ball F
1は正常であつたが, F
2 に於て正常の緑色に對し黄色を 3:1 比に分離した系統と, 全部緑色に固定した系統とが得られた (第9表)。從つて緑色の遺傳子は
Xa, 黄色の夫を
xa とすれば, Cincinnati Market の遺傳子型は
Xaxa なるヘテロのものであつたと思はれる。
7) 黄×紫のF
1は紫で, F
2は紫12:黄3:白1比の分離を示した(第10表)。
8) 紫×赤の交雜に於てF
1は紫であり, F
2に於て紫3:赤1比の分離が得られた(第11表)。
9) 赤×黒のF
1は黒紫で, F
2に於て黒紫27:紫9:黒赤9:赤3:黒12:白4比の分離が得られた(第12表)。
10) 紫×黒のF
1は黒紫で, F
2の分離は黒紫9:紫3:黒3:白1比を示した (第14表)。
11) 黄×黒のF
1は黒で, F
2は豫期に反して黒3:白1の單性雜種比の分離を示した(第15表)。從つて黒(
Yb), 黄(
Y), 白(
y)の3遺傳子は複對立因子をなすのではあるまいか。
12) 從つて各根色の遺傳子型は第16表の如きものであらう。尚其の外, 色原質に關與する
C遺傳子が夫々存するものと思はれる。
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