遺伝学雑誌
Online ISSN : 1880-5787
Print ISSN : 0021-504X
ISSN-L : 0021-504X
15 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • XVI. ウラボシ科植物の生活環中に於る色素體及びコンドリオゾーム
    湯淺 明
    1939 年 15 巻 2 号 p. 47-61
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1) 本研究に於ては, ウラボシ科植物細胞の細胞質中で, やぬす緑水溶液で生體染色される小體をコンドリオゾームと定義し??攀??椀?? (Sorokin 1938, 參照)。
    2) 生活環中の凡ての階程に於て, 色素體とコンドリオゾームとは, 互に區別出來, 且つ常に相並んで存在する。コンドリオゾームは, やぬす緑で生體染色されるが, 色素體は染色されない。
    3) 色素體及びコンドリオゾームは, 自己の分裂によつてその數を増加する。
    4) 一般に色素體はコンドリオゾームより大形であるが, 時には著しく小形となつてコンドリオゾームに似てくることもある。色素體が小形になつた時でも, やぬす緑水溶液によつて兩者を區別することができる。
    5) 胞子中には數個の色素體 (白色體) と多數のコンドリオゾームとがあり, 後者は粒状, 小棒状或は數珠状で, 小形である。
    6) 胞子の發芽する前に, 白色體は葉緑體に變る。前葉體細胞中には, 多くの大形葉緑體と小形のコンドリオゾームとがある。
    7) 造精細胞中には, 數個乃至10個の小形白色體と多數のコンドリオゾームとがある。
    8) 精細胞中には, 數個乃至10個の小形白色體と多數のコンドリオゾームとが含まれてゐる。精子が完成に近づくと, 白色體は大形となつて, その内部に澱粉粒を蓄へる。
    9) 精子の色素體とコンドリオゾームとは, 精子の活溌な運動中に棄去られる。
    10) 若い卵細胞中には, 數個乃至10個の大形, 球形の白色體と多くの小形の粒状, 小棒状或は數珠状のコンドリオゾームとが見られる。完成した卵細胞中では, コンドリオゾームは凡て粒状である。
    11) 新植物體の色素體とコンドリオゾームとは, 卵細胞のそれのみから由來する。
    12) 造胞體の細胞中には, 多くの大形葉緑體と小形粒状, 小棒状或は數珠状のコンドリホゾームとが含まれてゐる。地下莖, 根及び假根の場合には, 細胞中に白色とコンドリホゾームとが見られる。
    13) 胞子形成過程中に, 胞子母細胞は, 小形白色體とコンドリホゾームとを含んでゐて, これらは減數分裂後期に隔膜附近に集められて, 結局, 胞子細胞中に分配される。
    14) 胞子細胞中には, 數個の白色體と多數のコンドリオゾームとが含まれてゐるが, 胞子細胞が完成に近づくと, 白色體は次第にその大きさを増す。
  • 有賀 久雄
    1939 年 15 巻 2 号 p. 62-68
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    (1) X線を照射したる場合に現れた優性突然變異火傷蠶の遺傳子Buに關してホモの個體の致死作用に就て記載した。
    (2) 火傷蠶相互交雜の胚子を觀察した結果1蛾の總卵數の約1/4が反轉せずに死滅することが明になつた。この異常胚子は反轉せずに剛毛が形成せられるまで發育して遂に死滅するに至るのである。
    (3) 反轉せざる異常胚子に於ては背面の發育が著しく不完全であり, 羊膜は最後まで癒着せず, 中部消食管は外の卵黄質に連絡し, 而もその連絡する部分には大きい孔が開いてゐる。
    (4) Bu遺傳子に關してホモの作用の發現する時期は最長期と反轉期との間であつて, 口腔及肛門陷入が發生し始めて後腹面の羊膜が前後左右より背面の中心に向つて叢合する時期である。この時期に背面の羊膜の發育が著しく不完全となる。
    (5) Buに關してヘテロの個體に於ては正常胚子と略同樣に羊膜の形成が行はれ, 從つて反轉現象を行ふのであつて, その作用の發現の時期を組織學的に決定することは困難であつたが, 恐らくホモの作用が發現すると同時期であらうと推察される。
  • 廣部 達道
    1939 年 15 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. By treating the silkworm eggs within 2.5 hours after laying with colchicine solution of various concentrations from 0.05 to 0.4%, many polyploid individuals were obtained.
    2. Polyploid worms were detected both genetically and cytologically.
    3. It is assumed that diploid and polyploid egg cells are mixed with one another in the ovaries of the polyploid individuals induced by colchicine treatment.
  • 片山 久男
    1939 年 15 巻 2 号 p. 75-77
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    The spermatogonial metaphase of Hybris subjacens invariably shows 22 chromosomes (Figs. 1-4). All the chromosomes seem to be telomitic in the fibre attachment and slightly variable in their length. So far as the number and shape of the chromosomes are concerned, this species shows no marked difference when it is compared with the following four other species of the Ascalaphidae so far studied: Ascalaphus libelluloides, A. longicornis, Ogcogaster segmentator and Glyptbasis dentifera. An even number of chromosomes in the male diploid group suggests the existence of the sex chromosome constitution of the usual X-Y type.
    There are found, at metaphase of the primary spermatocyte, 11 bivalent chromosomes (Figs. 6-7). Of these 11 elements, 10 are autosome bivalents and the other is the X-Y complex which is conspicuously recognized in the lateral view of the spindle, showing a remarkably precocious segregation into its components, X and Y (Figs. 8-9). Since the X is completely separated from the Y in the first division, two kinds of secondary spermatocytes are formed. The one group, the X-class, consists of 10 autosome dyads plus an X element; the other is the Y-class which contains a Y element with a similar complex of autosome dyads (Figs. 10-11).
    The occurrence of elongated or V-shaped centrioles was ascertained in the spermatocytes of the present species. In the primary spermatocyte metaphase the two V-shaped centrioles, with their widely diverging rod-like arms, assume their respective positions at opposite poles (Fig. 8). Their form and behaviour in the spermatogonial and secondary spermatocyte divisions were briefly observed (Figs. 5, 9 and 12).
  • 小山 準二, 中村 定八
    1939 年 15 巻 2 号 p. 78-79
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
  • 牧野 佐二郎
    1939 年 15 巻 2 号 p. 80-82
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    X線にて處理せるフキバツ??攀??椀?? (Podisma mikado) 3個體の精巣内に四倍性の精母細胞が多數見受けられた。正常細胞に混じて見出される場合もあ??攀??椀?? (第2-3圖), 又1個??攀??椀?? cyst 全部が四倍性細胞なる事もあ??攀??椀?? (第1圖)。四倍性第一精母細胞の染色體數22 (正常の場合の2倍で, 多價染色體の形成はない) で, X 染色體は2個存在するが決して接合することなく, 第一分裂では機會的に分離す??攀??椀?? (第4及び6圖)。第一, 第二分裂を通じて染色體の分裂行動には異常なく, 結局四倍性精子細胞が作られるやうである。2個のX染色體が第一精母細胞の成長期を通じて接合せず異常濃縮をなして存在することは性染色體の異常濃縮現象を考へる上に參考となる。
  • 西山 市三
    1939 年 15 巻 2 号 p. 83-85
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    A Lycoris sp. grown in China shows very similar morphology to L. radiata (2n=33). However, they are clearly distinguished by difference in the fertility, i.e. the Chinese Lycoris gives the normal production of seeds but L. radiata is completely sterile.
    On the other hand, the karyological feature of the Chinese Lycoris, e.g. number and morphology of chromosomes, is similar to that of L. sanguinea(2n=22). That is, it has 22 diploid chromosomes, showing nearly terminal attachment of spindle-fibres. At first metaphase in PMC, bivalents usually show the characteristic shape as illustrated in Fig. 6.
    The sterility of L. radiata is clearly due to the autotriploidy which is probably induced by triplication of the genom of the Chinese Lycoris or allied species.
  • 萩原 時雄
    1939 年 15 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. 葉の表面が平でなくて, 葉縁が上方に幾分卷上つた打込性といふ形質は普通は劣性である。從來本形質に關して, 3個の劣性因子が明かにされてある。即ち, 今井氏により明かにされた斑入葉リンケーヂ群??攀??椀?? c1 因子, 笹葉リンケーヂ群??攀??椀?? c2 因子と, 著者により明かにされた丸葉リンケーヂ群??攀??椀?? c3 因子である。
    2. 以上因子の外に, 別の打込性因子 c4 がある。この因子は有色莖白色花因子 c と31.4%, 斑點花因子 sp1 と31.2%の組換價を夫々示す。
    3. 緑色莖白色花に關する因子 r ??攀??椀?? c4 因子に33.6%の組換價あるリンケーヂが存する。c, r 兩因子間には已報の如くリンケーヂがあるから, 4因子♯?攀??椀?? c4-sp1-c-r♪ の順に夫々の因子座を占むるものと考へる。
    4. 立田葉因子 m は黄葉因子 y2 と36.6%, 白色花因子 r と48.0%打込性因子 c4 と36.6% の組換價を夫々有するし, r 因子♯?攀??椀?? y2 因子と44.4%の組換價を有する。この事實は, 茶褐色花因子 dy が黄葉因子 y1 と強度のリンケーヂを有し, c4 因子と37.4%の組換價を有し, c4, y1 兩因子間に37.6%の組換價ある事實と共に, 斑點花リンケーヂ群が黄葉リンケーヂ群に併合されると云ふ著者の提案を確證するものである。
    5. 打込性に關する新因子 crumpled 4, (c4) は黄葉リンケーヂ群に屬するもので, 黄葉因子 y2 と斑點花因子 sp1 の因子座の間に因子座を占むるものと考へられる。
  • V. コルヒチン處理による花粉管内核分裂の機構の檢討
    吹田 信英
    1939 年 15 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    花粉管内で起る雄原細胞の分裂は, これ迄屡々正常な有絲分裂ではないものとして取扱はれて來たが, 筆者の固定染色の方法及び生體連續觀察の方法による研究の結果, 少くとも Crinum 及び Hippeastrum の培養花粉管では, 通常の體細胞分裂と同樣紡錘體機構により核分裂が行はれ, 後, 細胞板が形成されて遂には2娘細胞の分離が起る事が明にされた。紡錘體機構を攪亂して有絲核分裂に異常を與へるものと稱せられるコルヒチンを作用させた結果によれば, 花粉管中の核分裂はやはり阻害されて, 紡錘體機構の破壞された樣な外觀を呈する。この事實は上記の花粉管内核分裂の紡錘體機構説を支持するものである。但しコルヒチンの作用は單一なものではなく, 種々の他の生理的な影響も含むものなのであるから, 猶愼重な檢討, 特に細胞生理學的な方面からの檢討を必要とする。
  • 田中 信徳
    1939 年 15 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 1939年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top