遺伝学雑誌
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24 巻, 5-6 号
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  • Nobuyuki Takeda
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 125-128
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. 異常個体の大多数は発生中の傷害に依るものと思われたので其等に就いては茲では省く事として重複畸形と間性に就いて二三の例を報告する。
    2. 重複畸形
    A. 第1例 成体雌 (Fig. 1) 体の諸部分が種々の方向に重複したもので同一個体で行 われた点に興味がある。
    B. 第2例 成体雄 (Fig. 2) 第2脚外葉第2節の内側の棘が2本あるもの (正常は1本)。 此の雄は近縁でない正常の雌を交配して F2 に同一形質を見, 遺傳する重複形質である 事が明かとなつた。
    3. 間性
    本材料ではほとんど間性を見る事がないが, 今迄に間性2個体を見た。
    A. 第1例 (Fig. 3-II) 第1触角が雌雄中間の状態で他の部分は正常雌と同樣であつた。 1935年海岸より採集したものの中にあつたもの。
    B. 第2例 (Fig. 3-III) 第1触角が中間で他は正常雌と同樣。1941年温度の実驗中に 現れたもの。
  • II. truncate の遺傳
    徳永 千代子
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 128-138
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. ノミバエの truncate (t) に野生型を交配すると普通には F1t を生じなが稀に最 高8%迄の t を生じた。F2 で0から最高20%迄の t を示す。t 同志の交配でも若干の正常個体を生じ50代以上淘汰したが正常個体は除かれなかつた。この遺傳的変異は Drosophila melanogaster の Truncate のそれとよく似ている。
    2. 表現度の高い個体同志の交配から生ずる次代の浸透度並に表現度は表現度の低い個体同志の交配から生ずる次代の浸透度並に表現度より高く中間のもの同志の交配からの次代は中間の度合を示す。
    3. 表現度の極端に高い個体 (I型) を選択淘汰すると浸透度は100%, 表現度も極端なものに集るが同時に繁殖力の減退を伴うからこの系統は継続困難である。表現度の低い個体(III型)を選択淘汰すると翅型は選択淘汰した型に集るが浸透度は+方向に上昇する系統と-方向に下降する系統が得られる。それで明らかに t の遺傳的変異には変更因子が関與している。又表現度の低い個体 (主としてIII型) に野生型を交配して F1, F2 或は F3 に生じて來る t 個体中の表現度の低い個体に更に野生型を交配する方法で選択淘汰を行い t を生じた代の浸透度及び表現度を比較してみると表現度は淘汰した翅型に集つて程度が低くなるが浸透度は種々に分散するのでこの場合からも変更因子の存在が予想される。
    4. truncate の形質発現には雌雄性は関係ない。
    5. truncate の主要因子は常染色体上にある。
  • 鈴木 簡一郎, 小玉 知己
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 138-144
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    (1) D 過剩半月紋蠶は♀支4号(姫)×♂白竜(形, 伴性油)のF2から発見した突然変異体で, 形斑紋の外, 第4環節にも一対の半月紋を有するものである。本種は斑紋に関しては木暮及田中の過剩肢過剩半月紋蠶と類似するものであるが, 過剩肢の発現度の低い事に於て木暮 のそれと著しく異り, 田中のそれに稍近い。
    (2) D過剩半月紋蠶は其 Sib に於て過剩半月紋蠶と形蠶とを2:1に分離するが之れは過剩半月紋因子 EDP に対しては優性であるが致死作用に関しては劣性で, Homo の個体は催青期に於て致死される事に依つて理解された。
    (3) 重い形蠶 (ECa) とD 過剩半月紋蠶 (ED) との交雜からは D, Ca, D/Ca 及形の4種を2:2:1:2に分離するが此分離比は ECaED とが複対遺傳子である事に依つて理解される。
    (4) 重い形蠶と D 過剩半月紋蠶の交雜によつて分離する四種の蛾の内 D, Ca 及形は産卵上何等の異常も示さないが, D/Ca は生殖不能を示す。
    (5) D/Ca の生殖不能の原因は雌蛾生殖内器の異常に基くものであり, 其卵巣は正常の発育を遂げて居るが, 左右輸卵管が一本に癒着して盲管となつて体内に遊離して居るる事が認められる。
    (6) D/Ca 雌蛾が斯くの如き陷を現わすのは D, Ca 両因子の共同作用に依るものと思われる。何となれば DCa に於ては斯くの如き個体を示さないからである。
  • 筑紫 春生
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 144-149
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    The natural mutant character, Dirty marking (Di), of the silkworm, Bombyx mori, which has been discovered by Prof. Tanaka in 1939, but not reported about it, is characterized by dark dorsal skin covered by numerous dark spots and lines, just like the intermed ate between the normal and moricaud markings. This character is inherited as dominat, but as recessive for the semi-lunar crescents and star spots to the normal.
    From the results of crossing between some marking strains, plain (p), normal (p+), striped (pS), multi-star (ms) and dirty (Di), it is postulated that most strains of the silkworn have generally a gene which forms the special tissue limitted to the places of the semi-lunar crescents and star spots in the larval skin. The author calls it the “Fundamental Crescent” gene.
    This gene determines primarily the places of the crescents and stars and forms the special tissue which enables the formation of pigments, p+ gene produces pigments secondarily in that special tissue. If no pigment formation takes place, the character results in the plain marking. The multi-star has only a gene which modifies the action of the fundamental crescent gene, but has no pingment forming action. The striped gene does, however, not interact with the fundamental crescent gene at all.
  • 森 主一
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 150-156
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. キイロショウジョウバイとクロショウジョウバイの羽化日週期の状態はかなり違う。一般に前者は後者に比べて羽化曲線がなだらかである。特に5-8時に羽化するものは, 前者では全数の20-30%であるのに, 後者では50%以上に及ぶ。
    2. クロショウジョウバイの純野生種 (red) の羽化週期状態と, 突然変異品種 w のそれとは大きい違はないが st とはかなり違う。即ち11-14時に羽化するものが, red で12%位であるのに, st は20%以上に及ぶ。red×st, st×w の交雜実驗を行うと, この st に見られる性質は, その眼色に対する表現に伴つて野生型に対し劣性的に行動する。
    3. キイロショウジョウバイでは純野生種, w, st, dp, vg の間には差を発見しがたい。しかし se との間にはかなりの差がある。即ち2-5時に羽化するものが, se では野生種に比べて著しく少なく, 8-11時, 11-14時に羽化するものがかなり多い。この性質は, 外部形態発現因子としての se が劣性であるに拘らず, 野生種に対し多分に優性的に行動するという著しい特徴である。
  • カラフトクロウリハムシの性染色體の構成要素について
    吉田 俊秀
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 156-162
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. カラフトクロウリハムシ Luperdes praeustus Motsch.の染色体数は〓 2n=32, n=16 である。
    2. 常染色体は短小な棒状, または J 形或は V 形からなつているが, X 染色体は特別に大きな V 形を呈し, Y 染色体もまた大きな J 形を呈する。
    3. 成長期における性染色体の行動から X 染色体は本來の眞正染色体に A, B という常染色体が結合し, A, B 染色体の相手の a, b 染色体が別個に結合して Y 染色体になつたと考えられる。
    4. この種類の接着型性染色体の由來に関しては, X 染色体と, 2対の常染色体との間に2回の轉座が起つたとして説明することができるが, その詳細については, 他日多くの資料を得た上で発表する。
  • 小村 達夫
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 162-165
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    The non-homologous, end-to-end association of chromosomes was observed in male germ cells of the dragonfly, Ictinus rapax (Aeschnidae). It was shown that the end- to-end association of chromosomes is attributable to stickiness of the heterochromatic regions located at the terminal parts of each chromosomes.
  • XXIX. さらに緑ラセンについて
    湯淺 明
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 166-173
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. タチクラマゴケにもコンテリクラマゴケと同樣な葉緑体づくりがみえ, 三つの分裂型, 即ち普通型, 縦割型, 二割型がみられ, この他にアミーバ型がみられる。
    タチクラマゴケの分裂組織ではつねに1葉緑体細胞の状態で細胞分裂し, 一つずつ葉緑体をふくんで, 1葉緑体細胞となり, この細胞の数が増して, あるものはそのままの状態をつづげて, 分裂組織としてのこり, あるものは, 細胞中で葉緑体分裂を行つて, 多葉緑体細胞となる。
    2. 日かげまたは暗所におくと, 一樣構造に見えた葉緑体にも緑ラセンが明かとなる。2/5M NH4Cl 溶液によつてコンテリクラマゴケの葉緑体などは, 緑ラセンがふくらんで, ラセンづくりが不明瞭となる。ある植物では一樣に見える葉緑体も, 酸, アルカリ, 固定液などによつて緑ラセンを示す。緑ラセンを示す葉緑体はひかげまたは暗所に12時間くらいおくと, 緑ラセンはさらに明かになる。
    3. 盛に原形質流動している生きている細胞中で, 葉緑体は緑ラセンの明瞭な状態と不明瞭な状態との間にうつり変わりがある。
    4. 葉緑体中には元來, 緑ラセンがあり, これがつねに明かに見えるものもあるし, ときに一樣になるものもある。一樣に見えるのは, 緑ラセンがふくらんだからであり, 緑ラセンのちぢむようにはたらく試薬を與えると明かに見えるようになる。即ち, 緑ラセンが見えるのがふつうで, ちぢみとふくらみとによつて明瞭あるいは不明瞭となる。
    5. 羊歯植物および, それ以下あるいは以上の多くの植物の葉緑体に緑ラセンが見え, 従來Grana と考えられているものは, 緑ラセンの光学的断面か, 緑ラセン自身のふくらみか, ちみつに卷いた部分か, あるいは同化産物かである場合がある。また, 実際 Grana があつて, 一樣構造との間に緑ラセン状をへて, 天然に可逆的轉換をすることがある。
    従來, あみ状, せんい状, 一樣, 粒状などと考えられる場合も, すべて, この緑ラセンで説明できる。電子顕微鏡による膜状構造は, 緑ラセンがさらに細くわれて polytene の状態になつたものであろう。また, 粒状構造は, 緑ラセンの部分的肥厚ではないであろうか。
  • 百合屬の染色體研究第 II 報
    熊澤 正夫, 木村 資生
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 173-180
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1. 百合属 Lilium 中の1群 Leucolirion に属する5種及び他の1群 Archelirion に属する1種の核型を分析し次の結果を得た。
    Leucolirion
    (1) 博多百合 (Lilium Brownii Brown)
    2n=24=2 (L1+L2+3M1+2M2+M3s+M4+M5s+M6+M7t)
    (2) 鉄砲百合 (L. japonicum Houtt.)
    2n=24=2 (L1+L2+3M1+2M2+M3+M4+M5s+M6s+M7t)
    (3) リーガル百合 (L. regale Wilson)
    2n=24=2 (L1s+L2s+3M1+2M2+M3+M4s+M5s+M6+M7)
    (4) 笹百合 (L. Makinoi Koidzumi)
    2n=24=2 (L1t+L2+2M1+M1s+2M2+M3t+M4+M5s+M6+M7)
    2n=27=2 (L1t+L2+2M1+M1s+2M2+M3t+M4+M5s+M6+M7)+2f1+f2
    笹百合の核型の内前者は断片を有せざる個体であり, 後者はそれ以外に長さ約2ミクロンの断片 (f1) 2個及び長さ約1.3ミクロンの断片 (f1) 1個を有する個体である。他の著者に依り既に断片2個の個体が報告されているので, 断片の数は個体に依り精査すれば種々の場合のあることが想像される。
    (5) 受百合 (L. Alexandrae Wallace)
    2n=24=2 (L1+L2s+2M1+M1s+2M2+M3t+M4+M5+M6+M7)
    Archelirion
    (6) 山百合 (L. auratum Lindl.)
    2n=24=2 (L1+L2ss+2M1+M1s+2M2+M3+M4+M5+M6+M7)
    2. 笹百合, 受百合, 山百合の3種の染色体が中期で他種に比し顕著に凝縮して短くなる傾向のある事, M1s なる SAT- 染色体を共有する事, M1 の1個が他の M1 よりも長く大体にM1s と等長であり, 又 M5 が相対的に可成り短い事等に於て相互に極めて類似し, 特に笹百合と受百合とは M3t なる STA- 染色体を共有し, 最も関係深い核型を持つ。然し受百合が山百合と笹百合との雜種であると云う説に対しての細胞学的根拠は全然見出されない。同樣に博多百合が高砂百合と L. Brownii var. colchesteri との雜種であろうとする Wallace の説も核型上の所見からは支持出來ない。
    3. 今回調査した各種の核型は二次狹窄を考慮外に置けば, 第1報に於ける種類の場合と同樣, 互に極めて類似しているに拘らず, SAT- 染色体の異なる組合せに依り明白に区別し得られる。
  • 山浦 篤
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 180-182
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
  • 生沼 巴
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 182-189
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
    1) Solanum 属の核型分析の主なる結果は次の如くである。
    2) イヌホウズキ群は明かに 1L+1L+1M+5M+4S なる基本核型をもつた同質倍数性を示している。しかしながら, これらの倍数体にあつては, 減数分裂の際に多價染色体は見られない。これは恐らくげノム構成内部的変化がおきて, 異質倍数性の如くなつたものであろう。
    3) Solanum 属に関する A. Engler と G. Hegi の分類法を, 核型的見地から吟味して見ると, Hegi の分類法が細胞学的観察結果と合致していることがわかる (Table 1 参照)。
  • 平田 義正, 中西 香爾, 吉川 秀男
    1949 年 24 巻 5-6 号 p. 190
    発行日: 1949年
    公開日: 2007/05/21
    ジャーナル フリー
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